鳥貴族、今期も18億円の大幅赤字でコロナを乗り切れるのか?
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

居酒屋チェーンを展開する鳥貴族ホールディングスは2022年3月11日、2021年8月~2022年1月期の決算を発表した。売上高は81億8,400万円で、前半3ヵ月の売上高は21億3,600万円だったことから、後半3ヵ月に盛り返していることが分かる。

2021年8月~2022年1月期の売上高は81億8,400万円

以下が2021年8月~2022年1月期に相当する2022年7月期第2四半期の連結業績(累計)だ。冒頭触れた通り、売上高は第1四半期単独の21億3,600万円から81億8,400万円に増えている。

鳥貴族、売上高81億で盛り返すも赤字額はいくらか

営業利益は18億5,600万円の赤字となっており、この赤字額は第1四半期単独よりも1億3,100万円増えた。経常利益と純利益はほぼ横ばいとなっている。

営業時間短縮や酒類提供自粛などの要請が大きく影響

今期の第2四半期までの業績を同社の経営陣はどう受け止めているのだろうか。

決算発表資料では「東京都をはじめとする営業時間短縮、酒類提供自粛要請等が大きく影響」と明記している。同社も時短営業を余儀なくされ、数字上、売上高は盛り返しているが、まだまだ厳しい状況が続いているということだ。

ちなみに、純利益は8億800万円の黒字となっているが、これはコロナ禍に伴う「助成金」が支給されたことが関係している。決算短信によれば、助成金収入は31億5,900万円だという。

鳥貴族ホールディングスの過去の業績を振り返る

続いて以下の通り、鳥貴族ホールディングスの過去の業績を追っていこう。鳥貴族は2014年に上場し、2021年に持株会社体制へ移行しており、2020年7月期までは「非連結」、2021年7月期からはグループ会社を含めた「連結」で業績を発表している。

鳥貴族、売上高81億で盛り返すも赤字額はいくらか
鳥貴族、売上高81億で盛り返すも赤字額はいくらか

持株会社体制へ移行する前の非連結業績の推移を見てみると、新型コロナウイルスの影響を受ける2020年7月期より以前は、売上高は右肩上がりの状況が続いている。ただし、純利益はビフォーコロナの2019年7月期に赤字に転落しており、その後、3期連続の赤字となっている。

2019年7月期の最終赤字は、不採算店舗や撤退予定の店舗に関して、固定資産の減損損失を計上したことが理由だ。つまり、ビフォーコロナの時点で同社は一部において店舗運用に苦しんでいたということになる。

いまは耐えるしかない状況の居酒屋チェーン

2022年3月現在、新型コロナウイルスの変異株である「オミクロン株」がまだ猛威を振るっているが、感染者数はピークを超えたように見える。1日当たりの全国の感染者数は2月5日に10万人を超えたが、すでに1日5万人程度という状況だ。

このままオミクロン株が収束に向かい、再び別の変異株が流行し始めるようなことがなければ、居酒屋業界に属している企業はV字回復のフェーズに入る。まずは時短営業が終わるのが第1フェーズ、そして席数などを減らさなくてもよい状況になるのが第2フェーズだ。

しかし、残念ながらそれらのフェーズを迎えるまでは、居酒屋チェーンは助成金などを活用しつつ耐えるしかない。企業によっては融資などで手元のキャッシュを増やし、経営破綻だけは避けようと努めている。

鳥貴族ホールディングスにとっても、まだ辛抱の時期が続く。苦しい経営状況ながらも何とか耐え抜き、そして見事なV字回復を果たしてほしい。

文・岡本一道(金融・経済ジャーナリスト)

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