注目のオークション情報から、NFTのトピックまで。先週1週間にアートマーケットを賑わせた話題を振り返ります。(1ドル=119円で換算)
オークション結果
▍パリ初のシュルレアリスムオークションで、ピカビアが過去最高額の約13億円で落札 3月16日、パリで初めてのシュルレアリスム専門のオークションが開催された。23点の出品に対し、95.7%の成約率となり、総額5,200万ドル(約62億円)の売上となった。最も売れた作品はフランシス・ピカビアの≪Pavonia≫(1929年)で、1,090万ドル(約13億円)の落札となり、これまでの同画家の最高落札記録880万ドル(約10.5億円)を大きく上回ることとなった。(artnet news)
▍展覧会で話題のダミアン・ハーストの「桜」が多数ランクイン;3月11日フィリップスオークション 3月11日、フィリップスオークション「Editions & Works on Paper」がニューヨークで開催され、プリント作品を中心とした作品が出品された。国立新美術館での日本初の大規模個展で話題のダミアン・ハーストの「桜」をモチーフとした版画作品が2位〜4位にランクインした。なお、ANDARTでは、ダミアン・ハーストの版画作品≪M-Fluorobenzylamine≫を取り扱っている。
▍ANDART取り扱い作品とエディション違いのジュリアン・オピー作品が高額落札;3月12日 SBIオークション 3月12日、「アートフェア東京」と初の同時開催で、SBIオークションが開催された。75作品が出品され、売上は約12.8億円。ANDARTで取扱中のジュリアン・オピー《New York Couples》のエディション違いは、予想落札価格を大幅に上回る約2,070万円で落札されている。
▍アンディ・ウォーホル作品が上位を独占;3月16日サザビーズオークション 3月10〜16日、サザビーズオンラインオークション「Prints & Multiples」が開催された。近現代のアーティストの版画などのエディション作品を扱うオークション。高額落札額TOP5のうち、4作品がアンディ・ウォーホルのポートレート作品が占め、その人気の高さを伺わせた。なお、ANDARTでは、アンディ・ウォーホルがエリザベス・テイラーのポートレートを描いた≪Liz≫を取り扱っている。
NFT
▍Bored Ape Yacht Clubの企業がCryptoPunksとMeebitsを買収。NFTの3大プロジェクトが1つのオーナーに 3月11日、大人気のNFTプロジェクト「Bored Ape Yacht Club」を制作する企業である「Yuga Labs」は、最も収益性の高いNFTアートの1つである「CryptoPunks」と、人気シリーズ「Meebits」を買収すると発表した。NFTの世界における大規模な統合の最初の兆候の1つと言われている。ウクライナの戦争でNFTの価格が低下しつつあったが、この発表を受け、3つのコレクションの価格は急騰し、発表から2日も経たないうちに、Bored Apeの最低価格は30%以上上昇、CryptoPunksは11%、Meebitsは32%上昇した。(artnet news)
オークションハウス
▍大手オークションハウス、一斉にロシアの美術品販売を中止 オークションハウスの大手、「クリスティーズ」、「サザビーズ」、「ボナムズ」は、ウクライナ侵攻に対する欧米の対ロシア制裁に対する美術市場の対応の一環として、6月にロンドンで行われるロシア美術品の販売を取り止めた。一部のディーラーやアドバイザーは、2008年の金融危機以降、ロシアの購買者数は減少しており、市場のごく一部であるため、国際美術市場全体が打撃を受けることはないだろうと述べている。(REUTERS)
▍ボナムズ、ボストンのオークションハウス「スキナー」を買収 オークションハウスの「ボナムズ」は、マサチューセッツ州に拠点を置く中堅の競合会社である「スキナー」を買収した。ロンドンに拠点を置く同社は、デジタル化とともにグローバル化を強化することを目指している様子。過去3年間で、ボナムズの販売活動はほぼ倍増している。ボナムズはオンラインでの販売を主力としており、ボナムズのオンライン・マーケットプレイスは、2021年末までに美術品市場のデジタル販売において約25%のシェアを占めると推定されている。(Robb Report)
マーケット
