
目次
- 「日本の産業を支えるものづくりの業界で自らの可能性を試してみたい」との思い 強度はもちろん美観にも徹底してこだわる
- 顧客ニーズを重視して中長期的な視点で工場用地を確保し工作機械を導入 迅速な対応と高い品質を実現するために内製化を重視
- 若い人材の採用を積極的に進め、20代、30代が社員の半数を占める ベテランから若手まで一人ひとりが個性を発揮して活躍できる職場環境を大事にしている
- ホームページ作成システムを導入して会社の情報を機動的に発信 担当者を置いてSNSの動画投稿にも力を入れている
- SNSを通じてデジタル技術の活用に積極的な企業同士で連携の輪を広げる
- 生産管理や勤怠管理でデジタル技術を活用 負担軽減の大きな効果を実感している
- 2023年9月、「環境に配慮した取り組み」「働きがいのある職場」「地球温暖化対応への取り組み」の項目でSDGs宣言
- 追求することでおもしろくなるものづくりの仕事の魅力を若い世代に伝える
2001年に創業した京都府京都市伏見区に本社を構える株式会社ソウダ製作所は、機械や設備のフレーム(骨組み)や精密部品の製造に強みを持つ金属加工会社だ。ベテランから若手まで社員一人ひとりが個性を発揮できる職場環境を大事にしている。近年、若い人材の獲得に力を入れ、20代から30代が社員の半数を占める。若い世代にアプローチするためのツールとしてホームページだけでなくSNSを活用し、会社の魅力を伝える動画を積極的に投稿している。ものづくりDXに意欲的な企業との連携にも強い関心を持っている。(TOP写真:多種多様な工作機械が並ぶ株式会社ソウダ製作所の工場)
「日本の産業を支えるものづくりの業界で自らの可能性を試してみたい」との思い 強度はもちろん美観にも徹底してこだわる

ソウダ製作所が生産したフレームは、半導体製造装置、自動車、液晶パネル製造装置といった日本産業を代表する分野で使用されている。高い溶接の技術力、丁寧な仕上げに定評があり、製造業が活発な関西圏、中部圏を中心に長期にわたる取引先を数多く抱える。

ソウダ製作所の惣田弘実代表取締役は、金属加工会社で溶接技術者として経験を積み、30代前半で起業した。「日本の産業を支えるものづくりの業界で自らの可能性を試してみたい」との思いが背景にあったという。創業以来、「ものづくりに心を込めて」を経営理念に掲げ、常に先を見据えて金属加工技術を磨き続けてきた。溶接から機械加工まで一括対応できる技術力は、短納期とコスト圧縮を実現する上で大きな効果を発揮している。「金属製品の強度はもちろん美観にも徹底してこだわっています。お客様の想像を超える仕上がりにすることを心掛けて日々の仕事に取り組んでいます」と惣田社長は笑顔で話した。
顧客ニーズを重視して中長期的な視点で工場用地を確保し工作機械を導入 迅速な対応と高い品質を実現するために内製化を重視

ソウダ製作所は創業以来、中長期的な視点で工場用地を確保して工作機械を導入してきた。2008年にリーマン・ショックの発生で業界全体が大きな打撃を受けた時も、リスクを織り込んだ上で当初予定していた設備投資を継続した。2020年に拡大した本社併設の工場では、大型の部品や複雑な形状の部品の製造に適した門型五面加工機、NC(数値制御)によって複雑な加工が可能な工作機械がずらりと並ぶ。工場は京都府長岡京市内にも構えている。
導入してきた設備は、昔からの取引先の満足度を高めるだけでなく、新規開拓を図る上でもプラスに働いているという。「お客様が困っていることを解決するために必要な設備であればこれからも投資は惜しみません。内製化の促進は、設備導入の初期コストはかかりますが、技術とノウハウを蓄積し、迅速な対応と高い品質を実現する上で会社にとってベストの選択と考えています」と惣田社長は話した。
若い人材の採用を積極的に進め、20代、30代が社員の半数を占める ベテランから若手まで一人ひとりが個性を発揮して活躍できる職場環境を大事にしている

ソウダ製作所が設備投資と共に中長期の視点で取り組んでいるのが、人材の確保と育成だ。近年、若い人材の採用を積極的に進めていることもあって20代、30代が社員の半数を占めている。インドネシア、韓国、ベトナム出身の海外人材も採用している。重視しているのは何でも気兼ねなく話せる雰囲気づくり。日頃から職場内でのコミュニケーションを大事にしている。
「ベテランから若手まで社員一人ひとりが個性を発揮して活躍できる職場環境を大事にしています。若手には、工作機械の操作から溶接などの手作業を幅広く経験することで、ものづくりの高い技術力を身につけてもらえるようにしています。社員が安心して長期の生活設計ができるように、これからも会社を成長させていきたい」と惣田社長は柔らかな口調で話した。
ホームページ作成システムを導入して会社の情報を機動的に発信 担当者を置いてSNSの動画投稿にも力を入れている

