「自己肯定感低めの人」のための本
(画像=song-about-summer/stock.adobe.com)

(本記事は、山根 洋士氏の著書『「自己肯定感低めの人」のための本』=アスコム、2020年9月26日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)

人の行動の9割は無意識

自分が頭で思っていることと裏腹に、心のクセがノイズとなって、思考をネガティブにするだけでなく行動にさえブレーキをかけてしまう。そんな話をしてきました。

でも、やっぱり不思議に思いませんか?

自分が痩せたいか、痩せたくないかもわからないなんて。知らない間に自分で自分にブレーキをかけているなんて。

しかし無意識に思考や行動が変わってしまうのは、人の仕組みからすると、当たり前のことなんです。

さてここで質問です。

あなたは今、本を読んでいます。ここまでページをめくるとき、「よし、めくるぞ」と意識してめくってきましたか?

きっとほとんどの人が、わざわざ意識してページをめくることなんてなかったと思います。

何が言いたいのかというと、あなたは意外と、無意識に行動しているということです。

試しに、あなたの朝からの行動を振り返ってみてください。

布団は右手ではねのけてとか、トイレのドアノブは右手でひねってとか、歯ブラシはどの部分を握ってとか、レンジのボタンを人差し指で押してとか……。

その一つひとつを、どれだけ意識して行ったでしょうか。

そんなに多くありませんよね。あなただけでなく、私も、みんなそうなんです。

人間の行動は、90%以上が無意識に行われているとされています。

わかりやすいのが、自転車のこぎ方をいちいち意識しないように、意識しなくてもできること。

それから、ついやってしまうことも、いろいろと思い当たります。横断歩道で隣の人が歩き出すと、ついつられて歩き出してしまう。人が急に振り返ったり、上を見上げたりすると、つい視線を追ってしまう。

こんなふうに、メンタルノイズもいつの間にか発動して、あなたが意識していない行動を勝手に起こしてしまうんです。

最近、「習慣化」が大事だとよくいわれるのも、意識より無意識のほうが圧倒的に強いからです。ダイエットも筋トレも勉強も、意識せずにできるくらいじゃないと、続きません。

要するに、意志の力なんて、大抵の人は大したことがないんです。もしあなたが「意志が弱い」と悩んでいるなら、そう悲嘆することもありません。みんな同じです。

ノイズは無意識の中に隠れている

話が少しややこしくなってきましたね。

でも大丈夫です。あなたにとって大事なことだけ、かいつまんで説明します。

図を見てください。人間の意識と無意識を図式化したものです。

「自己肯定感低めの人」のための本
(画像=『「自己肯定感低めの人」のための本』より)

近年、脳科学やAIの研究が進んだことで、人間の意識と無意識の関係は、図のように無意識が上、意識が下という考え方が主流になりつつあります。

そして、無意識と意識の間に、潜在意識があります。無意識と潜在意識は、日常生活で自覚することはほとんどありません。

簡単にいうと、意識というのは、あなたが普段自覚している思考や判断です。例えば、「今年こそ痩せるぞ」と思うことや、「この本を買おう」と判断すること。

そして無意識はそれ以外の、考えたり判断しないでもやっていることです。先ほど説明した自転車のこぎ方や、歩き方やドアの開け方、それから呼吸などもそうです。

あなたの心のノイズは、無意識と意識のパイプ役にあたる潜在意識の中にあります。図で見ると海に沈んだ部分、つまり意識に出てくる前の部分にあるので、あなたは自分でもなかなか気がつかないのです。

メンタルノイズのイメージイラストを思い出してください。あのいたずら小僧は、あなたの心の奥に隠れて悪さをしているんです。

冒頭で「痩せたい」と思っているのに「痩せないほうがいい」というノイズがある人の例を出しました。

頭と心、意識と無意識にそんなあべこべが生じてしまうのは、人の仕組み上、当たり前のことなのです。

ところで、無意識と潜在意識はなにが違うのでしょうか? それを次の項目で説明しましょう。

「自己肯定感低めの人」のための本
山根 洋士
心理カウンセラー。心理学だけでなく、数多くの経営者やプロスポーツ選手、芸能人等への取材経験、AIやロボット工学、脳科学などを取り入れた、メンタルノイズメソッドを開発。実践中心のカウンセリングで一線を画す(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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