パチンコ産業,重要指標,予測,2019年
(写真=siiixth/Shutterstock.com)

2018年のパチンコ・パチスロ参加人口は820万人と推計、うちパチンコファンは672万人、パチスロファンが504万人という結果に

~新規則機への移行による投資負担からパチンコ店舗数は減少が加速と予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、インターネットアンケート調査によりパチンコ・パチスロファンの遊技動向を明らかにするとともに、2025年までのパチンコ産業の重要指標の将来予測を行った。

2018年のパチンコ・パチスロ参加人口

2018年のパチンコ・パチスロ参加人口

パチンコ店舗数予測

パチンコ店舗数予測

1.調査結果概要

かつて ”30兆円産業” と言われたパチンコ産業だが、2000年代半ばからは長期縮小トレンドに突入した。パチンコ・パチスロ参加人口は減少が続き、パチンコホール経営企業の廃業も相次いでいるなかで、2018年には遊技機規則が改正され、全ての遊技機を2021年1月末までに新規則機へと入れ替えることが必要となった。その影響により、既存の人気遊技機の撤去によるファンの離脱や、新規則機の導入に伴う投資負担に耐えられないパチンコホール経営企業の廃業が想定されるなど、将来の市場成長に対する強い懸念要素を抱えているのがパチンコ産業の現状である。

本調査で実施したインターネットアンケート調査(n=30,000)により、2018年のパチンコ・パチスロ参加人口を820万人と推計する。内訳をみると、男性が603万人(構成比73.5%)、女性が217万人(同26.5%)となり、遊技機別では、パチンコ機・パチスロ機いずれでも遊技する人が構成比43.4%(356万人)、次いでパチンコ機のみの人が同38.5%(316万人)、パチスロ機のみが同18.0%(148万人)であった。重複を考慮すると、パチンコファンが672万人、パチスロファンが504万人という結果になった。
また、年齢別にみると、パチンコファンはパチスロファンよりも高齢者層の比率が高いために加齢による参加率低下の影響を強く受け易く、今後はパチスロファンよりも高い減少率で推移する見通しである。

2.注目トピック

本調査ではまた、「YANOパチンコデータベース」を基に、パチンコ産業の実態を表す重要指標の2025年までの将来予測を行ったが、何れの指標も非常に厳しい予測結果となった。パチンコ産業はまさに正念場を迎えていると言え、パチンコホール経営企業のみならず、遊技機メーカーや周辺設備機器メーカーにおいても、この先数年間が生き残りを懸けた勝負どころであることは間違いない。各指標の概要は以下の通りである。

【市場規模:売上高(貸玉・メダル料)】
新規則遊技機の売上性能低下、店舗数および遊技機台数の減少によって、市場規模は加速度的に縮小する見込みである。但し、新規則遊技機への移行に伴う混乱は2022年から落ち着きを見せ、以降は穏やかな減少で推移していくと予測する。

【市場規模:粗利額】
売上高(貸玉・メダル料)の低下に伴って、市場全体の粗利額も大幅に低下していくものと考えられる。遊技機を始めとした、パチンコホール経営企業の設備投資が困難な状況に陥る可能性が高く、遊技機への投資減がさらなる集客減を招き、市場環境が急速に悪化する懸念がある。

【パチンコ店舗数】
2018年末時点での警察庁による営業許可証ベースのパチンコ店舗数は10,060店舗であったが、当社調査による営業店舗数は2018年夏には10,000店舗を割り込んでいる。今後も中小規模のパチンコホールを中心とした店舗数の減少が続き、特に新規則機への移行による多大な投資負担が発生する2020年から2021年にかけては店舗の淘汰が加速すると予測する。

【パチンコホール経営企業グループ数】
本調査とは別に実施した「全国パチンコ経営企業数及び店舗数に関する調査」によると、2018年12月末時点で2,297のパチンコホール経営企業グループが存在する。ここ数年は年間に100~150ほどの企業グループが姿を消しており、当面は同様の構図で推移する見込みである。

【遊技機設置台数】
これまで店舗数の減少と反比例して遊技機設置総台数は増加してきたが、2014年からは減少トレンドに突入した。この先数年間は、店舗数の大幅な減少によって遊技機設置総台数も急速に減少すると考えられるが、2022年以降は店舗数は穏やかに減少しながらも大型店舗は増加していくことで、遊技機設置総台数はほぼ横ばいで推移すると予測する。

【遊技機販売台数】
遊技機の販売台数は低迷が続き、2018年にはパチンコ機が130万台、パチスロ機は40万台まで落ちこんだ。2019年の後半からは旧規則機の認定切れによる入替え需要が本格化し、新規則機へと完全移行する2021年にかけて遊技機の販売台数は上振れする見通しである。その後、2022年以降は遊技機規則改正による特需的な遊技機販売は沈静化し、以降は穏やかに減少していくと予測する。