ソウダ製作所は、人材を募集する上で重要な会社の情報発信にホームページやSNSを積極的に活用している。2020年、ホームページの更新を機動的に行えるようにホームページ作成システムを導入した。ホームページには、会社概要、加工技術、導入設備、納品までのプロセス、採用情報を豊富な写真と共に掲載。その一方で、若手の社員2人を担当者に任命してSNSへの動画投稿にも力を入れている。これまで女性社員による会社のオフィス、工場設備の紹介や展示会の準備風景など多彩な動画を投稿した。SNSに投稿した動画の情報はホームページにも掲載している。

「日頃接点を持ちにくい幅広い層の方々に会社の情報を発信する上でホームページやSNSの活用は不可欠と思っています。特にSNSは若い世代に会社をアピールするには最適のツール。会社のありのままの姿を発信するようにしています。担当者が楽しんで工夫しながらコンテンツの制作に取り組んでくれているのがなによりうれしいですね」と惣田社長は笑顔で話した。フォロワー数も順調に伸びているという。
SNSを通じてデジタル技術の活用に積極的な企業同士で連携の輪を広げる
惣田社長は、SNSを活用した情報発信に力を入れている同業他社の動画投稿を積極的に視聴するようにしている。京都府外の同業他社の投稿にコメントを送ったことをきっかけに交流がスタートするなど、当初想定していなかった効果が生まれているという。「SNSは、情報発信だけでなくネットワークづくりにも役立つことを実感しています。デジタル技術の活用に積極的な企業同士で連携の輪を広げて相乗効果を生み出していきたい」と惣田社長はうれしそうに話した。
生産管理や勤怠管理でデジタル技術を活用 負担軽減の大きな効果を実感している
ソウダ製作所は製造面で、売上管理、請求書発行、入金管理の機能を備えた生産管理システムを2015年から活用して業務の効率化を図っている。基幹業務では、2023年にタイムレコーダーと連動した勤怠管理システムを導入し、以前は紙製のタイムカードで行っていた社員の出退勤時間の記録と集計作業を効率化している。導入した勤怠管理システムは、社員一人ひとりの打刻記録を基に、残業を含んだ勤務時間や休暇日数の自動集計、グラフによる労働時間の可視化など管理者の負担を軽減する様々な機能を備えている。
勤怠管理システムを導入する前は、惣田社長自らが毎月、給料の締め日の後、二つの工場からタイムカードを回収し、手作業で勤務時間を集計していた。システム導入後は、個々の社員がタイムレコーダーにICカードをかざすだけで自動的に出退勤時間を記録、集計できるようになった。「回収作業そのものが不要になったので時間を有効活用できるようになりました。それだけではありません。社員の給料に直結する勤務時間の集計は、一瞬たりとも気を抜けないしんどい作業でしたので、解放されたことで気持ちの面でも余裕が生まれました」と惣田社長はうれしそうに話した。
2023年9月、「環境に配慮した取り組み」「働きがいのある職場」「地球温暖化対応への取り組み」の項目でSDGs宣言

ソウダ製作所は、環境を意識した取り組みを重視し、国連の持続可能な開発目標、SDGsにも強い関心を持っている。2023年9月には、「環境に配慮した取り組み」「働きがいのある職場」「地球温暖化対応への取り組み」の三つの項目でSDGs宣言を行った。
SDGsの目標を達成するための具体的な活動として、京都発の環境マネジメントシステム、KES(京都環境マネジメントビジネススタンダード)の認証取得や環境に配慮した材料の使用、工作機械の稼働率向上による生産効率化、残業時間の削減、多様な人材が活躍できる職場づくり、省エネ機器の導入や照明のLED化、ペーパーレス化の推進を実践している。「SDGs宣言を行ったことで、環境保護の意識が高い若い世代への訴求力が向上しただけでなく、生産効率化、労働時間、ペーパーレス化に対する社員の意識が高まったことで経営の効率化にもつながっています」と惣田社長は、SDGs宣言の効果について話した。
追求することでおもしろくなるものづくりの仕事の魅力を若い世代に伝える

ソウダ製作所が立地する京都市南部では市内の産学官が連携して高度産業の集積を図る「らくなん進都」構想が進むなど今後、事業を拡大していく上での追い風も吹いている。「こだわりを持って追求すればするほどおもしろくなるのが、ものづくりの仕事です。先を見据えて事業に取り組むと共に、京都のものづくりが活性化するようにその魅力を若い世代にしっかりと伝えていきたい」と惣田社長は意欲を示す。経験に裏打ちされた人間の技を製品に注ぎ込むことを大事にするとともに、明るく前向きな姿勢でデジタル技術を活用するソウダ製作所。ものづくり業界を盛り上げる新たな情報発信に期待がかかる。
企業概要
会社名 | 株式会社ソウダ製作所 |
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本社 | 京都府京都市伏見区羽束師古川町389-1 |
HP | https://souda-seisakusho.co.jp |
電話 | 075-924-6711 |
設立 | 2005年4月(創業2001年) |
従業員数 | 26人 |
事業内容 | 各種フレーム、各種溶接加工、精密機械加工製造・販売 |