矢野経済研究所
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2023年度の自動車部品・用品の市場規模は前年度比2.4%増の3兆1,032億円、好調を維持

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の自動車整備に関連した自動車部品・用品市場を調査し、現況、参入企業の動向、ならびに将来展望を明らかにした。

自動車部品・用品の国内市場規模推移

自動車部品・用品の国内市場規模推移
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1.市場概況

2023年度の自動車整備市場における総整備売上高※1は6兆2,561億円となり3年連続の増加となった。(※1データ出所:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会 「自動車整備白書」)2023年度の車検実施対象となった車両台数※2は3,394.2万台となった。コロナ禍の影響で半導体不足が発生し新車供給が滞った2020年度に新車で購入された車両の初回車検実施時期となることから、前年度より減少したものの、車両の稼働率向上に伴うバッテリーやオイルなど用品の交換需要が喚起されたことや、リコール届出対象台数が前年度より増加してリコール改修作業が売上高の増加に寄与したと思われる。(※2データ出所:国土交通省「自動車検査業務量(年報)」)

整備市場と連動関係にある、2023年度の自動車部品・用品の国内市場(事業者売上高ベース)を前年度比2.4%増の3兆1,032億円と推計した。自動車部品は主に車検や点検・整備入庫時の補修・交換部品であることから、車検実施台数※2の増減に影響を受ける。2023年度の車検実施台数※2は減少したものの、エネルギー価格や人件費の高騰により部品単価が上昇していることから自動車部品・用品市場も右肩上がりであったと推計する。

自動車部品・用品市場は短期的には、車検実施台数※2や新車販売台数※3に依拠する一方、中長期的に見ると車両保有台数※4の推移に準ずる部分が大きい。2024年末時点での国内の車両保有台数※4は7,897万台と小幅ながら前年から減少した。(※3データ出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会、一般社団法人全国軽自動車協会連合会、※4データ出所:国土交通省「自動車輸送統計年報」)中長期的には、人口減による車両保有台数※4の減少は不可避であり、台数減少により自動車部品・用品の市場も縮小が避けられない。一方で、その減少傾向を若干緩和する要因に成り得るのが、自動車保有の長期化である。

2024年3月末の乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.32年※5であり、前年からは減少したが10年前に比べると延びている。(※5データ出所:一般財団法人自動車検査登録情報協会)使用年数が延びると、整備入庫回数・交換部品点数も増えることが想定され、自動車保有の長期化傾向は、車両保有台数減少による需要減退を緩和させる方向に作用すると考える。

2.注目トピック

2023年度の純正部品市場規模は1兆4,921億円、車両の高度化により純正部品は優位な立場に

2023年度の純正部品国内市場規模は1兆4,921億円と推計する。
純正部品の販売においては、ディーラーへの整備入庫車両台数が増加傾向にあることや、好調な新車販売市場※3のもと、ディーラーオプションなどのカー用品販売も好調に推移したものとみられる。
また、車両性能の高度化に伴い、純正部品でしか修理できないケースが増加していることも純正部品需要を後押しする要因となっている。
今後は、さらなる車両の高度化や電動車の普及などを背景に、ディーラーへの整備入庫の増加が予測されるため、ディーラーへの入庫車両が増加することで純正部品に関しては減少幅が緩やかになるとみられる。ただし、中長期的には自動車保有台数の減少に伴い、純正部品市場は縮小していくと考えらえる。

3.将来展望

対象部品・用品別にみると、純正部品は自動車メーカー各社の2024年度上半期の出荷金額が概ね前年同期比プラスで推移しており、優良部品は広域部品商の2024年度業績が好調な推移を見込み、その他部品・カー用品は主力であるタイヤの販売本数が前年度を上回るペースで推移し、主要カー用品店の売上高においても前年同期比を上回る見通しである。また、リサイクル部品は事故整備売上高が増加傾向にあり、地域部品商においてもリビルド部品出荷が好調に推移している模様である。

2024年度に車検実施対象となる車両台数※2は約3,300万台、前年度と比較して100万台程度(約3.0%減)の減少が見込まれるものの、車両の使用年数の長期化により、自動車部品に対する需要は底堅かったと考える。
自動車メーカー、部品商、カー用品店等の自動車部品・用品市場に参入する企業の業績が好調に推移していること、車両の高度化や原材料の高騰等により部品単価が上昇していることからも市場規模は増加を見込む。以上の市場環境を考慮し、2024年度の自動車部品・用品市場は前年度比5.1%増の3兆2,630億円まで拡大すると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2024年12月~2025年3月
2.調査対象: 自動車メーカー、整備事業者、部品販売事業者(部販・共販)、卸売事業者、カー用品販売事業者、ディーラー、関連団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mail等によるヒアリング調査および文献調査併用
<自動車部品・用品市場とは>
本調査における自動車部品・用品市場とは、自動車整備実施時に使用される部品やその他カー用品を指す。その対象は純正部品、優良部品、リサイクル部品(リユース・リビルト)、その他部品・カー用品とする。詳細は以下参照のこと。

純正部品;自動車メーカーが自社の製造・販売した車両のアフターサービス用に供給する部品で、主にディーラーで使用されるもの
優良部品;純正部品と同等の品質ながらも、汎用且つ低コストの部品で、主に整備工場などで使用されるもの
リサイクル部品(リユース・リビルト);使用済自動車から回収された部品から製品化されるリユース・リビルト部品
その他部品・カー用品;量販店を中心に普及し、消耗品など補修部品だけでなく、アクセサリ等を含む
<市場に含まれる商品・サービス>
純正部品、優良部品、リサイクル部品(リユース・リビルト)、カー用品

出典資料について

資料名2024年版 自動車整備・部品・用品市場の現状と展望
発刊日2025年03月28日
体裁A4 252ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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