2017年度のリネンサプライ市場規模は2015年度比で0.1%増の5,162億7,700万円とほぼ横ばいながらプラス成長
~東京オリンピック・パラリンピック開催に伴うホテル建設増によりホテルリネン需要拡大~
株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内リネンサプライ市場の調査を実施し、市場概況や参入企業の事業戦略を明らかにした。
リネンサプライ市場規模推移
1.市場概況
2017年度のリネンサプライ市場規模は事業者売上高ベースで、2015年度比0.1%増の5,162億7,700万円と、ほぼ横ばいながらプラス成長であった。リネンサプライ市場は2007年度以降縮小基調であったが、2017年度に入り前年並みを確保した。
2.注目トピック
ホテルリネン需要の拡大
近年は訪日外国人客の増加や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、ホテルなどの宿泊施設の建設や運営事業が活況を呈している。こうしたなか、ホテルリネン需要がリネンサプライ市場全体を牽引している。
ホテルリネン需要の好調さの背景には、ホテル施設数そのものが増加していることから、リネンサプライヤーの顧客(ユーザー企業)も拡大していることが大きな要因として挙げられる。このため大手リネンサプライヤーを中心に工場の新設や設備投資などによりサービス能力増強の動きが続いている。
また、燃料費の高騰や人手不足に伴う人件費の上昇がサービス単価の上昇につながり、市場規模を押し上げる要因となっている。コスト上昇に伴い、サービス価格に転嫁せざるを得ない状況もあるが、一時期とは異なり需要増が顕在化している現在のホテルリネン分野では、比較的高価格が受け入れられやすく、市場全体に好影響を与えている。
さらに、ホテル内客室用リネン素材の上質化もサービス単価の上昇に寄与している。東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて客室の改装を行うなどホテルのグレードアップを目指す動きがあるが、これに伴いリネン資材も上質化させるホテルも多く、サービス単価の上昇につながっている。
3.将来展望
2019年度のリネンサプライ市場規模は事業者売上高ベースで、2017年度比0.4%減の5,141億2,300万円と微減を予測する。
ホテルリネン需要分野は訪日外国人客の増加や東京オリンピック・パラリンピック開催に伴うホテル施設数の増加に伴い活況を呈しているが、多くの需要分野では縮小傾向である。また、ホテルリネン分野においても東京オリンピック・パラリンピック開催後の需要の見通しに不透明感もあることから、今後の成長性には課題があるものと考える。