【第8回】株式会社SoooooS.カンパニー「“サステナブル”は理屈っぽい?いえ、もう当たり前です」

無農薬の野菜や果物、有機栽培のフェアトレードコーヒー、繰り返し使えるエコラップ――。社会課題の解決につながる商品・サービス=“ソーシャルプロダクツ”を専門に扱うオンラインショッピングモール「SoooooS.com(スース)」。コロナ禍でネット通販市場が大きく伸びる中、大手のEC事業者とは一線を画す、独自の哲学でECサイトを運営してきた。コロナ禍で変わる社会情勢や消費者の意識、ソーシャルプロダクツの可能性について、SoooooS.カンパニー代表取締役社長の木村有香さんに聞いた。

社内ベンチャーとして始まったECサイト

― SoooooS.のサイトを開くと、「オーガニック」「フェアトレード」「3R」「伝統」「寄付」をキーワードに、食品から雑貨まで様々な商品が紹介されています。ソーシャルプロダクツを専門に扱う総合的なサイトは少ないですが、立ち上げのきっかけを教えてください。

木村:ソーシャルプロダクツを販売するECサイトの構想は、大阪のコンサルティング企業、(株)ヤラカス舘本店(現・YRK and)の新規事業として2009年にスタートしました。リーマンショックなどの社会情勢を受けて会社の事業を見直す中、若手有志を中心に5
人が集まり、持続可能な新しい“ビジネス”として注目したのが、コンシューマーとITの力を活かしたビジネスの可能性と、「ソーシャルな商品を買いたい」という声です。

1年かけて事業計画を練り、2010年3月に情報サイトSoooooS.が発足、2012年秋にECサイトにリニューアルしました。ソーシャルプロダクツ自体は以前からありましたが、集約された情報がなく、まずはできるだけ多くの商品を集めるところからスタートしました。

ヤラカス舘本店は、1896(明治29)年、大阪・船場で漆塗りの商標登録看板などの印刷物を制作する印刷業に始まり、デザイン業、セールスプロモーション業、マーケティング業と専門領域を変えてきました。ヤラカス舘には「人のやらんことをやりなはれ」の精神があり、事業を立ち上げるには良い環境でした。

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(提供=株式会社SoooooS.カンパニー)

― SoooooS.の名前の由来は?

木村:SoooooS の最初の「S」はスマイル、5つのOは社会のさまざまな課題を表し、最後のSはサステナブル。人が笑顔になるようなモノを通じて、社会課題を解決しながら持続可能な社会を実現したい、という思いがこめられています。

「サステナブル」という言葉は、当時まだ馴染みが薄く、社内でも理屈っぽい名前だと思われていたかもしれません。でも今は新聞や雑誌などでも日常的に使われるようになり、消費者庁も人や社会、環境に配慮した「エシカル消費(倫理的消費)」の普及に取り組んでいます。やっと時代が追いついてきてくれました(笑)。

「ここなら安心」。消費者と生産者をつなぐプラットフォームとして

―SoooooS.はマーケティング会社の本業として、真正面から社会貢献事業に取り組んでいます。創業から約12年をどう振り返りますか?

木村:2011年の東日本大震災で、応援消費の発想が生まれ、SoooooS.はメディアで取り上げられました。サステナブルなものづくりを続ける生産者と、「買うことで誰かの役に立つなら」と考える消費者とをつなぐ出会いの場としても、注目されるようになりました。

現在の出店数は400店舗ほど。まだまだビジネスとして成功したとは言えませんが、少しずつ認知度が上がっていると感じています。ユーザーからは「他にはないサイト」「ここなら安心して買える」という声をいただき、こだわりのある出店者からも「SoooooS.の考えに共感できる」と言われます。百貨店などでの期間限定POP UPも行っていて、1社では販売が難しくても、私たちに預けていただき、展開できている商品もあります。

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(提供=株式会社SoooooS.カンパニー)

ビジネスの視点で社会課題の解決を目指す生産者を後押し

―オススメの商品は?

木村:売れ筋は野菜や果物などの生鮮食品です。今の旬は、農薬不使用の紫アスパラガスやトマトなど。また、サイト内の製品を購入できる「ギフトカード」も人気で、 “こだわり”のある贈り物として選ばれています。企業が社員への利益還元の手段として選ぶケースもあるようです。

静岡県にある有機JAS認定の小さな工場で手づくりされている豆乳アイスクリームもオススメです。有機豆乳をベースに、小麦粉や白砂糖、乳化剤、増粘剤などの添加物は一切使わず、アレルギーやカロリーが気になる人にも支持されています。先日、このアイスクリームを作った「EECO(イイコカンパニー)」とオンラインで打ち合わせをし、今後の事業展開についてヒアリングしました。

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(提供=株式会社SoooooS.カンパニー)

―課題はありますか?

木村:難しいのは、社会性と商品性のバランスです。社会課題の解決を考えて作られた商品であっても、「商品力」が弱ければ売れません。社会性と商品性の両方で信頼されるプラットフォームとして、一つ一つの店舗とさらに密に繋がり商品力をあげていけるような“介入”がもっと必要かもしれません。現在は、30〜50代の意識の高い女性がユーザーの中心ですが、より多くの人にとって日常的に利用されるサイトとなれるよう、使い勝手や楽しさを追求しています。

SoooooS.を立ち上げた中間は、ソーシャルプロダクツの推進に貢献したカリスマ的な存在でしたが、2018年に若くして急逝し、私は彼の後を継いで運営を担っています。彼の死後、コロナの影響もあって急速に社会のサステナブルな動きが加速していますが、ビジネスとして社会課題の解決に挑戦してきた中間ならどう考えるだろうか、そんな想像もしながら日々取り組んでいます。