矢野経済研究所
(画像=矢野経済研究所)

4月4日、東京証券取引所は60年ぶりに市場を再編、新たな上場区分による取引をスタートさせた。世界の証券取引所を時価総額で比較すると、東京はニューヨーク、ナスダック、ユーロネクスト、上海に次ぐ世界第5位、しかしながら、ニューヨークの時価総額は東京の4.5倍、ナスダックは4倍と大きく水を開けられており、売買代金でも遥かに及ばない。国際競争力の強化は急務だ。
新区分の銘柄イメージは「プライム」が機関投資家向けのグローバル企業、「スタンダード」は内需型の優良企業、「グロース」は高い成長性を期待できる新興企業。東京市場の魅力を高め、海外勢の資金を呼び込むためにも最上位「プライム」の差別化が期待された。

しかしながら、東京証券取引所旧1部上場企業2177社のうち1839社がプライムに移行、結果的にこれまでと代わり映えのしない銘柄構成となった。そもそも流通株式数2万単位以上、流通比率35%以上、時価総額100億円以上といった「プライム」の基準自体決してハードルが高いとは言えないが、その基準すら満たさない295社に経過措置が適用されるなど、“改革” の中途半端さは否めない。

せめて、経過措置には “期限” があって然るべきであるが、東京証券取引所は「上場会社が、選択先の市場区分の上場維持基準を充たしていない場合、上場維持基準の適合に向けた計画及びその進捗状況を提出し、改善に向けた取組を図っていただくことで、当分の間、経過措置として緩和された上場維持基準を適用します」(日本取引所グループHPより)と言うに止まる。

萩生田経済産業大臣は3日のNHK「日曜討論」で「過去を振り返って、イノベーションは起きなかった。日本経済が成長出来なかったのはそのためである」との認識を示した。つまり、異次元緩和による円安誘導によって現出された株高は “成長” につながらなかった、ということだ。
世界の投資家の目を東京に向けさせるためにも市場改革は不可欠だ。今回の再編はその第一歩である。しかし、彼らの関心事は市場区分ごとの上場会社の数ではない。調達した資金を持続的に成長投資に振り向け、成果を社会に還元出来るガバナンスの高い企業の多寡である。問われているのは企業のイノベーション力であり、そうした流れを作り出し、投資家とつなぐための質的な改革を進めて欲しい。

今週の“ひらめき”視点 4.3 – 4.7
代表取締役社長 水越 孝