サントリーワインインターナショナル・吉雄敬子社長
(画像=サントリーワインインターナショナル・吉雄敬子社長)

サントリーワインインターナショナルの代表取締役社長に1月1日、吉雄敬子氏が就任した。同社は2月から、新カテゴリー「ワインサワー」の提案を開始、さらに同じく2月に「酸化防止剤無添加贅沢ポリフェノール」や「サンタ」のリニューアル、3月には缶入りスパークリングワイン発売、和スパークリングの通年発売などを予定する。就任にあたっての抱負や今後の展開について、吉雄氏に話を聞いた。

――「ワインサワー」提案をはじめ、展開にスピード感がある

コロナ禍で家飲みが拡大する中、家庭で飲まれる酒類の幅も広がった。初めてワインに入られたお客さまに引き続きワインを飲み続けていただけるよう、ワインの価値を伝える活動を加速させる。

――日本のワイン市場をどう見るか

まだまだ大きなポテンシャルがあると、前向きにとらえている。ただ、わかりにくさがネックになっている。ワイン市場を広げるためには、ワインの魅力をより広くお伝えすることが大切だと思う。

ヨーロッパではワインが生活の中にあるが、日本では家庭でワインを楽しむ方がそれほど多くないため、「ワインはわかりにくいもの」と思われがち。だがコロナ禍で、家庭内で消費される酒類の幅が広がる中、「ワインも飲んでみたらおいしいね」と思われた方も多いと思う。そんな方に何を伝えていくか。ワインはどうしたらわかりやすくなるのかを考え、さまざまな入り口を用意する。

たとえばボトルに抵抗のある方や、ほかの酒類を回遊されている層に向けてはスーパーやコンビニの冷蔵コーナーに缶で展開する「ワインサワー」でちょっとハードルを下げる。また、ワインを既に飲んでいらっしゃる方には、健康・環境意識の高まりで新たな潮流となっている「オーガニック」や、造り手との距離が近い「日本ワイン」など、さまざまな入り口からワインの魅力や価値を伝えたい。当社では多彩なラインアップを揃えており、一度飲んでいただくと、ワインの世界がさらに広がるはず。ワインの魅力は、「いろいろあること」。それぞれのお客様にあわせた「とっかかり」を用意して、ワインの世界をより身近に感じていただきたい。

〈幅広い商品力とアプローチ活かし、ワインの魅力や価値を伝える〉
――御社の強みとは

畑を持つ日本ワインの造り手としての経験値、そして、酒類総合メーカーとして日本人の嗜好にあわせた商品開発力とモノづくりの技術、さらに世界No.1ブランドワインを揃えられる調達力など、幅広い商品力とアプローチが強みだと思う。また、営業会社として酒類を総合的に扱うサントリー酒類があり、家庭用・業務用で幅広く展開できることも強みのひとつだろう。

――新社長としての抱負は

ワイン業界は初めてだが、「お客様視点でいいものを作る、新しい価値を提供する」という姿勢は一貫して変わらない。ただ、ワインの魅力が十分伝わっていないことは、自身の経験からも感じている。これまでワインを飲んでいただけていなかった方にワインの魅力や価値をていねいに伝えていくことで、数字もついてくると思う。一方で、日本ワイン事業においては、地に足を付けた中長期の戦略が必要になることは認識している。造り手とともに、先を見据えた活動に取り組みたい。

――ワインはお好きですか

これまではビールばかりで、最近勉強を始めたところだが、ワインはとても魅力的なお酒。社長業には大変なことも多いが、ワイン業界に携わることができてうれしく思う。

〈吉雄敬子社長プロフィール〉
よしお・けいこ。1968年12月生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。1991年サントリー入社。2006年ビール事業部ブランド戦略部課長、2013年サントリー食品インターナショナル食品事業本部ブランド戦略部部長。2014年サントリービールブランド戦略部部長。2019年サントリービールブランド戦略部長。2021年1月1日に現職に就任。

〈酒類飲料日報2021年1月25日付〉