節税対策
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会社が年間を通じて利益を得た場合、所得に応じた法人税などの税金を納めることが必要だ。税金にはさまざまな節税対策がある。個人に比べて納税額が大きい法人の場合、節税次第で「より一層多くお金を残せるかどうか」が変わってくるだろう。法人の節税対策は、専門的な知識が必要なものや複雑なものが多いためつい後回しにしがちだ。

しかし「どのような対策があるのか」を知っておくだけでもいざというときに具体的な手を打ちやすい。本記事では法人向けの節税対策について紹介する。

目次

  1. 節税対策の必要性
  2. 法人の節税対策におけるポイント
  3. 法人税とは
  4. 法人の節税方法
  5. 具体的な節税対策20選
  6. 徹底した節税対策で会社を守ろう!

節税対策の必要性

個人・法人にかかわらず課された税金は確定申告したうえで納めることが義務付けられている。しかし税金の中には、一定の条件を満たせば減額させるものや支払う必要がなくなるものも多い。支払わなくてもよい税金はそのままお金として残るため、上手に節税すれば得をすることになる。ただし節税の方法はいわば「ノウハウ」として知られているに過ぎない。

そのため国や自治体は制度を用意しているだけで節税の仕方まで丁寧に教えてくれるわけではないのだ。税務署や税理士も基本的には正しい税金の納め方を正確にサポートしてくれる存在でしかないため、節税は自分で対策を練るしかないのが実情である。節税は脱税とは異なり合法的に納税額を減らせる手段だ。少しでも多く会社にお金を残すためにもより多くの節税方法を理解しておこう。

法人の節税対策におけるポイント

法人が対策可能な節税を大きく分類すると主に以下のような4つに分け方ができる。

  • 控除制度などを利用し単純に納税額を減らす
  • 会社の将来に役立てられるような投資を行う
  • 自分や会社を守るための費用を節税に使う
  • 会社の設備・環境を整備するための投資や消費活動費用を行う

また節税の効果が「半永久的に続くものなのか」「どのタイミングで行うのか」「キャッシュを使う必要があるのか」なども節税対策を考えるうえでのポイントとなる。

法人税とは

節税対策を理解する前に法人税についておさらいしておこう。法人税は、「法人所得税」「法人住民税」「法人事業税」の3つに大別できる。所得税は国税、住民税と事業税は地方税だ。法人税は利益額から損失額を差し引いた所得をもとに税法に従って算出。法人税率は所得により異なるのが特徴だ。特に法人所得税は、所得が800万円以下の場合15%だが、800万円以上になると23.20%に大きく上昇する。

その他の法人税も同様に所得が上がれば税率も上がる。地域により課される税金の割合が異なることも覚えておこう。

法人の節税方法

法人ができる節税の方法として代表的なものは、以下の3つに大きく分けられる。

  1. 益金を減らすことで課税対象となる所得額を減らす
  2. 損金として扱われていない項目を損金に回し、所得額を減らす
  3. 国が実施している特別控除制度を利用し税額を減らす

「課税対象となるものの金額を減らせば税金も減る」という考え方が1と2だ。3の優遇制度は、知っているかどうかで節税額に大きな差が出る場合もあるだろう。それでは、次項で具体的な節税対策を紹介する。

具体的な節税対策20選

以下で紹介する20の節税対策は「どのような方法があるか」の紹介に重点を置いているため、ある程度の解説に留めている。それぞれの詳しい方法は、個々で調べてもらいたい。

1 役員報酬を増やす
役員を新たに追加したり現在の役員報酬を増やしたりすることで法人税を抑えることが可能だ。法人税対策の王道ともいわれる手法である。ただし増やしすぎると所得税や住民税の負担も大きくなるため、バランスのとれたラインを見定め、適切な報酬額を設定することが重要だ。バランスが適切であるほど効果も大きい。

2 社用車を導入する
個人所有の自家用車がある場合、社用車とすることで車の取得費用を経費計上できる。また燃料費や自動車保険料、有料道路代なども経費として落とすことが可能だ。リースで利用している場合は、事業年度の期末に翌年分を一括前払いすれば翌年分のリース代もすべて経費計上できる。

3 法人向け生命保険に加入する
生命保険の中には法人保険があり保険料の一部または全部を損金に計上できるなど、節税効果が期待できる。期末ぎりぎりでも加入できる保険があることや解約してもお金を受け取れることなどのメリットがある節税対策だ。保険の補償も受けられるため、万が一の際も安心である。

4 オフィス賃貸料を前払いする
家賃の前払いは、一定の条件を満たした場合「短期前払費用」の扱いとなり当期の損金として計上できる。現状に合わせた大きな節税効果につながるだろう。ただし最初の1年しか効果がなく翌期以降は前年と同様に年払いで支払う必要があるため、税金繰延対策として考える必要がある。

