矢野経済研究所
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2019年度の文具・事務用品市場は3年連続のマイナス成長

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内文具・事務用品市場を調査し、商品別の動向、参入企業動向、将来展望を明らかにした。

国内文具・事務用品市場規模推移

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1.市場概況

2019年度の国内文具・事務用品市場規模は、メーカー出荷金額ベースで前年度比3.0%減の4,441億円となった。パーソナルユースのヒット商品が創出され、全体の市場規模を底上げしていた筆記具は2017年度以降マイナス成長に転じており、紙製品、事務用品類は少子化の進行やオフィス環境のデジタル化の進展などに伴い、総じて厳しい事業環境に見舞われている。
2019年度の分野別市場規模は、筆記具が前年度比2.9%減の947億円、紙製品市場が同2.5%減の1,505億円、事務用品市場が同3.3%減の1,989億円となり、3分野すべての市場が縮小した。

2.注目トピック

新型コロナウイルス感染症の影響

文具・事務用品メーカーの多くが、法人需要の停滞からパーソナルユースの商品展開に注力を図っていたこともあって、緊急事態宣言発出期間における文具販売店の休業・営業時間の短縮は各社の業績に大きく影響を与えている。 特に地方よりも大都市圏の大型店舗はインバウンド(訪日外国人客)需要の激減も相まって、大きくマイナス影響を受けている。また、ユーザーの購買行動は、店頭からEコマースへのシフトが進んでおり、店頭における衝動買いなどの需要に大きく影響を与えている。

文具の最需要期であった入学シーズンにおける学校の休校によるマイナス影響は大きいものの、学校再開後において学童需要は回復がみられつつある。 一方、法人需要は、企業の経済活動の停滞や在宅勤務の広がりを受けて厳しい事業環境に直面しており、文具・事務用品メーカーの多くは、パーソナルユースの商品展開に、より重きを置く傾向を強めている。

商品では、抗菌、飛沫防止のキーワードに対応した商品や、在宅勤務・テレワーク関連商材の需要に高まりがみられているが、全体市場を底上げするまでの水準には至っていない。また、巣ごもり消費に対応したアート関連やDIY商材の需要に高まりがみられている。

3.将来展望

2020年度の国内文具・事務用品市場規模は、新型コロナウイルスの感染拡大による大都市圏を中心とする文具販売店の休業・営業時間の短縮、文具の需要が高まる入学シーズンにおける学校の休校、在宅勤務の広がりによるオフィス需要の冷え込み、外出自粛によるユーザーの購買行動の制限などのマイナス影響を受け、大幅な市場縮小に向かうものと考えられ、前年度比8.5%減の4,064億円を予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2020年10月~12月
2.調査対象: 文具・事務用品関連事業者等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
<文具・事務用品市場とは>
本調査における文具・事務用品とは、筆記具(鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー)、紙製品(ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙)、事務用品(ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書)の3分野27品目を対象とする。なお、水性ボールペンにはゲルインキボールペンを含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
鉛筆、万年筆、油性ボールペン、水性ボールペン、シャープペンシル、油性マーカー、水性マーカー、ノート、学習帳、手帳類、封筒、アルバム、ルーズリーフ、レポート用紙、ファイル類、粘着テープ、印章類、ラベル類、事務用のり、黒板類、修正用品、カッター、ステープラー、消しゴム、文具はさみ、電子文具〔ラベルライター他〕、電子辞書

出典資料について

資料名2020年版 文具・事務用品マーケティング総覧
発刊日2020年12月24日
体裁A4 529ページ
定価110,000円(税別)

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