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(本記事は、山根 洋士氏の著書『「自己肯定感低めの人」のための本』=アスコム、2020年9月26日刊=の中から一部を抜粋・編集しています)
最初に一番大切なことを言います。
この本に書いてあるのは、「自己肯定感を高める方法」ではありません。
自己肯定感が低めでも悩まなくなる方法です。
自己肯定感低めのあなたに必要なたったひとつのこと、なんだと思いますか?
自信満々になること?図太くなること?性格を変えること?
そんなに頑張らなくても大丈夫。
あなたに必要なのは心のクセ= 心のノイズに気がつくことです。
あなたには、気づいていない心のノイズがあります。
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心のノイズに気がつけば、「自分責めのループ」から抜け出せます。
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ノイズは、あなたが生まれてから今まで心の中で育ってきた考え方や解釈のクセ。
胸のあたりがなんだかザワザワ、もやもやするときノイズが発動しています。
ノイズを知ることは心理学でいう「自己認知」「メタ認知」です。
この本では、あなたのノイズを見つける方法からノイズの悪い影響を受けないためのワークまで、全部お伝えします。
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無理にポジティブに考えたり自分はすごい、できる、と言い聞かせたりするのって難しいですよね。
だから、「どうして自分はこうなのか」を知って良くてもダメでも自分に納得できる「自己納得感」を手に入れましょう!
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はじめに
この本を手に取ってくださり、ありがとうございます。
自己紹介が遅れました。私は心のクセを直す「メンタルノイズ」カウンセラーの山根洋士です。
最近、自己肯定感という言葉をいろいろなメディアで見かけるようになりました。これだけ自己肯定感といわれると、「自分はどうなんだろう」と気になってしまいますよね。
すでに多くの心理学者やカウンセラーの方が、自己肯定感の上げ方などを語っています。そんな中で、なぜ私が今、「自己肯定感低めの人」のために本書を書いたのか?
ここではそんな話をさせていただきます。
私のところには、いろいろな悩みを抱えた方が相談にいらっしゃいますが、悩みはバラバラでも、ある一点では共通しています。過去にたくさん心理学の本を読んだり、カウンセリングに参加したりしても、うまくいかなかったという点です。
なぜそんなことになるのか。ここにこの本の根本があります。
そもそも自己肯定感ってなんなのでしょうか?
私は昨今の自己肯定感ブームで、ここが誤解されやすくなっているのではないかと少し心配しています。
自己肯定感とは「自分はありのままでいい、生きているだけで価値がある、という感覚」のことです。
自信があるとか、自尊心が高いとか、ポジティブだとかいったことは実は関係ありません。
例えば自信がなかったり、ネガティブだったりしても「自分はありのままでいい」という感覚があれば、自己肯定感は低くならないですよね。
その感覚があるかないか、どちらかですから、あの人は自己肯定感が50点、この人は30点、その人は90点……などと競ったり比べたりするものではありません。
だから、自己肯定感を上げよう、高めようとするのは、ちょっと危ないんじゃないかなと思ってしまいます。
自信が持てるなにかをつくらないといけないとか、ネガティブ思考じゃダメだとか、そういう「べき論」のようになっていくと余計に心は苦しくなります。
もちろん前向きなことはいいことです。でも「さあ前向きに!」「うつむいていたらダメダメ!」なんて言われたら、しんどくないですか?
これではまるでポジティブの強要、ポジティブハラスメントです。
だから私は、自己肯定感が低めの人のために、この本を書きました。
この先のページまであなたが読み進めてくれるならば、ひとつだけ、心構えを伝えておきましょう。
自己肯定感を高めようなんて思わなくていい。
これだけです。大事なのは、いろんな悩みや問題に直面したときに、自分はそういうものだと納得できること。
あなたに必要なのは、自己肯定感よりも「自己納得感」です。
良いも悪いも含めて今の自分にまず納得する。それがないと、いくら心理学を学んでも悩みは解消されないのです。自己肯定感を高めようなんて思わなくていい。
詳しくは本編に譲りますが、人は意外と自分のことを知りません。なにしろ普段の行動の9割が無意識だというくらいです。でもメンタルノイズを知れば、あなたが今まで意識していなかった自分が見えてきます。
本書では、ノイズとはなにかからはじまり、あなたのノイズの見つけ方、そしてノイズと上手に付き合うための心のエクササイズまでを解説しました。
前向きになろうとか、性格を変えようとか、メンタルを鍛えようとか言われても、急には無理ですよね。
まずはあなたが自己納得感を得ること。そんな低めのハードルからトライしてみましょう。
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