食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

農水省は12月4日まで、「大豆ミート食品類の日本農林規格案」について、パブリックコメントを募集している。同案は、提出された意見・情報を考慮した上、決定するとしている。

今回のパブコメの募集は、日本農林規格(JAS)等に関する法律に基づき、大豆を原料として肉様の特徴を有するよう加工した「大豆ミート食品」と、それに肉、乳、動物性加工品の調味料を使用した「調製大豆ミート食品」の2種類の大豆ミート食品類の日本農林規格案について、日本農林規格調査会の審議に付すことを目的としたもの。

意見募集の対象となる案と関連資料はe-Govの「パブリック・コメント」欄に掲載(農水省のHPの「申請・お問い合わせ」の「パブリックコメント」からアクセス可能)。

〈大豆ミート食品の規定、大豆たん白含有率10%以上、アミノ酸スコア100の原料使用〉
大豆ミート食品類の日本農林規格(案)では、適用範囲を「大豆ミート食品」と「調製大豆ミート食品」と規定している。「大豆ミート食品」は、次の要求事項を満たすように生産される加工食品としている。大豆ミート原料を用いて製品特有の肉様の特徴を有するように加工すること、アミノ酸スコアが100である大豆ミート原料を使用すること、1次原料から3次原料までに動物性原材料とその加工品を使用しないこと、大豆たん白質含有率が10%以上であること。

アミノ酸スコア(A)は、9種の必須アミノ酸のうち、アミノ酸スコアが最も小さい「第一制限アミノ酸」の含有量(B)と、「アミノ酸評点パターンによる当該アミノ酸含有量」(C)から、スコアを求めることができる(A=B/C×100)。

表:アミノ酸評点パターン(1985年、学齢期前2-5歳)
(画像=表:アミノ酸評点パターン(1985年、学齢期前2-5歳))

全ての必須アミノ酸のアミノ酸スコアが100となる食品は、全ての必須アミノ酸をバランスよく含んでいるとされている。

大豆ミート原料のすべての原材料が、大豆または大豆由来の原材料である場合には、アミノ酸スコアは理論的に100となり、分析は不要となるとしている。大豆以外の植物、植物由来の原材料を用いている場合には、その大豆ミート原料中に含まれるアミノ酸の量を分析し、アミノ酸スコアを求める必要がある。

「表:主な食品のたん白質、アミノ酸スコア及び第1制限アミノ酸」を見ると、動物由来のアミノ酸スコアが100であるのに対し、植物由来のたん白の中でアミノ酸スコアが100となるのは、大豆たん白のみ。大豆には多くのたん白質が含まれるとともに、必須アミノ酸がバランスよく含まれている食品としているが、そらまめ、えんどう、小麦由来などのたん白の配合割合が増加すると、アミノ酸スコアが100を下回るという。

表:主な食品のたん白質、アミノ酸スコア及び第1制限アミノ酸
(画像=表:主な食品のたん白質、アミノ酸スコア及び第1制限アミノ酸)

同規格では、大豆たん白の新たな摂り方を消費者に提案する目的から、全ての必須アミノ酸をバランスよく摂取できるという点は、消費者への訴求という観点から重要と判断し、大豆ミート食品については、「アミノ酸スコアが100である大豆ミート原料を使用すること」の基準を設けたとしている。一方、調製大豆ミート食品は、当該基準を設けていない。

「調整大豆ミート」は次の要求事項を満たすように生産される加工食品としている。大豆ミート原料を用いて製品特有の肉様の特徴を有するように加工すること、1次原料から3次原料まで動物性原材料(食用鳥卵及び乳を除く)とその加工品(調味料を除く)を使用しないこと、大豆たん白質含有量が1%以上であること。なお、表示については、それぞれ「大豆ミート食品」「調製大豆ミート食品」と、容器包装の見えやすい箇所に記載が必要としている。

〈大豆油糧日報2021年11月11日付〉