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日本M&Aセンターが行うM&A大学。その卒業生として最前線で活躍するOBバンカーにインタビューする企画の第16弾。今回は名古屋銀行 法人営業部 法人コンサルティンググループ 係長 金田洋輔氏に、インタビューした。

M&A大学とは
日本M&Aセンターが協業する地域金融機関に向けて行う、研修・出向制度。M&A大学入学者(地銀からの出向者)はM&Aシニアエキスパート研修(JMAC)、評価・概要書研修などの座学と日本M&AセンターとのコンサルタントによるOJTなどを経て、自ら顧客への提案からM&Aの成約、契約の締結までを完結できるM&Aコンサルタントとなることを目指す。

日本M&Aセンターでの思い出

現在のM&A部署の状況や、銀行へ戻られてからの業務内容はいかがでしょうか?

法人営業部の中でM&Aに携わっているメンバーは全員で4名おりまして、年齢層も私と近い者が集まっています。一番長いM&Aプレイヤーが、M&A歴は5年半くらいですね。 弊行のお客様でも事業承継のニーズが高まっていることから、M&Aや事業承継の業務については行内でも注力する分野であると認識して日々業務を行っています。

チーム内で担当のエリア分けはどうなっておりますか?

当行のM&Aチームでは、エリア制をしいておらず、支店から上がってきた情報をチーム内で情報共有し、その時に対応できる者が皆と協力しながら担当するという形です。

金田さんは、以前は支店にいらっしゃったと思うのですが、M&Aの部署へは希望されていたのでしょうか?

そうですね。営業店で働いていた時に、本部で働きたいという希望はありましたし、M&Aについては興味がある分野でしたので、それが叶ったという感じですね。M&Aを担当する前に、法人営業部でビジネスマッチング等のソリューション営業の推進担当をしておりました。それから、同じ法人営業部内で、異動があり、M&Aに携わるようになりました。

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※金田氏にはオンラインでインタビューにご対応頂いた

着任してすぐに当社へ出向されたのですか?

着任して1か月後に出向しました。まだ何もわからない状況での出向スタートでしたね。

実際に出向に来られた期間で、何か印象に残っていることはありましたか?

そうですね。私の出向が始まった2020年4月はちょうど一番初めの緊急事態宣言が出た時だったので、日本M&Aセンターの社員の方もテレワーク等されていて、本来の状況を見られたのかはわかりませんが、皆さん忙しく、かつ活き活きと仕事をされている印象はありましたね。

出向中に、印象に残ったことなどありましたか?

顧客面談に同席させていただいたときに印象に残っているのは、日本M&Aセンターの社員の方からM&Aニーズを作り出しているなぁということです。銀行の場合はお客様のニーズがあって、それに合った内容の案件をご紹介することが多いのですが、日本M&Aセンターの買い担当者の方がお客様に「この案件を譲り受けすることで、この先御社の成長に繋がるのではないか?」と提案型の買い提案をされているのが印象的でした。とても参考になりました。

名古屋銀行が進めるM&Aと今後への抱負

最近M&Aの部署で取り組んでいることはありますか?

そうですね。我々は支店からの情報を頼りに営業活動をしていくスタイルなので、いかに支店の行員に事業承継・M&Aに関心を持ってもらうかということには気を付けていて、行内のNEWS等で情報発信をしたり、支店にリストを送ってお客様のフォローを行ってもらう等、他行様もされているとは思いますが、事業承継のニーズが高まっているので以前より力を入れて取り組んでいます。

行内のNEWSというのは、行内のイントラで発信されているのでしょうか?

はい、そうですね。新入行員等、M&Aの知識がない行員もおりますので、「M&Aとは」というような基礎知識から、M&Aのトレンド等を月に1~2回発信しています。 NEWSは、書面の時もありますし、動画の時は業務外で見られるような社内のオンデマンド学習システムにアップをして、発信したりしています。

その動画も行内で制作されているのですか?

提携業者さんの協力のもと、動画を提供頂いたり、導入部分を我々が制作したりしています。文章だとなかなか読まない人も、動画で5分~10分くらいのものだとみてもらえていると思います。

その動画に対して行内の反応はいかがですか?

そうですね、NEWSなどを見て「あれはどういうこと?」等お問い合わせをもらうことはありますね。やはり関心の高い人からはそういった情報発信から質問などアクションが返ってきますから、そこから個別の相談につながるケースも結構あります。

現在の名古屋のコロナによる事業承継・M&Aに関する影響はいかがでしょうか?

コロナ前からいつ会社を売ろうかなと検討されていた方が「今のタイミングで」決断されたり、どこかのグループと一緒になった方がより経営が安定するのではないかとご決断に至ることもありますね。余裕のある譲受企業が現在のビジネスモデルに不安を感じて、新しい柱となるような事業を開始する際に、新規参入ではなくM&Aを選択されるケースもあります。やはり異業種への参入に関しては、M&Aの可能性は多くあると思います。

最後にこれからM&A大学の出向を予定されている方、出向を検討されている方へ何かメッセージなどあればお願い致します。

私は短期間の出向期間で限られた時間でしたが、M&A大学の動画コンテンツは全て視聴させていただき大変勉強になりました。動画コンテンツは、テーマごとに区切られており、それぞれの実務を担当されているエキスパートの方が講師としてポイントをおさえて説明されているので、コンテンツをみるだけでも価値があるなと思います。長い期間出向されている方については、同行訪問や実務経験を多く積めるので、プラスαで学ぶ機会が多いと思います。M&A大学に参加することによって早期にレベルアップが可能になるのは間違いないですね。

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