注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間のアートトピックを振り返ります。(1ドル=130円、1ポンド=163円で換算)

目次

  1. オークション
  2. オークションハウス
  3. NFT
  4. ギャラリー

オークション

≪Dora Maar≫ / Pablo Picasso COURTESY SOTHEBY'S
(画像=≪Dora Maar≫ / Pablo Picasso COURTESY SOTHEBY'S)

画像出典:https://www.artnews.com/

▍記録更新が続々。サザビーズ香港イブニングセールの売上は約213億円に 4月27日に香港で行われたサザビーズの近現代美術イブニングセールでは、合計で約213.5億円 (1億6,420万ドル) を売り上げた。セールは好調で、松山智一を初め14人のアーティストが新記録を樹立した。ピカソが1939年に描いた、彼のミューズであるドラ・マールの肖像画 ≪Dora Maar≫ は、日本のコレクターに予想落札価格を上回る約28.1億円 (約2,160万ドル) で落札され、スペインのモダニストの作品の中でこの地域のオークションで落札された2番目に高額な作品となった。奈良美智の2013年の作品でオークション初出展となる ≪Oddly Cozy≫ は予想落札価格を上回る約18.6億円 (1,430万ドル) で落札された。(ARTnews)

▍バンクシーだらけのオークションがサザビーズで開催。ANDART取り扱いのプリント作品も 2022年4月20日〜26日、サザビーズオークション「Banksy」が開催され、初期から最新のスクリーンプリントまで、厳選された48点が出品された。《Thrower (Grey)》《Hand Finished Donuts (Strawberry)》の2作品が約4,500万円(277,200ポンド)と同額1位で落札されたほか、《Napalm》、《Pulp Fiction》といったANDART取り扱い作品のエディション違いの作品も相次いで高額落札された。(Sotheby’s「Banksy」)

▍「コルストン・フォー」にバンクシーから贈られたサイン入りTシャツがオークションへ。300万円以上での落札予想 2020年のブラック・ライブズ・マターの抗議活動中に17世紀の奴隷商人コルストンの像を引き倒して罪に問われていた4人組、通称「コルストン・フォー」にバンクシーが贈ったサイン入りTシャツがオークションにかけられる。同グループの裁判資金調達のため、バンクシーがチャリティで同様のシャツを1枚25ポンド(約4,000円)で販売し、4人組にはその色を反転させた特別なTシャツにサインをしたものが贈られた。最終的に4人は無罪の判決となった。この世に4枚しかないこのTシャツは、約326万円 (20,000ポンド) の価格が付くことが予想されている。(MailOnline)

オークションハウス

クリスティーズのサンフランシスコと香港の支店で展示されたエドガー・ドガの≪Petite danseuse de quatorze ans≫(1927年)のホログラム。 Courtesy of Christie’s.
(画像=クリスティーズのサンフランシスコと香港の支店で展示されたエドガー・ドガの≪Petite danseuse de quatorze ans≫(1927年)のホログラム。 Courtesy of Christie’s. )

画像出典:https://news.artnet.com/

▍クリスティーズがプレビューの作品展示にホログラムを活用。輸送のコストと複雑さを回避へ 5月12日にクリスティーズのニューヨークオークションで競売にかけられる予定のエドガー・ドガの彫刻作品が、ホログラムでサンフランシスコと香港を巡回している。3次元で表示されるリアルなデジタルレプリカは、没入感とインタラクティブな体験を可能にし、環境負荷が大きく、多額の費用がかかる国際輸送に代わる方法になると期待されている。実際の彫刻作品は、1927年に作られたブロンズ鋳造で、約26億円〜39億円(2,000万ドル〜3000万ドル) の値が付くと推定されている。(artnet news)

NFT

2022年5月にオープンする「SuperRare Gallery」の完成予想図。Courtesy of SuperRare.
(画像=2022年5月にオープンする「SuperRare Gallery」の完成予想図。Courtesy of SuperRare. )

画像出典:https://news.artnet.com/

▍人気のNFTマーケットプレイスがNYに初の実店舗型ポップアップギャラリーをオープン 5月、NFTマーケットプレイスの「SuperRare NFT Marketplace」がニューヨークに初のポップアップ・ギャラリー「SuperRare Gallery」をオープンする。5月19日から8月28日までの期間限定で、NFTの社内キュレーションチームが企画したものと、ゲストキュレーターによる、5つのNFTショーが入れ替わりで開催される予定だという。(artnet news)

▍NFT購入者の82%の購入動機は、アートの評価ではなく投資収益 「Hiscox Online Art Trade Report」によると、調査対象となったNFT購入者の約82%が投資目的であると回答した。世界中の595人のアート購入者からの回答に基づくもの。過去12ヶ月間に25,000ドル(約325万円)以上のNFTを購入した人の中では、95%の人が購入の主な理由として投資収益を挙げている。購入動機については男女間で大きな隔たりがあり、男性購入者の96%が投資目的で購入しているのに対し、女性購入者は67%しか潜在的なリターンを動機としていないという。(PENTA)

▍NFTについての調査で、5割の人が「NFTは物理的なアートに悪影響」と回答 プライバシーに関するオンライン知識ベースの「Privacy HQ」が実施した新しいNFT調査で、多くの回答者がNFTをアートの自然な進化だと考えている一方で、ほぼ同数の47.7%回答者が「NFTは物理的な作品を制作するアーティストにとって有害である」と回答した。1,000人を対象に調査を行ったもの。また、全体の46.6%がNFTが 「環境に関係する」と考えていると回答している。NFTが一過性のブームではなく、広く受け入れられつつあることを示す一方、環境に与える影響や、伝統的なアーティストに与える影響については、依然として懸念されている様子が浮き彫りとなった。(NFT EVENING)

▍OpenSeaの訴訟を受け、英国でNFTが財産として認められる 英国の高等法院は、NFTは財産とみなされ、NFTの盗難被害者は裁判所の差止命令によって盗まれた資産を凍結できるとの判決を下した。ここ数ヶ月でNFTの盗難が相次いだことを受けたもの。これまでは市場が規制されておらず、分散化されているために被害者はあまり救済を受けられなかった。ただし、この差止命令を出せるのは、犯人の本当の身元が分かっている場合だけであり、プラットフォーム上の資産を凍結することはできても、個人売買や譲渡を防ぐことはできないという。(ARTnews)

ギャラリー

▍ブレグジットが英国のアートディーラーに与えた影響 英国が2020年1月31日にEUを離脱(ブレグジット)して以来、ヨーロッパに顧客を持つ英国のアートディーラーが受けた影響についてTHE ART NEWSPAPERが報じている。ある英国のディーラーは、EU離脱により収入が60%減少したという。ヨーロッパの顧客に作品を販売するには、複数の請求書と税関申告書を作成しなければならず、約4~6週間の出荷遅延も珍しくはない。追加されたコストと煩雑な事務手続きで、もはやEU内のディーラーと競争することはできないという。(THE ART NEWSPAPER)

ANDARTに会員登録すると、オークション情報や話題の展覧会情報など、今が旬のアートニュースをお届けします。メールアドレスの他、SNSでも簡単に登録できるので、ぜひご検討ください。

文:ANDART編集部