注目のオークション情報から、​​NFTのトピックまで。先週1週間のアートトピックを振り返ります。(1ドル=124円、1ユーロ=135円で換算)

目次

  1. 今後の注目オークション
  2. オークション結果
  3. マーケット
  4. 展覧会・アートプロジェクト
  5. コラボレーション

今後の注目オークション

≪Femme nue couchée≫ / パブロ・ピカソ (Courtesy Sotheby’s)
(画像=≪Femme nue couchée≫ / パブロ・ピカソ (Courtesy Sotheby’s) )

画像出典:https://edition.cnn.com/

▍パブロ・ピカソのミューズの稀少な肖像画がオークションに初登場 パブロ・ピカソが、彼の恋人でありミューズでもあったマリー=テレーズ・ワルターを描いた珍しい肖像画 ≪Femme nue couchée≫ がオークションに初登場する。ピカソが画家のキャリアで最も多作だった時期である1932年に描かれたもの。5月のサザビーズオークションで 約74.4億円 (6,000万ドル) を超える価格で落札されると予想されている。サザビーズによれば、作品が「海」を連想させるのは、ピカソの妻と息子が家族で海水浴に出かけた際、その目を盗んでピカソとマリー=テレーズは関係を持ったことに起因しているという。(Forbs)

ANDARTでは、ピカソが版画の新技法を駆使し最期の妻・ジャクリーヌを描いた一作≪Portrait de Jacqueline de Face Etat Ⅲ 21-21-1961(Bloch 1064)≫を取り扱っている。

▍来月オークションにかけられるアンディ・ウォーホルの2枚マリリン。1,000倍の価格差の理由は? アンディ・ウォーホルの代表的なマリリン・モンローの肖像画2点が、今年5月に競売にかけられる。1枚はクリスティーズから販売される≪Shot Sage Blue Marilyn≫で、約250億円 (2億ドル) 程度での落札が期待されている。もう1枚は、ボナムズから販売される≪Marilyn≫で、約2,500万円から約3,100万円 (20万ドルから25万ドル) の値が付くと推定され、同じモチーフでも価格には1,000倍の差がある。

この価格差の理由は、≪Shot Sage Blue Marilyn≫の歴史によるものだ。同作は、1964年にウォーホルが制作した赤、オレンジ、水色、セージブルー、ターコイズという5色の背景のマリリンの1枚。ウォーホルが本作をファクトリーに置いていたところ、パフォーマンスアーティストのドロシー・ポッドバーが、ウォーホルに「撮影(shoot)して良いか?」と尋ねて了承を得ると、4枚の「マリリン」の絵に銃を撃ち込んだものだ。(言葉遊びのつもりだったという。) こうしたハプニング的要素も価格には大きく影響している。(Art & Object)

ANDARTでは、アンディー・ウォーホル代表的肖像画の一つで、ハリウッド黄金時代の映画スターを描く鮮やかな名作 ≪Liz≫ を取り扱っている。

▍奈良美智による約13億円の絵画が香港のオークションへ サザビーズ香港は、奈良美智の ≪Oddly Cozy≫ (予想落札価格:約13億円〜19億円 (1,020万〜1,530万ドル))を競売に掛ける。2013年に制作された本作は、東日本大震災を経て、奈良の作風がソフトに変化したもの。奈良のオークションランキングのトップ3はいずれも少女がモチーフになったものであり、これらの作品から作風が変化する今回の少女像の作品の落札価格にも注目が集まっている。(THE VALUE)

ANDARTでは、奈良美智の代表的モチーフである挑戦的な眼差しの少女の作品 ≪Backwards Forwards≫ を取り扱っている。

オークション結果

2022年第1四半期で最高額の落札となった ≪Empire of Lights≫ / ルネ・マグリッド
(画像=2022年第1四半期で最高額の落札となった ≪Empire of Lights≫ / ルネ・マグリッド)

画像出典:https://www.bloombergquint.com/

▍2022年第1四半期の世界のオークション結果トップ10 美術品の価格データベース「Artprice.com」は、2022年第1四半期のオークション結果のサマリを発表した。世界のオークションで200点以上の美術品が100万ドル (約1.2億円) 以上の値を付けた。最高額で落札されたのは、ルネ・マグリッドの≪Empire of Lights≫で 約98.3億円 (7,930万ドル)。先日、国内の落札過去最高額を記録したアンディ・ウォーホルの≪Silver Liz(Ferus Type)≫も、7位にランクインしている。(Artprice.com)

ANDARTでは、この≪Silver Liz(Ferus Type)≫と同じ被写体であるエリザベス・テイラーを描いた作品 ≪Liz≫ を取り扱っている。

▍イヴ・クラインの「領収書」、1.1億円以上で落札 イヴ・クラインのコンセプト作品の領収書がオークションに出品され話題となっていたが、最高予想落札価格 約6,750億円 (50万ユーロ) を大きく上回る約1.1億円(85万ユーロ)で落札された。購入者は「ヨーロッパの個人コレクター」だという。クラインは1959年から1962年に亡くなるまでの間に、領収書によって証明された「目に見えない作品」を販売。支払いとして純金を受けとった後、作品の購入者は領収書を燃やし、クラインは受け取った金の半分をセーヌ川に流すというパフォーマンスを行った。このため、作品の証明である領収書が残っているのはレアなケースだ。(artnet news)

