矢野経済研究所
(画像=Sherry Young/stock.adobe.com)

円安等の為替、原材料や輸送コストの高騰による生産コスト増で製品の値上げが続く

~2024年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場は前年度比3.1%増の4,093億1,800万円と予測~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内のカテーテル&チューブ、IVR製品市場の調査を実施し、市場規模推移、診療科目別の製品導入動向、製造販売業/販売元シェア、参入各社の販売政策、今後の成長製品などを明らかにした。

1.市場概況

カテーテル&チューブ、IVR製品とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される単回使用の医療機器(診断及び治療を目的として使用される医療用デバイス)である。カテーテル&チューブ、IVR製品を含む国内医療機器市場は、近年、診療報酬改定による影響を受けて市場規模が減少する製品も多いものの、これまでは横這いから微増推移を続けてきた。

2022年度から新型コロナウイルス感染拡大で抑えられていた症例数はほぼ回復しており、さらに海外生産の製品をはじめとした生産や輸送遅延等による供給不安・欠品についても解消しつつある。一方、円安等の為替、原材料や輸送コストの高騰などによる生産コスト増は深刻な問題となっている。参入メーカーや輸入製品の販売元各社においては、消耗品や償還価格が決定されていない製品の値上げに加えて、2024年6月改定で償還価格が下落した製品についても、価格を据え置いて実質的な値上げを行うケースが散見されている。
このような状況下で、2023年度のカテーテル&チューブ、IVR製品国内市場(52項目80区分合計)は前年度比1.1%増の3,970億4,500万円と推計し、2024年度は同3.1%増の4,093億1,800万円と予測する。

2.注目トピック

アブレーション関連カテーテル市場

不整脈に対するアブレーション治療(経皮的心筋焼灼術)の症例数は、2023年度は105,833例、うちAF(Atrial Fibrillation:心房細動)症例が77,843例となり、後天性や発作性のAF群に対する症例が増加している中で、心筋焼灼術の増加(高単価の冷凍アブレーションバルーン等を含む)、さらにパルスフィールドアブレーションといった新デバイスの上市などにより、市場成長が続いている。
また、アブレーションカテーテル出荷本数の増加と併せて、電極カテーテルや、遠位端可動型シースイントロデューサーセットの市場も拡大傾向にあり、2023年度は前年度比4.5%増の1,053億2,200万円、2024年度は同4.7%増の1,102億7,700万円と予測する。

3.将来展望

カテーテル&チューブ・IVR製品市場は、外科的手術から非侵襲的な経皮的手技の症例が増加したことで、2000年度頃までは年率平均で10%弱の伸び率であった。2002年度以降は高齢化の進展から症例数が増加する製品群がある一方、償還価格改定時に償還区分の変更や統合、償還価格が2ケタ下落した大型製品もあったことで、市場全体は微増やマイナスの実績にとどまると共に、製品群の二極化傾向が続いている。
今後、高付加価値の診断系カテーテル、アブレーション関連製品等を除いた多くの製品の成長率はマイナスから2%増程度に留まる見込みで、2028年度のカテーテル&チューブ、IVR製品市場規模は、2023年度比で5.9%増の4,202億9,600万円になると予測する。

調査要綱

1.調査期間: 2024年5月~2025年2月
2.調査対象: 国内メーカー及び輸入製品の総販売元(製造業・製造販売業)
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンラインを含む)、ならびに電話取材調査併用
<カテーテル&チューブ、IVR製品とは>
本調査におけるカテーテル&チューブ、IVR(Interventional Radiology)製品とは、病院やクリニック、検査センター等で使用される単回使用の医療機器(診断及び治療を目的として使用される医療用デバイス)を指す。
血管内で使用される、PTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)やPTA(Percutaneous Transluminal Angioplasty)関連のカテーテル、血管造影用カテーテル、アブレーション治療関連のカテーテル、Coronary Stent(ステント)、末梢血管用ステント、塞栓用コイル、消化管バルーン・ステント、栄養カテーテル、サクションチューブ(吸引カテーテル)、尿管ステント、ネラトンチューブ、自己導尿カテーテルなどに加え、各診療科特有の製品を含む52項目(80区分)を対象とし、国内メーカー及び輸入製品の製造販売業:販売元ベースで算出した。
​また、IVR製品は、X線透視撮影装置やCTなどの画像診断下で体内の診断・治療を行うデバイスで、血管系と非血管系の製品に分類される。
<市場に含まれる商品・サービス>
カテーテル&チューブ、IVR製品

出典資料について

資料名2024年版 カテーテル&チューブ、IVR製品市場の中期予測と関連製品の徹底分析
発刊日2025年02月21日
体裁A4 685ページ
価格(税込)165,000円 (本体価格 150,000円)

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