(本記事は、長尾 一洋氏の著書『デジタル人材がいない中小企業のためのDX入門』=KADOKAWA、2022年10月20日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
中小企業に必要なDX人材の要件とは
「中小企業はデジタル人材を採用できない」という事実に失望する必要はありません。その事実を前提として、今後のDX戦略を考えていきましょう。
そもそも中小企業のDX人材に必要なことは、「プログラミングができる」ことではありません。自社の業務を理解し、どのようにデジタルを活用し、どのような戦略を立てるかを「設計」する力です。また、それを推進するリーダーシップも必要です。
これらができない人は、いくらプログラミングができたとしても、組織の中では力を発揮することができません。
必要なのは、会社をよりよくするために、当事者意識を持ち戦略を立てられるかどうか。デジタル化推進の先頭に立ち、業務に取り組めるかどうかです。
この観点から考えると、外部からデジタル人材を連れてくるよりも、社内に目を向けた方がいいことに気づくはずです。社内に目を向けると言っても、大企業が取り組んでいるリスキリングではありません。社内の業務に精通し、人望もやる気もある非デジタル人材に、デジタルを学んでもらうということです。
このときに大事なのは、プログラミング技術のような専門的な知識を身につけることではありません。挑戦していただきたいのは、「No Code(ノーコード)」です。
ノーコードは、ノンプログラミング、つまりプログラムを書かずに、システムをつくったり変更したりできるシステムのことです。それができるツールを、ノーコードツールと呼びます。
つまり、ノーコードツールを使って、自社に必要なシステムを設計できる人材(以下、ノーコーダーと呼びます)を育成すればいいのです。