中小企業省力化投資補助金とは? メリットや申請ステップを解説

目次

  1. 中小企業省力化投資補助金とは?
  2. 中小企業省力化投資補助金の目的と対象企業
  3. 補助内容と上限金額
  4. 中小企業省力化投資補助金を活用するメリット
  5. 労働時間を削減できる
  6. 申請スケジュールと申請方法
  7. 導入できる省力化製品の具体例
  8. 補助金を活用して省力化投資の一歩を踏み出そう!

人材不足が深刻化する中、企業では生産性向上のための省力化や省人化の取り組みが求められています。中小企業におけるその施策を後押しするのが、中小企業省力化投資補助金です。このコラムでは、中小企業省力化投資補助金の目的や概要を解説。活用するメリットや申請方法、また補助金を使って導入ができる省力化製品の具体例もご紹介します。

中小企業省力化投資補助金とは?

中小企業省力化投資補助金とは、2024年に公募が始まった新しい補助金です。人材不足に悩む中小企業が、IoTやロボットなどの生産性向上に効果的な施策を行った際、その導入経費の一部を補助する制度です。

補助対象は、指定されたカタログに掲載された省力化製品です。補助を受けたい企業は、カタログから、自社の業種や業務プロセス、課題に合った製品を選定し、製品の販売事業者と共同で補助金の申請を行います。

中小企業省力化投資補助金の目的と対象企業

中小企業省力化投資補助金は、中小企業の省力化投資を促すことで、生産性向上や売上拡大、また賃上げにつなげるという目的でスタートしました。

補助対象は「人手不足の状態にある中小企業等」です。省力化製品導入するとともに、販売事業者と共同で「労働生産性 年平均成長率3%向上」を目指す事業計画に取り組む企業が、補助の対象です。なお、申請においては、すべての従業員の賃金が最低賃金を超えていること、補助金の重複に該当しないことなどの要件を満たす必要があります。

補助内容と上限金額

補助対象は、指定された「製品カタログ」に記載された省力化商品です。

補助率は、費用の1/2以下です。また補助の上限金額は、従業員数に応じて下記のように決まっています。

従業員数5名以下…200万円(賃上げ要件を達成した場合:300万円)
従業員数6〜20名…500万円(賃上げ要件を達成した場合:750万円)
従業員数21名以上…1,000万円(賃上げ要件を達成した場合:1,500万円)

なお、補助事業実施期間に一定以上の賃上げ要件を達成した場合は、上記の()内のとおり補助額の上限が引き上げられます。上限額引き上げの適用を希望する際は、事業終了時に、①給与支給総額+6%以上かつ、②事業場内最低賃金+45円以上とする計画を策定して、申請を行う必要があります。

中小企業省力化投資補助金を活用するメリット

省力化につながる製品を、費用を抑えて導入できる中小企業省力化投資補助金。では、この補助金には、具体的にどのような活用メリットがあるのでしょうか。

課題に合わせたツールで効果的に効率化を進められる

自社の課題に合った製品を選べるため、効果的に省力化を実現できます。製品カタログには、店舗の業務を効率化するロボットや、券売機や自動チェックイン機、また印刷工場で活用できる装置など、幅広いカテゴリーの省力化製品が掲載されています。

自社の業種や課題、また従業員のニーズに合った製品を導入ができるため、生産性向上や人材リソース不足の解消につなげられます。

従業員のモチベーション向上や人材の定着

省力化製品の導入で機械化が進めば、削減できた時間で、従業員がより創造的な仕事や、モチベーションを持って取り組める業務に従事することができます。

また、身体的な負荷や業務量の過重を軽減することで、働きやすい職場環境を整備できます。従業員の会社に対する満足度が向上し、人材の定着にもつながるでしょう。

安価で省力化製品を導入できる

製品費用の1/2以下の補助が受けられるため、コストを抑えながら省力化の施策を進められることもメリットです。補助を受けることで、導入費用の負担を理由に見送っていた機器の導入に踏み切ることができます。機械化、省力化の効果を測ることが、職場のIoT・ロボット等の活用機会拡大にもつながるでしょう。

労働時間を削減できる

ロボットや機器の活用によって省力化が進めば、従業員の労働時間を削減できます。働く人の私生活と仕事の両立や、心身の健康につながるほか、企業にとっても、法律で定められた時間外労働時間の上限規制への対応や、人件費削減というメリットがあります。

