くら寿司、売上400億円超! 全世界で大人気の理由は”意外なあのアニメ”
(画像=tamayura39/stock.adobe.com)

大手回転寿司チェーンのくら寿司は2022年3月9日、2022年10月期第1四半期(2021年11月〜2022年1月期)の決算発表を行った。売上高は日本・北米・アジアで全て増加し、全体では19.5%増の464億5,200万円と堅調な伸びを見せた。純利益も3倍近く増えている。

純利益は前年同期と比べて約2.9倍に

以下がくら寿司の2022年10月期第1四半期の連結業績だ。営業利益は前年同期比22.4%減の6億8,700万円と落ち込んだものの、純利益は前年同期と比べて約2.9倍となる17億800万円を記録した。

くら寿司、売上高464億の増 全世界で好調なのは「鬼滅」のおかげ?

売上高が伸びたのは、日本事業・北米事業・アジア事業の3事業すべてで売上高を伸ばすことができたからだ。ちなみに、2022年2月時点で、日本では507店舗、北米では36店舗、アジア(台湾)では44店舗を展開している。

日本事業:セルフ会計やセルフレジなどを導入

日本事業では、セルフ会計やセルフレジを導入するなど感染対策に努めたことが客からの支持につながった。日本事業の売上高は前年同期の352億6,300万円から395億2,400万円へと約12.0%伸びた。

北米事業:コロナ禍の制限措置解除が売上増に寄与

北米事業においては、コロナ禍に伴って実施されていた店内飲食の座席制限などがなくなったことが大きく寄与した。売上高は前年同期の9億8,900万円から33億5,500万円へと急回復した。ただし、アメリカでは従業員の賃金の上昇が顕著で、収益の圧迫につながったという。

アジア事業:消費は徐々に回復、鬼滅の刃とのタイアップも

くら寿司のアジア事業は、いまのところは台湾のみだ。台湾では外出時のマスクの着用義務などが維持されたが、「消費は徐々に回復し売上高は順調に推移」(決算短信)したという。

人気アニメ「鬼滅の刃」とのタイアップ企画を実施したことも売上増に寄与し、売上高は前年同期の26億2,600万円から35億7,300万円へと36.0%増となった。

売上高は右肩上がりだが、ここ2年は純利益では苦戦

くら寿司は1995年に創業し、2004年に東証2部に上場後、翌年2005年に東証1部に指定替えをしている。直近10年の業績は以下のように推移しており、売上高は基本的には右肩上がりだ。しかし、直近2年は純利益があまり振るっていない。

くら寿司、売上高464億の増 全世界で好調なのは「鬼滅」のおかげ?

では、今期2022年10月期の通期ではどの程度の業績に着地する予定なのか。同社のIR資料によれば、いまのところは売上高1,888億6,900万円、純利益が28億7,800万円となる見通しだという。

つまり、このままいけば売上高は過去最高を更新するが、純利益はビフォーコロナの水準まではまだ戻らないということになる。

純利益がビフォーコロナの水準に戻るのはいつ?

今後の注目は、まず純利益の水準がいつビフォーコロナの水準を超えるかという点だろう。新型コロナウイルス対策で店舗内における設備投資などが重荷となっているとみられ、コロナ禍の収束とともに順調に純利益が回復していくか、しっかりとウオッチしていきたい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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