食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

2月13日午後11時8分に福島県沖を震源地とする地震が発生し、宮城県蔵王町円田、福島県の相馬市中村や国見町藤田などで震度6強を記録した。宮城県、福島県、岩手県、山形県で震度5弱以上が観測されるなど、広範囲で強い揺れが観測された。

日本ハム、伊藤ハム米久ホールディングス、丸大食品、エスフーズによると、グループ会社を含めて、現時点ではとくに被害はなく、生産工場も通常通り稼働しているという。プリマハムでは、東北支店(仙台市)や郡山営業所など東北エリアに営業拠点を持つが、その他も含めプリマハムグループとして目立った被害は確認されなかったという。

福島県では2月15日午前8時30分現在、卸売市場などで食品流通に支障を来たす被害の報告はされていない。一方、生乳工場貯留タンクでは被害が確認されている。

宮城県では2月14日午後4時現在、丸森町で子牛育成センター牛舎のシャッター破損、搾乳中の停電により乳の一部廃棄。山元町の鶏舎で屋根破損や換気扇落下などで8羽が圧死。登米市では有機センター内部のダクト破損、落下の被害が報告されている。

山形県や岩手県では2月14日午後現在、畜産関連の被害は報告されていない。

日本養豚協会(JPPA)によると、各県への聞き取りを行っている段階ではあるものの、2月15日正午現在、豚舎の損壊など目立った被害は確認されていないという。一方で、宮城県、福島県を中心に地盤が緩んでいる可能性があり、15日の雨で土砂災害による被害や流通への影響が懸念される。

日本食鳥協会は2月15日正午現在、会員の被害報告はないとした。

〈仙台市場、福島県食肉流通センターも通常稼働、一部牛舎の損壊も〉
仙台中央食肉卸売市場(仙台市宮城野区)では、2月15日も通常通りの稼働を行った。施設整備について関係業者から入念に点検をしてもらったところ、一部コンクリート片の崩落が認められたものの、一連の業務運営には何ら支障はなく、通常通りの稼働を行ったという。

福島県食肉流通センター(郡山市)では、2月14日早朝に職員が点検したところ、強い揺れによって施設内の水道管10カ所が破損し水漏れが生じたという。ただ、設備業者の迅速な対応もあり、同日午後3時には補修を完了し、食肉衛生検査所の確認も踏まえ15日は通常通り稼働しているという。福島県食肉流通センターでは、「地震が起きたのが週末だったことも幸いしたが、破損した一部の水道管はトラックの洗車場につながっているため、復旧が遅れれば搬入ができなくなる恐れもあった。十年前の東日本大震災や2年前の豪雨被害(令和元年東日本台風)の経験を踏まえ、設備業者ら関係事業者との連絡網ができており、今回の地震も業者が心配して早く駆けつけてくれた」と胸をなでおろしている。これに関連して、日本食肉格付協会の各支所・事務所も目立った被害がなかったという。

このほか、アマタケでは、岩手本社工場(大船渡市)、多賀城工場(宮城県多賀城市)ともに被害は認められず、2月15日は通常稼働を行っている。

一方、全国肉牛事業協同組合では、役員が宮城県、福島県の組合員に被害状況を確認したところ、福島の組合員の牛舎に一部損壊があった旨の報告を受けており、引続き詳細な被害状況について把握に努めているところだ。

〈畜産日報2021年2月16日付〉