5 出張旅費規程を作成する
出張が多い会社の場合、「交通費」「宿泊費」「出張先」など諸費用を経費計上できるようにすれば大きな節税効果が期待できる。税務調査対策も兼ねて会社で出張旅費規程を定めておこう。出張の定義や交通費規程、何にいくらまで利用できるのかなど細かく規定を定めておくことが大事だ。

6 社員旅行の実施
社員と一緒に旅行へ出かける場合、旅行期間や参加人数の割合など所定の条件を満たせば費用を福利厚生費として計上できる。福利厚生費にできる項目を覚えておけば社員のモチベーションアップなどにもつなげられる。

7 健康診断の実施
社員旅行と同様、人間ドックや健康診断を受けることで費用を福利厚生費として計上可能だ。ただし全社員を対象とする必要があり費用は会社が支払うことが条件となる。社会通念上、妥当な回数の健診を受けさせることも必要だ。

8 団体定期保険への加入
企業が契約者となり従業員も加入できる団体定期保険に加入することで保険料を損金計上できる。会社が全額負担するタイプと従業員が任意でお金を支払うタイプがある。後者のタイプも保険料が割安であり一般の保険に比べ加入しやすいことがメリットだ。

9 決算賞与の実施
決算時に賞与を支給すればタイミングが決算前でも後でも損金計上できる。想定外の利益を得た際などに税のバランスをとる目的で実施されることが多い。未払いの状況でも今期の損金として扱える。社員のやる気も引き出せるだろう。

10 雇用促進税制を活用する
一定の地域で無期雇用かつフルタイムの雇用者を1人増やすごとに税額控除を受けられる制度がある。一定の条件を満たせば法人税から一定割合の金額を控除できる制度だ。事業の拡大を検討している場合は、雇用促進税制などを有効に活用しよう。

11 飲食費や交際費を経費にする
損金算入が可能な飲食費や交際費を経費として計上すれば節税効果が期待できる。中小企業と大企業で限度額が異なるため、上限を確認して有効活用しよう。内容によっては経費として認められない場合もあることに注意が必要だ。

12 社用車に後からカーナビを取り付ける
車両などの固定資産は減価償却の対象となるため、1年の経費に計上できず通常の節税対策は行えない。しかし別途カーナビを後から付ければ車両と同じ固定資産とはみなされないため、経費として落とすことが可能だ。

13 別会社を設立する
子会社やグループ会社を設立することでさまざまな節税効果が期待できる。「軽減税率の適用」「消費税免除」「特例の適用効果が増える」など複数のメリットを受けられるのが特徴だ。経営が順調なら検討してみよう。

14 共済制度への加入
事業を廃業した際などに退職金を受け取れる小規模企業共済に加入すれば掛け金を支払った分だけ節税できる。老後の保障として役立つほか一定の条件を満たせば事業資金の融資を受けられる場合もある。

15 広告宣伝費の活用
広告宣伝にかけた費用は、経費として計上できる。状況に応じて大きな節税につながるおすすめの方法だ。広告宣伝費として落とせる種類は広い範囲で認められているため、会社にとっても大きなメリットとなるだろう。

16 レンタルサーバー代を年払いにする
自社のホームページを運営している場合、サーバー代を年払いにすることで全額を当期に費用として計上できる。ドメインの取得費用なども同様に経費として落とせるため、節税対策の一つとして覚えておこう。

17 ホームページ作成費用を経費にする
ホームページ作成を外部に依頼する場合は、作成費用を経費計上できる。メンテナンス費用なども含めるとそれなりに高額な費用となることが多いため、節税対策として有効だ。

18 書籍代やセミナー代を経費にする
事業活動で必要な書籍を購入したりセミナーに参加したりした場合に発生する費用は、経費として落とすことが可能だ。ただし自社の経営に役立つと認められるものでなければならないことに注意しよう。

19 モール出店費用を未払い計上する
ネットショッピングサイトなどに自社ショップを出店している場合、出店費用を決算時に未払い計上すれば節税対策につながる。電話やインターネット回線などの通信費、リース費用、保険料なども未払い金として計上できることを知っておこう。

20 エンジェル税制を活用する
エンジェル税制とは、企業家へ投資を行った場合に税の優遇が受けられる制度だ。近年は、事業の一環としてベンチャー企業などに投資を行うケースが増えている。投資を検討している場合は、覚えておいて損はない制度といえるだろう。

徹底した節税対策で会社を守ろう!

本記事で紹介した節税対策のうち自社で可能なものをできるだけ多く取り入れられれば確実に節税へつながることだろう。節税への意識は、まずトップが強く持ち従業員まで広く浸透させる必要がある。税理士へ任せっぱなしにするのではなく実際に会社の舵取りを行う経営者自信が節税に関する知識を蓄えることでより効果的な対策を打ち出せるようになるだろう。

文・八木真琴(ダリコーポレーション ライター)

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