リチウムイオン電池,リユース,リサイクル,2019年
(写真=Mehaniq/Shutterstock.com)

リチウムイオン電池リユース・リサイクルの世界動向

~事業化に求められるは、過渡期の先を見据えた利益創出の仕組み作り~

株式会社矢野経済研究所作成(代表取締役社長:水越孝)は、リチウムイオン電池を対象に世界のリユース・リサイクル動向を調査した。

リチウムイオン電池 需要分野別リユース・リサイクル動向

リチウムイオン電池 需要分野別リユース・リサイクル動向

1.調査結果概要

リチウムイオン電池にはレアメタルが使用されており、また、新たな需要が生まれている電動車やESS(定置用蓄電池)は電池搭載容量が大きく、資源リスク対策や資源循環の観点から、今後、使用済みリチウムイオン電池のリユース・リサイクルに向けた取り組みは重要度を増すと考える。

現在、民生小型リチウムイオン電池の一部でリサイクルが実用化されているケースがあるものの、その他のリチウムイオン電池に関してはリユース・リサイクル共に実証実験レベルでの取り組みがメインになっていると見られる。事例としては、リユースでは「リビルド(交換用)バッテリー」、「低速EV」、「ESS」、「UPS」、リサイクルでは「リチウムイオン電池の正極材の原材料」等が挙げられる。

車載用リチウムイオン電池に関して、現状では事業採算性を考慮すると、いきなりリサイクルに進むことは難しく、リユースを前提とした取り組みを検討する必要がある。一方、リユースを前提とすると、リサイクル向けに車載用の使用済みリチウムイオン電池が集まり始めるのは2025~2030年頃になる見通しである。

2.注目トピック

リチウムイオン電池の市場動向

従来、ノートPCやスマートフォン等の民生小型機器向けの需要がメインであったリチウムイオン電池は、HEV、PHEV、EVといった電動車や、ESSといった新たな需要が牽引役となり、市場拡大を続けている。

2017年の車載用リチウムイオン電池世界市場規模はメーカー出荷容量ベースで前年比123.1%の57.4GWhであった。自動車の電動化を促進する世界各国の環境規制の強化と、xEVに対する各種の優遇策などが功を奏し、xEV市場が拡大しており、世界の車載用リチウムイオン電池出荷量は成長を続けている。

※参考資料
「車載用リチウムイオン電池世界市場に関する調査を実施(2018年)」
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2019