マーケット

2019年にコンサートホールから盗まれ、後にイタリアで発見されたバンクシーによるアートワーク
(画像=2019年にコンサートホールから盗まれ、後にイタリアで発見されたバンクシーによるアートワーク)

画像出典:https://www.thedailybeast.com/

▍盗難・販売されるストリートアート かつては破壊行為とみなされていた、壁や電車に描かれたストリートアートは、市場で人気のアイテムになり、ストリートアートの盗難が急増していることが報じられている。ニューヨークのPhase 2、イギリスのバンクシーやStikなどのアーティストの作品は、強盗の格好のターゲットとなり、身代金を要求されたり、闇市場で売られたりするようになっているという。(DAILY BEAST)

展覧会・アートプロジェクト

ポーラ美術館で初公開されるゲルハルト・リヒターの 《抽象絵画(649-2)》© Gerhard Richter 2021 (05102021)
(画像=ポーラ美術館で初公開されるゲルハルト・リヒターの 《抽象絵画(649-2)》© Gerhard Richter 2021 (05102021))

画像出典:プレスリリース

▍約30億で落札されたリヒター作品も初公開。ポーラ美術館開館20周年記念展「モネからリヒターへ」が開幕 今年開館20周年を迎えるポーラ美術館で、鈴木常司が収集したコレクションと、近年新収蔵した作品を合わせて紹介する初の展覧会「ポーラ美術館開館20周年記念展 モネからリヒターへ ― 新収蔵作品を中心に」が4月9日より開幕した。主要なテーマを「光」とし、モネら印象派の画家たちと、リヒターをはじめとする現代の作家たちに共通する、光への関心を紹介。昨年、約30億円で落札され、話題となったリヒターの≪抽象絵画 (649-2)≫も初公開される。(ポーラ美術館)

▍現代アートコレクター・桶田夫妻のコレクションをスパイラルガーデンで展示 現代アートコレクターとして、その審美眼で知られる桶田夫妻が、今最も輝いていると思う日本人アーティストの作品を一挙公開する展覧会「OKETA COLLECTON: THE SIRIUS」が4月9日に開幕した。井田幸昌や猪瀬直哉から、川内理香子、水戸部七絵まで、14アーティストの作品が展示される。今回、スパイラルガーデンのアトリウム展示は、山口歴が監修。山口の平面3点と立体作品も展示する。(OKETA COLLECTION)

▍名和晃平の未公開品を含む多数の作品を銀座 蔦屋書店で展示 銀座 蔦屋書店は、5周年記念企画として、彫刻家名和晃平による個展「Fountain」を4月16日から4月30日に、店内中央イベントスペース「GINZA ATRIUM」にて開催する。名和と振付家ダミアン・ジャレによるパフォーマンス作品の書籍刊行を記念したもの。同作品をモチーフとした平面作品のほか、アーティスト活動の最初期からのドローイングをシルクスクリーンによる版画にした≪Esquisse≫、彫刻≪Fountain≫など、未公開品を含む多数の作品を展示する。(名和晃平「Fountain」)

▍六本木のアートスペース「ANB Tokyo」が幅広いジャンルのクリエイターの制作を支援するプログラムを始動 スタジオやギャラリー、ラウンジを有する六本木のアートコンプレックスビル「ANB Tokyo」は、2022年4月より、クリエイターを中心としたメンバーシッププログラム「ANB Studio Program」をスタートする。クリエイターが制作や発表のため自由に利用できる共同スペースとして、ANB Studio1&2(6F&7F)を無償で提供。プログラムを通して異なる領域のクリエイター同士が出会い、ANB Tokyoが培う独自のネットワークを生かしたキュレーターやギャラリスト、コレクターと接続する機会も創出する。4月7日より、参加アーティストの募集を開始している。(ANB Studio Program)

コラボレーション

2022年4月14日、直島にグランドオープンする「直島旅館ろ霞」館内の様子
(画像=2022年4月14日、直島にグランドオープンする「直島旅館ろ霞」館内の様子)

画像出典:プレスリリース

▍現代アートに出会う旅館「直島旅館ろ霞」が4月14日にオープン 世界的にも現代アートの島として有名な香川県の直島に、4月14日「直島旅館ろ霞」がオープンする。直島の「家プロジェクト」が立ち並ぶ中心エリアまで徒歩5分の好立地で、直島では初の全室客室露天風呂付きの本格旅館。館内随所に名和晃平、山本捷平、横田大輔ら国内の若手現代アーティストの作品が設えられるほか、全客室に第一弾Featuredアーティストの品川亮による描き下ろし作品が展示・販売される。(直島旅館ろ霞)

▍ガチャピン・ムックとKAWSのコラボ「KACHAMUKKU」、4月16日発売 KAWSがフジテレビの子供番組「ひらけ! ポンキッキ」などに登場するキャラクター ガチャピン・ムックとコラボレーションしたフィギュアが、4月16日に国内で発売される。ガチャピン・ムックの目がKAWSのキャラクターに特徴的なバッテンに置き換えられ、2体のキャラクターが合体した形となっている。キャラクターそのままの色合いの「ORIGINAL」と、モノクロームの「BLACK」の2種の展開となっている。(MEDICOM TOY)

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文:ANDART編集部