KRG(東京尾千代田区)
安藤 裕介 社長
タピオカブームを追い風に、タピオカ専業及び関連事業者の数は年々増えている。その数60社(東京商工リサーチ調べ ※2019年8月時点)。大手飲食チェーンも続々とタピオカ関連のメニューの提供し始めていることを考えれば、実際にはもっと多くの企業がタピオカドリンク市場で熾烈な競争を繰り広げていると推測される。「シェイシェイパール」を運営するKRG(東京都千代田区)もこの空前のブームに目を付けて参入を果たした。安藤裕介社長に今後の事業展開などについて聞いた。(※2020年6月号「注目のNEW FCビジネス」より)
1号店は初月から売り上げ400万円を達成
直営・フランチャイズ合わせ58店舗(出店予定、海外3店舗含む)と、タピオカドリンク専門店では2番目の店舗数を誇る「謝々珍珠(シェイシェイパール)」。初出店は2019年3月で、タピオカドリンク店としては後発の部類に入るが、本場台湾の味へのこだわりが多くのファンを引き付け、瞬く間に人気店の仲間入りを果たした。最近は、タピオカドリンクを混ぜずに味わうスタイルが主流になっているが、実はこれを最初に提唱したのは「シェイシェイパール」だという。その理由について安藤社長は「タピオカそのものは暖かい状態が一番美味しい。だからタピオカの味を堪能してもらうために、混ぜずに飲むスタイルを提案しました」と話す。
そもそも安藤社長はなぜタピオカドンリク店を始めようと思ったのか。きっかけは今から2年前ほどに再燃したタピオカブームだった。「今ならまだ十分に勝ち目がある」と考えた安藤社長は本場の台湾へ飛んで、片端から有名店のタピオカドリンクを飲み漁った。さすがは本場、どの店のドリンクも日本で飲むものより美味しく、中でもある有名店で売られていた黒糖を使ったドリンクに強い衝撃を受けたという。日本に帰るや否や、オリジナル商品の開発に着手、4カ月近い時間を費やして台湾で飲んだ黒糖入りタピオカドリンクを再現した。
材料は基本的に台湾から取り寄せたものを使用。肝心要のタピオカについても、中国産や味の落ちる冷凍ものを使用している店舗が大多数を占める中で、台湾産の生にこだわった。原価は若干高くなるものの、触感の良さは中国産や冷凍ものとは比べ物にならないのだという。ここまで台湾の材料にこだわった日本発の店舗は、安藤社長が知る限り他にないそうだ。
満を持して1号店を出店したのは宇都宮。渋谷や原宿などではなく、あえて宇都宮をスタート地点に選んだのは、「日本のど真ん中から始めて全国に広めたかったから」だという。オープン後すぐ、黒糖をふんだんに使用した甘い味付けやタピオカのモチモチとした触感がSNSなどで話題となり、わずか10坪の小さな店舗にもかかわらず、初月から想定の倍となる約400万円を売り上げた。
FC展開により出店スピードを加速化
フランチャイズ展開については、タピオカチェーンを立ち上げる段階から計画していた。その狙いについて安藤社長は「空前のタピオカブームを追い風に、どこのブランドも積極的に新店を出店しています。その中で飛び抜けた存在になるためには、さらに上を行くスペードで全国展開を進めていかなければなりません。これを自社資本だけでやるのはさすがに難しいので、FCを利用して他社の資本と連携することにしました」と話す。現在、国内店舗数はオープン予定のものも含め55店。そのうち8割がFCになるという。
加盟金は370万円、広告費などに充てられるブランド維持費が100万円、他に保証金30万円と研修費50万円が初期費用として必要。店舗の広さは10坪以上を推奨。イメージカラーとキャラクターは本部指定となるが、内装のデザインや造作についてはオーナーの裁量に任されている。本部に毎月支払う費用は、売上の8%のロイヤリティと1万5000円のシステム維持費。狭小スペースでできる分、初期投資が抑えられているため、利益率は約4割と高い。出店立地にもよるが、3人でオペレーションを組むことを想定した場合、1年程度で投資回収できる見込みだ。
本場台湾へも逆輸出で出店
今後の展開ついては、「直営・FCの両輪でまずは100店舗を目指しています。すでに複数店を経営しているオーナーもいるので、1年前後で達成できるだろうと見ています」と話す。また、海外展開も積極的に進めていて、すでに本場台湾にも逆輸出する形で進出を果たしている。近く3店舗目を出店する予定だという。他にも、フィリピンやオーストラリア、ドバイなどへの進出も検討しているそうだ。
「今回のタピオカブームもそろそろ落ち着いてきましたが、以前と違い、しっかり定着した感があります。利用客も若い女性だけでなく、30代40代の女性、男性へと広がっています」