〈“鉄の塊”から付加価値自販機へチェンジ〉
サントリー食品インターナショナルは3月30日、法人の抱える経営課題に対して自販機で貢献するため、法人向け自販機サービスの拡張を行うと発表した。
オフィス内における飲料消費の大多数は、外から持ち込まれており、自販機での消費はわずか20%弱という実態がある。サントリー食品インターナショナルVM事業本部マーケティング部の須野原剛部長は次のように語る。
「オフィス自販機で飲料を買ってもらう努力がわれわれはまだまだ足りない。一方で、しっかりニーズを捉えれば伸びしろはある。これまでのような飲料を販売するだけの“鉄の塊”ではなく、法人や従業員に選ばれる付加価値を持った自販機へとモデルチェンジしていく。技術開発を強化し、法人様の経営課題を解決するサービス自販機を続々と開発する」。
解決する経営課題は、「コミュニケーション活性化」「職場環境充実」「健康経営サポート」の3つの領域。
「コミュニケーションの活性化」では、首都圏で先行スタートした「社長のおごり自販機」(21年10月開始)を今年5月から全国展開する。社員2人が揃い、自販機の対象部分に2枚の社員証を同時にタッチすることで、それぞれ1本ずつ飲み物を無料で受け取れるサービスだ。「普段会話しない人と話すきっかけになった」など好評を得た。300社以上の問い合わせがあったという。2022年中に200社、2023年に500社(1000台)の展開を目指す。
「職場環境充実」では、自販機をセルフレジとして活用し、気軽に軽食の販売が導入できる「ボスマート」を開発した。すでに2021年末時点で8000台を先行導入しており、今年は1万2000台を目指す。従業員は菓子やカップ麺、パンなどが購入でき、法人企業側に導入費・月額費はゼロ。食品も飲料と同じトラックで運搬されるため、無駄が少ない。セルフレジプログラムを開発し、自販機の余剰ボタンをレジボタンとして活用するというアイデアを採用するため、現金盗難リスクがないことも特徴だ。
「健康経営サポート」では、法人向けの熱中症対策を充実する。サービスでは、「DAKARA給水所」を展開する。工場など高温作業所への提案で、自販機と専用カードを使用することで利用状況の確認ができるとともに、簡単に冷えた状態で飲料配布ができる新サービスとなっている。23年には100台の展開を目指す。今年3月には法人向けに熱中症対策設計の「DAKARA PRO」(500mlPET)も発売した。
サントリー食品は、3つの領域の経営課題に対し、ソリューションサービスを続々展開する。自販機でオフィスを“ちょっとハッピーにする”取り組みだ。