米中「新冷戦」に突入?日本が選ぶべきはどちらか
(画像=Destina/stock.adobe.com)

すでに2022年が始まって早3ヶ月。もうすぐ今年度も終わりにさしかかり、新たな門出を迎える人も多いかもしれない。

THE OWNERでは今年度にヒットした記事を振り返る特集を企画。今年度話題を呼んだ「中国」の動向について振り返る記事をピックアップした。

中国は経済、学術などさまざまな分野において、米国と並ぶ大国に成長を遂げた。2028年までに世界一の経済大国になると予想されるが、その実態はどうなっているのだろうか。

1.中国、「経済絶好調」は大ウソ? 苦悩にあえぐ中小企業の実態

(2021/09/12 配信)

経済、学術などさまざまな分野において、中国は米国と並ぶ経済大国に成長を遂げた。世界がパンデミックの経済的ショックに苦戦する中、一早く回復基調に転じ、今や米国をしのぐ勢いだ。しかし、実際は国内の物価が高騰し追加金融緩和が講じられるなど、足元が揺らいでいるのではないかとの疑念もささやかれるなど、その実態には不透明さが漂っている。

中国、2028年までに世界一の経済大国に?

世界で最初に新型コロナの危機に直面したにも関わらず、中国は迅速かつ厳格な措置を講じることで感染拡大の抑制に成功した。これが経済活動の早期回復につながった。

さらに6兆元(約101兆6,150億円)規模の大型財政出動や国内外からの生産需要の急増という強力な追い風に背中を押され、「中国一人勝ち」の状況を創り上げた。コロナ禍にも関わらず、2020年の貿易黒字は前年から27%増の5,350億ドル(約58兆6,934億円)と、過去最高に近い水準を記録した。

国際通貨基金(IMF)が2021年7月に発表したデータによると、世界がコロナの大打撃を受けた2020年、主要国の中で唯一経済がプラス成長を記録したのは中国のみだった。2021年の成長予想も8.1%と世界平均(6.0%)を上回り、米国(7.0%)や日本(2.8%)、ドイツ(3.6%)といった経済大国との差がさらに広がる見通しだ。

英シンクタンク、経済ビジネスリサーチセンター(CEBR)は最新の報告書の中で、「中国が2028年までに米国を追い抜き、世界最大の経済大国となる」と予想している。また、国営通信社新華社によると、習近平国家主席は「自国が2035年までにGDPを2倍に増やすことは絶対に可能である」と豪語しているという。

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2.中国、論文の数・質ともに世界一に 日本はインドにも抜かれ過去最下位に没落

(2021/09/04 配信)

中国が、自然科学系の学術論文の数・質(他論文からの引用の数)共に世界1位となったことが、文部科学省科学技術・学術政策研究所の研究報告書で明らかになった。対照的に日本は、インドや韓国にも追い抜かれ、世界の経済大国とは思えない順位の低迷を示している。

論文数・質 上位10ヵ国

同報告書「科学技術指標」は、主要国の科学技術に関する活動をさまざまな角度から分析・評価したものだ。その活動には、化学、材料科学、物理学、計算機・数学、工学、環境・ 地球科学、基礎生命科学、臨床医学などがあり、研究開発費や人材、論文数、特許出願数などから評価する。各国の研究開発力を示す指標として活用されている。

2017~2019年までの論文を分析した2021年版の上位10ヵ国は、以下の通りである。量的観点から発表された論文数と、質的観点からTop10%補正論文数(他の論文から引用される回数の多い論文数)を順位付けている。

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3.中国、日本に警告 「必要なすべての措置を講じる」 逆鱗に触れた日米共同声明の行方は?

(2021/05/08 配信)

2021年4月16日、ホワイトハウスでの日米首脳会談後に発表された「日米共同声明」は、台湾に歓迎と好意をもって迎えられた一方で、中国の逆鱗に触れることとなった。中国は、台湾、香港、新疆ウイグル自治区問題への言及を「内政干渉」とし、断固として撥ねつけると同時に、「必要なすべての措置をとる」と対戦的な構えだ。果たして、中国の報復は現実となるのか。

中国の逆鱗に触れた「日米共同声明」

声明文の内容は、「自由で開かれたインド太平洋を形作る日米同盟」、イノベーションから新型コロナ感染症対策、国際衛生政策、健康安全保障、グリーンな世界経済の復興などのビジョンを示す、「新時代における同盟」を宣言するものだった。

中国が強く反発しているのは、「日米両国は、台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促す」「日米両国は、香港及び新疆ウイグル自治区における人権状況への深刻な懸念を共有する」の二ヵ所である。

