矢野経済研究所
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2024年度の国内ビル管理市場規模を前年度比101.6%の4兆9,063億円と予測

~人と技術が共存し、新しいビル管理業務のスタンダードが形成されることを期待~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のビル管理市場を調査し、建物使途別や業務別の動向、参入企業の動向、将来展望を明らかにした。

ビル管理市場規模推移

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1.市場概況

2023年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は4兆8,297億円、前年度比105.2%となった。
既存ビル管理案件における契約更改時の価格改定が進んでいること、適正な単価水準での新規案件の稼働が本格化していることがビル管理市場拡大の要因として挙げられる。

2.注目トピック

建物使途別では、「事務所ビル」がビル管理市場全体の2割超で最大シェア

2023年度のビル管理市場規模を建物使途別にみると、住宅が約1,874億円(建物使途別シェア3.9%、前年度比105.7%)、非住宅が約4兆6,422億円(同96.1%、同105.2%)と推計した。

非住宅の内訳を見ると、事務所ビルが市場規模約1兆501億円(同21.7%、同105.6%)と、ビル管理市場全体の2割を超えて構成比は最大となる。次いで、店舗・商業施設:約8,693億円(同18.0%、同104.8%)、医療・福祉施設:約4,960億円(同10.3%、同106.0%)、工場・作業所:約4,470億円(同9.3%、同104.4%)、学校施設:約4,418億円(同9.1%、同103.4%)という順になった。

3.将来展望

2024年度の国内ビル管理市場規模(元請金額ベース)は、前年度比101.6%の4兆9,063億円と予測する。過去から継続している既存ビル管理案件の契約更改時における価格改定が進んでおり、これに加えて適正な単価水準での新規案件が積み上がっている現状を考慮すると、ビル管理事業者各社の売上規模の拡大傾向が進み、ビル管理市場全体の底上げも進んでいく見込みである。
一方で、既存案件の価格改定の幅は依然として十分なものではなく、新規案件における管理費と比較すると、十分な利益水準を確保できる契約単価までの引き上げは実現できていない。労働力確保のためや他業界との競争力を高めるためにも給与水準の引上げは不可欠な要素の一つであり、建物オーナー側には価格改定に対して一層の理解を求めていかなければならない。

また、ビル管理事業者がロボットやセンシング技術の活用、システム連携やIT化、AI活用など、新たなビル管理手法を提案することにより、売上規模の拡大、収益性の向上を目指す動きも注目される。人手不足の状況が好転することは考え難く、将来にかけてはさらに働く世代が減少していくことが避けられない情勢である。その中で、人と技術が共存し、明確な “分業” によってビル管理業務が棲み分けられることで、人の手による業務の価値が高まっていく可能性がある。
従来から続く労働集約型のビル管理業務において、人だから実現できる付加価値を創出することで、人の手による高品質の業務価値を高めていかなければならないと考える。これに加えて、先進的な技術による効率的なビル管理業務が提供されることによって、新しいビル管理業務のスタンダードが形成されていくことに期待する。

調査要綱

1.調査期間: 2024年7月~9月
2.調査対象: 全国の有力ビル管理事業者
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話アンケート調査、ならびに文献調査併用
<ビル管理市場とは>
本調査におけるビル管理市場とは、ビルの清掃、設備管理、警備業務等の受託サービスを対象として、元請金額ベースで市場規模を算出した。ビル管理事業者が請け負う修繕工事、改修工事、リニューアル工事等の周辺業務を含む。
<市場に含まれる商品・サービス>
衛生管理業務、設備管理業務、警備保障業務、その他業務(建物修繕等)

出典資料について

資料名2024年版 ビル管理市場の実態と展望
発刊日2024年09月27日
体裁A4 391ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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