▍パンデミックはアートマーケットに打撃を与えず。2021年のオークションは60%の売上増加 Artprice.comより市場調査レポート「2021 Global Art Market Report」が発表され、無料で公開されている。世界のアートオークション売上高は170.8億ドルに達し、2020年比で60%増となるなど、パンデミックがアートマーケットに打撃を与えなかった。2021年の特徴的な傾向としては、以下3点が挙げられている。① メジャー化するNFT ②若いアーティストたちが次々と記録を更新する「レッドチップ」現象 ③アフリカ系アーティストの需要の高まり(ジャン・ミッシェル・バスキアは、ピカソに次いで世界で2番目に成功した芸術家になった。)(artprice)
展覧会
画像出典:プレスリリース
▍骨董から現代アート。OKETA COLLECTIONの2つの展覧会が都内で開催 長年ファッションビジネスに携わってきたコレクターの桶田俊⼆・聖⼦夫妻による骨董や現代アートのコレクション「OKETA COLLECTION」が、4月に都内の2つの展覧会で公開される。4月9日から24日までは、東京・青山のスパイラルガーデンで「OKETA COLLECTON: THE SIRIUS」が開催される。スパイラルガーデンのアトリウム展示を山口歴が監修し、平面3点と立体作品を展示予定だという。
また、4月28日からは、東京・天王洲にある「WHAT MUSEUM」で、OKETA COLLECTION「Mariage (マリアージュ)−骨董から現代アート−」展が開催される。彫刻家・名和晃平の代表作のひとつである《PixCell-Deer#48》のみを展示した、本展覧会だけの空間など、ユニークな展示デザインをほどこした空間の中で、新鮮な鑑賞体験を味わうことができる。前後期制で、8月6日から後期展覧会OKETA COLLECTION「YES YOU CAN −アートからみる生きる力−」展が開催される。(OKETA COLLECTION)
▍奈良美智、中国初個展を上海で開催 上海にある「ユズ・ミュージアム」で、奈良美智の個展が3月5日よりスタートした。中国本土での奈良美智の初の個展であり、世界初の大規模な回顧展ツアーになるという。絵画、彫刻、陶芸、インスタレーションなど70点を超える主要作品と、多数の未発表原稿を含む700点を超える紙の作品を展示し、37年間に及ぶ多作な芸術家のキャリアを総括する回顧展となる。(ユズ・ミュージアム)
▍テート・モダン、草間彌生の鏡の部屋の公開期間を1年延長へ イギリスの近現代美術館である「テート・モダン」は、「Yayoi Kusama: Infinity Mirror Rooms」展の会期を1年延長し、2023年6月まで公開することを発表した。パンデミックを経て、2021年6月に一般公開を再開したものの、高い人気で、四半期ごとに販売されるチケットは完売となっていた。(TATE)
▍SXSWで、地元企業が世界最大級のバンクシー作品の個人コレクションを公開 毎年3月にアメリカで開催される音楽祭・映画祭・インタラクティブフェスティバルなどを組み合わせたイベントSXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)で、地元企業が、世界最大級のバンクシー作品の個人コレクションを展示している。バンクシー作品から10数点を厳選。その中には、バンクシーの作品の中で最も希少価値の高い≪Girl with Balloon Red, and Girl with Balloon, Purple≫も含まれているという。(KVUE)
コラボレーション
▍ダニエル・アーシャムがStone Islandとコラボ。サファリ仕様のポルシェ911オフローダーを製作 ダニエル・アーシャムは、スポーツウェアブランド、「Stone Island」とコラボレーションした「サファリ」と題する新しいプロジェクトを立ち上げた。コラボレーションの一環として、アーシャムはポルシェ911とウニモグ404をラリーカー仕様にカスタマイズし、「Stone Island」の特注張り地を使用した。この車は、3月19日からロサンゼルスで展示・販売されるという。(designboom)
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文:ANDART編集部