注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間のアートトピックを振り返ります。(1ドル=126円で換算)

目次

  1. オークション
  2. マーケット
  3. NFT
  4. アーティスト
  5. 美術館

オークション

≪Buste d’homme dans un cadre≫ / パブロ・ピカソ
(画像=≪Buste d’homme dans un cadre≫ / パブロ・ピカソ)

画像出典:https://www.artnews.com/ (COURTESY CHRISTIE’S)

▍ショーン・コネリー所有のピカソ作品がオークションへ クリスティーズは、2020年に亡くなった俳優 ショーン・コネリーの遺産から、パブロ・ピカソの作品をオークションにかけることを発表した。出品される≪Buste d’homme dans un cadre≫は、ピカソが繰り返し描いたモチーフである銃士の作品。約23.9億円 (約1,900万ドル) での落札が見込まれている。(ARTnews.com)

▍第二次世界大戦後に行方不明になったモネの初期絵画がオークションへ 5月、モネの≪La Mare, effet de neige≫がオークションにかけられる。印象派の名前の由来となった≪印象、日の出≫と同時期に描かれた貴重な作品で、落札予想額は約31.5億円 (約2,500万ドル)。当初の持ち主であるリチャード・ゼンメルは、第二次世界対戦中にナチスのターゲットとなったことで、そのコレクションの多くを手放すこととなった。今回の販売では、ゼンメルの相続人に対しての補償が行われる予定だという。(Robb Report)

▍サザビーズ、ジェネレーティブアートNFTのオークションを開催 今月末、サザビーズのニューヨークで、ジェネレーティブアートNFTのオークションが開催される。ジェネレーティブアートとは、コンピュータによってアルゴリズム的に生成・合成・構築される作品のこと。目玉は、ジェネレーティブアートのパイオニアであるヴェラ・モルナールの歴史的な作品3点。(artnet news)

マーケット

▍女性アーティストの総年間売上高、初めて10億ドルを超える 世界のアートオークション年間売上高のうち、女性アーティストの総売上高は、2020年の約819億円 (約6.5億ドル) から、2021年は約1,380億円 (約11億ドル) まで上昇し、オークション史上初めて10億ドルを突破した。男女平等の観点で女性アーティストに注目が集まりつつある傾向を反映している。Artpriceは毎年、世界のアーティスト上位500人(年間オークション売上高によるランキング)を発表しているが、2011年はトップ100にランクインした女性は2人だったのに対し、2021年は7人となった。最高順位は草間彌生の10位で、初の女性でのトップ10入りとなっている。(artprice.com)

▍ミレニアル世代はアートマーケットをどう変えるのか アートバーゼルとUBSが発表したレポートによると、2020年にファインアートに最もお金を使ったのはミレニアル世代のコレクターで、30%が約1.3億円 (100万ドル)以上、平均約2,900万円 (22万8,000ドル) をアート購入に費やしたことが明らかになっている。この世代は、オンラインでの情報収集・購入を多く活用し、古典的な作品よりも現代的な作品を好み、従来のアート界の通年に疑問を持つなど、アート市場の方向性を変えつつある様子が指摘されている。(Forbes)

NFT

物理的作品版の「The Currency」にサインを入れるダミアン・ハースト
(画像=物理的作品版の「The Currency」にサインを入れるダミアン・ハースト)

画像出典:https://designtaxi.com/

▍ダミアン・ハーストの「The Currency」、交換されなかった物理的作品を焼却へ 2021年7月、ダミアン・ハーストは初のNFTコレクション「The Currency」を発表し、購入者は1年の間にNFTを保持するか、オリジナルの紙版と交換するかの選択を迫られている。ハーストは、2022年7月27日以降、NFTを保持し、紙の版画を放棄した人の物理的作品を焼却することをDiscordで発表。この焼却は、10月か11月にロンドンのギャラリーで行い、その後、焼却した作品を展示する展覧会を行うとしている。なお、4月12日の時点では、1万点のNFTのうち784点のみが紙との交換を選択されているという。(artnet news

