世界各地のグルメ食材やオーガニック原料などの輸入販売を行っているテルヴィス(東京都中央区、立﨑聡社長)は、食肉ブランドのマーケティング販売事業を手掛けるグローバルミートアライアンス合同会社(東京都中央区、下嶋大介社長)と協業し、ポルトガル産生ハムの販路拡大への取り組みを進めている。
テルヴィスでは、2年前にポルトガル産生ハムの輸入を開始。スペインと国境を接するポルトガルでは古くから生ハムの生産が盛んで、日常的によく食べられる。
イタリアでは「プロシュート」、スペインで「ハモン」と呼ばれる生ハムだが、ポルトガルでは「プレズント」と呼ばれている。テルヴィスで取り扱うのは、ポルトガル最大手の生ハムメーカー「ロウレンソ社」の商品だ。同社は生ハムの生産に特化し、年間生産量は2千tを超える。国内だけでなくブラジル、カナダ、フランス、英国、そしてスペイン向けに生ハムを供給しており、アジア向けは日本が初。
日本市場の輸入生ハムはイタリア産とスペイン産の2大産地でほぼ占められてきたが、年初にイタリアでアフリカ豚熱(ASF)が発生したことで、イタリアからの豚肉輸入が停止された。現在、新たな産地開拓が求められる中、ポルトガル産生ハムへの需要が期待される。
ロウレンソ社の生ハムの大きな特徴は、ポルトガル南部「アルガルヴェ」の天然塩を使用していること。大西洋の海水から精製され、現地では「塩の花」「白い金」とも呼ばれる。ミネラルも豊富で味わいがまろやかになる。また、生産地であるカステロ・ブランコは標高500mの高地に位置し、昼夜の寒暖差が大きく、生ハムの水分が平地よりも抜けやすい。塩漬けされた生ハムは陰干しされ、自然の風に当てて乾燥させる。低温熟成され、22℃以上には絶対にしない。高温熟成だと塩気が強くなり、角の立った味になってしまうからだ。創業者であるロウレンソ夫妻から伝わるこうした伝統的な低温熟成製法を現在も忠実に守っている。
日本で展開する商品は、現地スライス60gタイプ(ハーフカット7枚入)と120gタイプ(15g×8枚入)。1枚ずつフィルムで仕切られており、取り出しやすい包装になっている。パッケージ記載のQRコードを読み取ると、ロウレンソ社の特徴や商品の詳細などを見ることができる。現在、こだわりの輸入食品などを取り揃える人気チェーン「カルディコーヒーファーム」でも販売され、入荷されるとすぐに売り切れるほどの盛況ぶりだという。末端小売価格は60gが400円前後、120gが700円前後を想定しており、競合商品に比べて内容量が多めなので、価格優位性も訴求している。
テルヴィス貿易部の水上史嗣部長は「今後は大容量の200gタイプ、さらに飲食店などでスライス用に提供できるよう、ブロックタイプも取り扱いたい。また、パッケージデザインを企業別にアレンジするなど、PB販売にも対応可能」とし、「日本の消費者がもっと身近に生ハムを楽しみ、そしてポルトガル産生ハムが選択肢の一つとなれば嬉しい。まずは日本市場でその知名度を上げていきたい」と話す。今後は、ポルトガル大使館や関係省庁と連携し、消費者向けの販促活動も予定している。
〈畜産日報2022年4月20日付〉