矢野経済研究所
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中間層拡大で注目される東南アジア4か国の食品業界

~各国における都市化やライフスタイルの変化を背景に、スーパー、コンビニエンスストアなどの近代小売業(モダントレード)が拡大~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、東南アジア4か国(タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン)の食品市場を調査し、各国の経済情勢、食品製造業の状況、主要カテゴリの動向、日本企業の参入動向、食品小売業の動向を明らかにした。ここではベトナムにおける消費者アンケート調査の一部の分析結果を公表する。

図1. ベトナムにおける生鮮食品と加工食品の購入場所(全体/地域別)

図1. ベトナムにおける生鮮食品と加工食品の購入場所(全体/地域別)

図2. 日本ブランドの加工食品の購入状況(食品カテゴリ別)

図2. 日本ブランドの加工食品の購入状況(食品カテゴリ別)
(画像=矢野経済研究所)

1.調査結果概要

■近代小売業におけるミニマート/コンビニエンスストアの急速な拡大
東南アジアは、生鮮品などを販売する伝統的な市場(ウェットマーケット)や、加工食品・日用雑貨などを販売する個人店などが食品小売チャネルの主流であった。一般にトラディショナルトレード(伝統的小売)と呼ばれ、各国で状況は異なるものの、現在も多くの国でトラディショナルトレードが主流であるとみられる。

一方、各国における都市化やライフスタイルの変化を背景に、スーパー、コンビニエンスストアなどの近代小売業(モダントレード)が拡大しており、特に各国の首都などの大都市では伝統的な市場・小売店が減少し、モダントレードへの移行も進んでいる。特に近年は小規模スペースで急速に店舗数を増やすことができるミニマート(ミニスーパー)、コンビニエンスストアの業態が伸長しており、各国において近代小売業を展開する主要企業は都市部のみならず、郊外の住宅街においても、ミニマートやコンビニエンスストアの店舗数を増やす傾向にある。

2.注目トピック

■加工食品の購入先は「スーパーマーケット」が7割で1位
本調査に関連して2025年1月にベトナムにおいて都市部と郊外に居住する20代から50代以上の男女485名(男性274名、女性211名)に実施した消費者アンケート調査結果では、生鮮食品の購入先(複数回答)は全体で依然として「市場」が約9割を占めているのに対し、加工食品の購入先(複数回答)は「スーパーマーケット」が71.4%、続いて「コンビニエンスストア」が50.3%となり、トラディショナルトレードに含まれる「路面店(いわゆる家族経営の小規模店舗であるパパママストア)」の42.4%を上回った。

地域別でみても、都市部、郊外ともに大きな傾向の違いはみられず、全体的にこのような傾向が広がっているとみられる(図1)。

■日本ブランドを購入している食品分野は、「調味料」「菓子」「粉類・麺類」がトップ3
日本ブランドの加工品の購入状況(食品分野ごとに単数回答)について、「よく購入する」と「時々購入する」の合計(購入する計)を見ると、全体では、「調味料」が78.1%で最も高かった。東南アジアは日本の調味料メーカーがうまみ調味料を生産・販売していることもあり、広く普及し、定着していることが窺える。2位は「菓子」で69.1%、3位は「粉類・麺類」で64.5%、4位は「インスタント麺」で64.3%だった。全体的に加工度の高い食品が上位にくる傾向がみられる(図2)。

調査要綱

1.調査期間: 2024年9月~2025年3月
2.調査対象: タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピンの主要な食品メーカー(現地/日本)、小売業(現地/日本)
3.調査方法: 当社専門研究員、パートナーによる現地調査、インターネット消費者アンケート調査(ベトナム)、及び各国の公的統計から国家の動向や経済環境等につき文献調査を併用
<東南アジア4か国(ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン)における食品関連産業とベトナムにおける消費者アンケート調査とは>
本調査では東南アジア4か国(タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン)の食品市場をについて、各国の経済情勢、食品製造業の状況、主要カテゴリの動向、日本企業の参入動向、食品小売業の動向を調査した。これに関連し、近年日本の食品メーカーによる進出が目立つベトナムにおいて2025年1月時点での中央直轄市(ハノイ市、ホーチミン市、ダナン市、フエ市、ハイフォン市、カントー市)を都市部、それ以外を郊外として、2025年1月に20代から50代以上の男女485名(男性274名、女性211名)に対し、消費者アンケートを実施した。ここでは生鮮食品と加工食品の購入場所、日本ブランドの加工食品の食品分野別の購入場所に関する消費者アンケート調査の一部の分析結果を公表する。

出典資料について

資料名2025年版 注目される東南アジア4か国(ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピン)における食品関連産業と消費動向の最新トレンド
発刊日2025年03月31日
体裁A4 390ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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