のむら産業(株)(清川悦男社長)は12月2日、東証のJASDAQ(スタンダード)市場に新規上場した。
上場にあたって公表した資料によると、2021年10月期第3四半期決算は、連結ベースで売上高35.25億円、営業利益1.74億円、経常利益1.74億円、四半期純利益1.06億円。
セグメントは「包装関連事業」(米袋)と「物流梱包事業」に分かれ、包装は売上高29.56億円、セグメント利益1.62億円。家庭用販売が堅調の一方、業務用販売は一部回復傾向も外食店の需要減などで販売減となった。また、物流は売上高5.71億円、セグメント利益0.12億円。コロナ禍によって製造業などの物流梱包関連商品需要が減少していたが、一部に緩やかな回復傾向がみられる。また、消費者のネット購入拡大による需要は引き続き堅調に推移。
通期業績予想は売上高51.12億円(前期比4.4%増)、営業利益3.14億円(18.7%増)、経常利益3.21億円(21.4%増)、当期純利益2.01億円(266.9%増)を見込む。包装の予想売上高は43.69億円(4.5%増)。内訳は資材27.57億円、機械16.12億円で、取引先の工場新設を増収要因に見込んでいる。また、物流の予想売上高は7.43億円(3.4%増)。予想について同社は「包装資材は新米の収穫期にその需要が高まる傾向があるものの、売上に大きな影響を与える米の生産量・消費量が大きく変動することは少ないため、毎期ほぼ同様の売上が見込める。また、包装機械は、受注から納品まで最低2ヶ月を要すため、3Q終了時点の受注状況から、4Qの売上高は高い確度で見込める」とする。
上場株式の(事前)公募価格は1株あたり1,210円に設定されたものの、初値は1,113円、終値はこの日の安値となる975円だった。例年12月は株価が上昇しやすいアノマリー(経験則)があるが、現在はオミクロン株の登場、アメリカの金融緩和縮小、中国・恒大集団の信用不安から世界的に株価が軟調に転じて地合いが悪い。また、今月は新規上場企業が33社にのぼり、単月では約30年ぶりの高水準にあたる。本来は人気となる新規公開株も投資家の資金が分散するほか、同社上場にあたって筆頭株主となっていたベンチャーキャピタルが発行済株式のほぼ半数を放出した点も需給を流動的にした模様だ。
一般的に新規公開株は上場後しばらくの間、マネーゲームのターゲットになりやすい。事業内容や業績を正当に評価した株価になるには、まだしばらく時間がかかりそうだ。
〈米麦日報2021年12月3日付〉