▍ジャック・ドーシーによる史上初ツイートのNFTが99%の値下がり ジャック・ドーシーが2006年にTwitterに初めて投稿したツイートを画像化したNFTは、NFTブーム初期である2021年3月、起業家・Sina Estaviに約3.7億円 (290万ドル) で落札された。今月、EstaviはNFTを約60.5億円 (4,800万ドル) で再度競売にかけ、収益の50%を慈善団体に寄付するとツイートした。しかし、現在のところ約3.5万円 (280ドル) 以上の価格では入札がなく、その価値を99%以上縮小している。NFTバブルが落ち着き、バイヤーがより慎重になっているのではないかと推察されている。(ARTnews)

▍Bored Ape NFTのオーナーが、盗まれた資産を巡ってOpenSeaを提訴 1年前、NFTプラットフォームOpenSeaでハッキングや詐欺が頻発した結果、現在、Bored Ape Yacht ClubのNFTへのアクセスを失った3人のオーナーがそれぞれ別にOpenSeaを提訴している。「OpenSeaは、消費者の安全や消費者のデジタル資産のセキュリティよりも成長を優先させた」と訴状には書かれているという。かつてOpenSeaが持っていた承認プロセスを廃止したことなどで、サイト上で盗難が横行するようになったという。(ARTnews)

アーティスト

ピカソ生誕地ミュージアム(Museo Casa Natal Picasso)で開催される井田幸昌個展「Yukimasa Ida visits Pablo Picasso」
(画像=ピカソ生誕地ミュージアム(Museo Casa Natal Picasso)で開催される井田幸昌個展「Yukimasa Ida visits Pablo Picasso」)

(画像出典:プレスリリース)

▍井田幸昌、ピカソ生誕地ミュージアムで個展開催決定 国内外で活躍する若手画家・現代美術家の井田幸昌は、ピカソ生誕地ミュージアム(Museo Casa Natal Picasso)で4月26日より個展を開催する。本美術館で展覧会を実施するのはアジア人アーティストとして初。本展は、井田幸昌がパブロ・ピカソへの賛辞と共に挑戦を試みた個展であり、発表する45点の作品の多くは未発表作品であるという。(プレスリリース)

▍ジャン=ミシェル・バスキアの家族がキュレーションするバスキア展がNYで開催中 ニューヨークの倉庫兼オフィスビルで、ジャン=ミシェル・バスキアの遺族が企画した初めての展覧会が開催される。バスキアの遺品から200点以上のドローイングや絵画が展示され、その中には数十年ぶりに公開された大作も多数含まれており、何十年もの間、家族の手によって守られながら一般公開されていなかった名画という本物を見ることができるという。(artnet news)

美術館

▍メガコレクターのディミトリス・ダスカロプロスが350点以上の美術品を3カ国4美術館に寄贈 メガコレクターであるディミトリス・ダスカロプロスは、自身のコレクションから、142人のアーティストによる350点以上の作品を美術館に寄贈することを発表した。140点がギリシャ国立現代美術館、約100点がニューヨークのグッゲンハイムとアメリカのMCAシカゴに、110点がイギリスのテイトに収蔵される予定。これらの作品の多くは、マリーナ・アブラモヴィッチ、マシュー・バーニーら、過去数十年の最も重要な現代美術家たちで構成されている。(artnet news)

▍トレド美術館、80億円以上の値がつく3点の印象派絵画の売却を決定 5月、サザビーズのオークションにトレド美術館のコレクションから印象派絵画3点が出品される。販売されるのはポール・セザンヌ、アンリ・マティス、ピエール・オーギュスト・ルノワールの作品で、今シーズン最大の機関売却額となる約80.6億円 (約6,400万ドル) に上る可能性がある。売却額で美術館の運営を改善・拡大するための資金を得ることが目的。

美術館のコレクション売却については、メトロポリタン美術館がピカソのブロンズ像を5月12日のクリスティーズへ出品することを発表しているが、これは美術館がコレクションを貯金箱にしているという批判もあり、論争の的になっている。(artnet news)

ANDARTに会員登録すると、オークション情報や話題の展覧会情報など、今が旬のアートニュースをお届けします。メールアドレスの他、SNSでも簡単に登録できるので、ぜひご検討ください。

文:ANDART編集部