新型コロナで食スタイルが変化、家族で楽しむ家庭内食が急上昇
(画像=食品産業新聞社「新型コロナで検索キーワードにも変化が」)

新型コロナウイルス感染症の影響で、食品市場のトレンドが変化した。ライフスタイルの多様化や少子高齢化による個食化の流れから、家族で楽しむ家庭内食がトレンドになりつつある。また、レシピ検索サイトのPV(閲覧ページ数)が急上昇しており、家庭での食事が推進され、多くの人が、家族の食を満たすためのレシピを探し始めている。

レシピ動画サービス「クラシル」を展開するdelyによれば、3月に入り、食材名やレシピ名だけでなく、「朝ご飯」「昼ご飯」「夜ご飯」からレシピを探すユーザーも増加しているという(グラフ)。在宅ワークや休校などにより、朝の時間に余裕ができたことや健康志向の増加により平日の検索が上昇しているとする。「夜ご飯」の検索数は大幅に伸びており、4倍を記録した。このほか、「時短」や「作り置き」の検索数も上昇している。

また、家飲み需要の拡大から、「おつまみ」の検索数も前年比約1.7倍となっている。検索方法も「おつまみ」というキーワード単体で調べる人より、「アボカドおつまみ」「油揚げおつまみ」「クリームチーズおつまみ」などの複合的な検索をする人が増えていることから、同社では、「飲食店のような『より凝ったおつまみを作りたい』『いろいろな種類のおつまみを作りたい』という家飲みレシピの需要が高まっている」と分析している。

〈大手食品メーカーやコンビニも家庭での食事をサポートするキャンペーンを開始〉
こうした状況を踏まえて、大手食品メーカーも家庭での食事を応援するキャンペーンを展開し始めた。

マルコメを含む食品メーカー6社(味の素、キッコーマン、キユーピー、ハウス食品グループ本社、Mizkan)は5月18日から、初の試みとして共通の食材テーマを毎週1つ設定し、各社がそれぞれツイッターにレシピを投稿していく合同企画「#うちで食べよう」を開始した。

合同企画「#うちで食べよう」
(画像=合同企画「#うちで食べよう」)

6社が持っているレシピからテーマに即したレシピを共通のハッシュタグで投稿していく。具材には、鶏肉や玉ねぎなど、安価で使いやすい素材が選ばれていることから、チャレンジしやすくなっている。利用者からは、「家族のために料理をする回数がとっても増えました」と反応も上々のようだ。

また、コンビニからも、ファミリーマートが「おうちでおいしいファミマのごはん」を5月5日から開始した。有名専門店が監修したスパゲティーやスイーツを家で楽しもうというのが趣旨で、ナポリタン専門店「スパゲティーのパンチョ」の「大盛ナポリタンベーコンのせ」(498円税込)や、ガトーショコラの最高峰「ケンズカフェ東京」監修の「テリーヌショコラ」(238円同)を販売している。

さらに、バルニバービ(大阪市西区)が「おうちでレストラン」をテーマに、テイクアウトとデリバリー販売を行う自社のカフェ、レストランなどのまとめサイトを開設した。イタリアン、フレンチ、和食に中華など店舗ごとの個性あふれるメニューを自宅で楽しめることをアピールしている。

新型コロナの影響により、外出自粛を要請され、家庭での食事を余儀なくされた。これにより、「家庭で楽しむ食事」がクローズアップされ、食品業界の各社では、家庭内食を応援するアイデア合戦を繰り広げている。

〈大豆油糧日報2020年6月11日付〉