化粧品受託製造市場,2019年
(写真=PearlWinchester/Shutterstock.com)

2018年度の化粧品受託製造市場は前年度比112.1%の3,250億円

~化粧品業界への異業種・新規参入企業が増加、製販分離によるアウトソースが進行し、市場は好調に推移~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の化粧品受託製造市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。

国内化粧品受託製造の市場規模推移・予測

託製造の市場規模推移・予測

1.市場概況

2018年度の国内化粧品受託製造市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比112.1%の3,250億円となった。2005年の改正薬事法施行による市場参入の規制緩和を契機に、化粧品ブランドメーカーや異業種からの新規参入企業による、化粧品受託製造企業への生産のアウトソーシングが進んでいる。
また、インバウンド需要も一時減速するも回復基調に転じていること、アウトバウンド需要(輸出先における現地需要)が引き続き拡大したことで、日本製化粧品の増産は継続しており、化粧品受託製造市場は好調に推移している。

2.注目トピック

中国EC法によるインバウンド鈍化も、関税引き下げ措置が奏功し市場は好調

2019年1月施行の中国の電子商務(EC)法により、中国人のソーシャルバイヤー(個人で営むネット通販事業者)も公的に登録申請し、営業許可を得る必要が生じ、代理購入などインバウンドの減速が危惧されている。
一方で、2018年7月の日用品の輸入関税率の大幅な引き下げの対象品目には、スキンケアやヘアスタイリング剤など化粧品を含むものであり、日本製化粧品輸出(アウトバウンド)拡大への追い風になっている。

3.将来展望

国内化粧品市場は、ベースの国内消費(国内需要)に加えて、海外需要による日本製化粧品の増産トレンドが続いている。化粧品ブランドメーカーや異業種からの新規参入企業による生産委託(アウトソース)も引き続き進んでおり、2019年度の化粧品受託製造市場(事業者売上高ベース)を前年度比108.0%の3,511億円になると予測する。