日米が共同声明に台湾を盛り込んだのは、日中国交正常化(1972年)以来約50年 ぶりだ。これまで中国との対立に消極的だった日本が、米国と組んでインド太平洋の平和に動き出した。これは中国にとって、決して歓迎すべき動きではない。他国から「内政」に口出しされるだけでも面白くないはずだが、相手が最大の対立国である米国、そして米国に肩を押される形で重い腰を上げた日本となれば、なおさら、牙をむかないわけにはいかない。

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4.中国、教育課程に「習近平思想」で洗脳強化? 独裁主義国家への歩み止まらず

(2021/09/20 配信)

中国教育省は2021年8月、国内の小学校から大学院までの教育課程において、習近平の共産主義思想を教える国家プログラムを導入すると発表した。ウイグルや香港での言論弾圧が国際問題として議論を呼ぶ中、教育面でも国家の思想統一がさらに進むことが予想される。

創立100年を迎えた中国共産党と、それを率いる習近平国家主席の「独立主義国家」への野望は、決して果てることがない。

教育課程に「習近平思想」採用

新年度(9月)に合わせて改訂された新しい教科書は、習近平思想がふんだんに盛り込まれた内容だ。習国家主席の政治的イデオロギーを義務教育から徹底して叩き込み、愛国心を養う意図である。政府が発表した新教育カリキュラムのガイダンスによると、小学校の教師には「党、国、社会主義を愛する種を若者の心に植え付ける」ことが求められる。

ガーディアン紙の報道によると、「教科書は習近平国家主席の力強い引用文と笑顔の写真が掲載されており、小学生向けに中国文明の功績や貧困削減、さらに新型コロナとの戦いにおける共産党の役割について教え込む章が設けられている」という。

「習近平思想」のベースは、2018年に発表された「最高指導者の政治哲学」で、共産主義の理想を強調する14の主要な原則で構成されたものだ。「完全かつ深い改革」「新たな発展のアイデアの追求」「人と自然の調和のとれた生活」「人民軍に対する党の絶対的権威」「一国二制度と祖国との統一」などを内包する。

これらを若者にも分かりやすく説くために、低学年の教科書では「習近平おじいさん」という呼び名を使い、親しみやすさを醸し出している。年長の子ども向けの教科書では、「現代社会主義大国」を実現するための道のりについて説く一方で、「強い国には強い軍隊が必要」「台湾独立勢力の分裂工作を打ち砕く」といった、自国の軍事力の重要性についても触れている。

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5.「2032年、中国が世界最大の経済大国になる」?中国が世界のビジネスを制する日は来るのか?

世界経済がコロナショックからV字回復を遂げる中、先進国・発展途上国を問わず、その後遺症は長期間にわたり継続すると見られている。ところが唯一、コロナ不況や後遺症をものともせず、着実に勢力を拡大し続けている国がある。中国だ。「2032年には世界最大の経済大国になる」と予想されている中国のビジネスの台頭と、それを後押しする女性起業家の跳躍について探ってみよう。

コロナ禍で唯一の「勝ち組」に

国際通貨基金(IMF)が4月に発表した2021年の各国の成長率見通しで、ひときわ目立つ伸びを示しているのは中国(8.4%)とインド(12.5%)の二ヵ国のみだ。米国(6.4%)、日本(3.3%)、ドイツ(3.6%)、フランス(5.8%)、英国(5.3%)など、他の経済大国を大きくリードしている。

さらに、中国国家統計局が16日に発表した第1四半期(1~3月)の国内総生産(GDP)は、前年同期比で18.3%増と1992年以来最大の伸びを記録した。経済活動が急激に低迷した2020年との比較であることを理由に、成長の実態とのギャップを指摘する声もあるが、他国との回復格差は歴然だ。他国の回復が遅れるほど、さらに格差が広がる可能性も予想される。

世界で最初に新型コロナが蔓延した中国は、一回目のロックダウン(都市封鎖)が解除された後、世界に先駆けて経済活動を再開した。世界最大の輸出大国であることを武器に、特に工業生産分野で劇的な回復を遂げた。第1四半期の伸びも、輸出の拡大によるところが大きい。

成長率が高いとみられているインドは、現在第4波の猛威の真っただ中にある。4月19日には、1日当たりの新規感染者が過去最高の27万3,810人、死者が1,619人を記録した。ワクチン接種のペースを早めるといった対応策を講じているが、経済活動が再び低迷していることから、今後の経済成長が危ぶまれている。つまり、少なくとも当面は、「中国の一人勝ち」が継続することとなりそうだ。

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いかがだっただろうか。世界がパンデミックの経済的ショックに苦戦する中、中国は一早く回復基調に転じ、今や米国をしのぐ勢いだ。しかし、コロナ禍の経済回復がピークを越え、苦悩にあえぐ企業が増加傾向にあるという見方もある。

それでも他の主要国よりはるかに経済成長に貪欲であるため、着実に勢力を拡大し続けていくだろう。

文・THE OWNER編集部

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