販売事業者から申請・導入のサポートを受けられる

中小企業省力化投資補助金の申請は、指定された販売事業者と行う必要があります。そのため、商品知識や手続き、また導入に関して不安を抱える企業も、事業者のサポートを受けながら申請・導入ができます。

専門知識が豊富な販売事業者の支援のもとで製品を導入することで、目的や課題に応じた効果的な活用を進めることができます。

申請スケジュールと申請方法

中小企業省力化投資補助金の応募・交付申請は、2024年8月より随時、受付が行われています。申請から1~2ヵ月程度で採択・交付決定がなされる見込みです。

なお、申請ステップは以下の通りです。

① 公募要領の確認
「公募要領」にて、補助金制度の概要、対象経費、スケジュール、補助対象事業者に該当するか等を確認。

② 申請に必要なgBizIDの取得
電子申請に必要なgBizIDプライムアカウントを取得。

③ カタログから製品選定
「製品カタログ」から希望する製品を選定。

④ 販売事業者の選定
製品ごとに記載されている「販売事業者一覧」から販売事業者を選定し、サポート窓口電話番号もしくはサポート窓口メールアドレス宛に連絡。

⑤ 販売事業者と共同申請
販売事業者からの招待をもって専用フォームからの申請が可能になる。販売事業者と共に、必要な書類を用意して受付システムで申請を行う。

導入できる省力化製品の具体例

補助対象となる省力化製品のカテゴリーや製品は、随時更新されています。製品は、中小企業省力化投資補助金のサイトで、業種やカテゴリーで探すことが可能です。ここでは、その一例をご紹介します。

清掃ロボット

清掃ロボットは、人や障害物を避けながら走行し、廊下やロビーなどの床面を自動で清掃します。飲食業や宿泊業、小売業、倉庫業など、清掃作業が必要な企業の省力化に役立ちます。

価格の目安は数百万円程度で、導入後、設定を行えばすぐに使用が可能です。掃除機などを使った人手の清掃作業と比べて、作業時間やコストの削減が見込めます。

配膳ロボット

飲食店や宿泊施設のレストラン等で、ロボットが人や障害物を避けながら、料理や飲み物の配膳を行います。数十~数百万円程度の価格で導入が可能です。

配膳を自動化することで店内業務の効率化が進むほか、従業員が、配膳以外の片づけなど人がやるべき仕事に従事できます。飲食店の回転率アップや、顧客サービス品質の向上にもつながるでしょう。

自動裁断機

紡織や衣服、繊維製品の製造事業者が活用できるのが、自動裁断機です。これまで手作業で行われていた、生地を設計されたピース状のパーツに裁断する作業を自動化できます。千三百万円程度から導入が可能です。

機械化によって共同作業が必要な工程を1人で作業できるようになるなどの省力化が実現。生産性向上や納期の短縮が見込めます。また、自動裁断機は正確な寸法でパーツを裁断するため、品質の均一化が図れます。

自動精算機

小売業や飲食業の決済業務を効率化するのが、自動精算機です。従業員が対面で行っていた商品の登録や決済に要する時間を削減できます。会計処理や、レジ点検、現金管理業務も自動化できます。

機器の価格は数十万~数百万円程度。数万~数十万円程度の設置費用がかかります。会計の省力化のほか、現金を人手で扱うことによるヒューマンエラーや過不足金の計算の手間、現金管理に関する教育時間を減らすというメリットもあります。

補助金を活用して省力化投資の一歩を踏み出そう!

政府も予算をかけて推進している中小企業の省力化投資。中小企業庁は令和6年度補正予算案で、省力化投資支援の強化を発表しています。カタログによる選定に加えて、個別の設備や事業内容に合わせた多様な省力化投資を促進する「一般型」の補助を新設するなど、全方位型の支援を目指す方針です。

中小企業にとっては自社に合った省力化施策に踏み切るチャンスです。製品カタログや、中小企業省力化投資補助金サイトの活用方法などを参照することで、省力化の具体的なイメージが広がるでしょう。新しい補助金制度を活用して、職場の働き方を変える取り組みを進めてみてはいかがでしょうか?

中小企業省力化投資補助金とは? メリットや申請ステップを解説
記事執筆
中小企業応援サイト 編集部 ( リコージャパン株式会社運営
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