文科省は4月11日、「安定的な学校給食の提供に向けた取組の推進について」と題する事務連絡を発信した。令和2年3月、学校において長期間の臨時休業が行われた際、臨時休業期間中の学校給食の休止に伴いキャンセルとなった食材の取り扱いや、あらかじめキャンセルに伴う取り決めがされていない等、学校給食用食材の契約に関する課題が生じたことから、文科省は調査研究を行いこのほど報告書にまとめた。
調査にあたり、学校設置者7件と、全国学校給食会連合会、学校給食関連三団体協議会(学校給食物資開発流通研究協会(学流協)、全国給食事業協同組合連合会、日本給食品連合会)、3団体の会員企業1社にヒアリングを行った。内容は〈1〉取引等における支障事例等について〈2〉臨時休業等により不要となった学校給食用食材の活用方法についての2つ。
ヒアリング結果を踏まえ、論点整理と解決方法等の検討は、有識者として女子栄養大学の金田雅代名誉教授と出来村隆裕弁護士が担当した。ヒアリング結果から明らかになった、学校給食用食材納入における契約の課題は以下のとおり
【課題点】
(1)学校給食食材の取引では、今までの慣習で行っており契約書がないケースもある。
(2)急な臨時休業が発生しても、契約においてキャンセルに関する取り決めがされていないため、事業者に対する補償がなされないケースも多く発生する。加工などすでに労務が発生しているケースもある。
(3)臨時休業が長期間に及ぶと、事業者は発注を受けて見込んでいた1ヶ月分の売上が急
になくなる(学校給食の発注は1カ月単位で行われることがほとんど)。上記について発注日が明確でないため、例えば1ヶ月先の分ですでに発注済の食材について、補償がされないケースもある。
これら契約に関する課題について、解決策が次のように示された。
(1)契約書がないケースがある→契約書を作成する
(2)契約書では発注行為の記載がされていないケースが多い→発注日を記載する
(3)契約書があったとしてもキャンセル条項について記載がないケースが多い。
〈1〉長期的な一斉臨時休業で事業者への補償がされない事態が多く発生
→長期的な一斉休業等に対する対応を明記
〈2〉学校関係者に新型コロナウイルス感染者が出た場合の学級閉鎖・臨時休業などによる
学校給食の休止に対しても補償がされないケースがある。
→キャンセル日数等を明記
文科省健康教育・食育課の三木忠一課長は4月7日に行われた学流協の総会で「学校給食用食材の取引における支障事例を踏まえ、課題と解決策等を示すとともに、不要となった学校給食用食材の活用についても示しており、学校設置者等に周知していきたい」と述べ、「急なキャンセル等があった場合の契約上の問題は今まで十分に整備されていなかった。今後を見通して、設置者と業者の契約書の様式例も作成した。食品ロス防止のためにも、参考にして欲しい」と求めた。