碓田部長
(画像=碓田部長)

日本生活協同組合連合会(日本生協連)の冷凍食品は、売上は前年を上回る状況を維持している。他方、数量的には厳しい状況があるため、組合員の声を活かした商品の投入で買い上げ点数の増加を狙う。第一商品本部冷凍食品部の碓田晃司部長に聞いた。

――2024年度の販売状況は。

市場全体では、外食市場の回復で業務用冷凍食品は着実に伸びていると聞く。市販用冷凍食品も、数量的には厳しい状況にあるものの、コロナ禍に広く支持された影響は今も続いており、堅調に推移している。

我々の場合、カテゴリーによって好不調はあるが、冷凍米飯や冷凍麺といった主食系は好調を維持できている。スナックも非常に良かった。

一方で、冷凍野菜や和惣菜は苦戦した。また、冷凍食品全体では金額ベースでは23年度を超える状態にあるものの、点数については1ケタ減の状態にある。2023年度も数量的には厳しかったので、買い上げ点数を上げるための取り組みを行っていく。

――どのような取り組みを進めるのか。

値ごろを狙った開発と主力商品のリニューアルを進める。商品の価格をただ下げるのではなく、新たな商品の追加で購入していただける機会を増やす取り組みを進める。今年発売したものでは、「CO・OP プチがんも枝豆入り 標準13~15個入(168g)」のような、サイズを小さくしつつ個数を増やしながらも値ごろな価格に抑えた商品は好調に推移している。

「CO・OP プチがんも枝豆入り 標準13~15個入(168g)」
(画像=「CO・OP プチがんも枝豆入り 標準13~15個入(168g)」)

2024年の秋には付加価値を高めた新商品としてクリームコロッケや値ごろを意識したじゃがいもコロッケを投入する予定だ。比較的手に取りやすい商品を提案すると共に、アッパーなラインも提案し、買い上げ点数を増やしていければと思う。

他にも、北海道函館市の有名ラーメン店「函館麺厨房あじさい」が監修した商品の発売を予定している。麺やスープは店舗さながらの味を再現した商品だ。

これまでに我々は有名ラーメン店の商品を発売しており、いずれもヒットしている。新商品への期待も厚い。

――ワンプレート商品については。

非常に好調だ。コロナ以降急速に伸び、ずっと成長を続けているカテゴリーだ。コロナ禍にはほぼ倍増、その後も大幅2ケタ増で推移し、2024年も前年を上回っている。商品数も以前は5品の展開だったが、2023年の春に追加で3品追加して計8品になった。

メニュー的に30~40代を狙っているが、比較的高齢の方からも利用が広がっている。若年層の利用も着実に伸びており大事にしたい。今後は2~3品ほどメニューの入れ替えを行いながら、この8品体制を維持していく。

――「きらきらステップ」について。

2023年度は好調だったが、2024年度は若干苦戦している。比較的年齢の高い子向けの商品「きらきらキッズ(3~6歳頃)」の動向は悪くはないが、乳児向け用のきらきらステップ(5か月~3歳ころ)は少し落ちている。

コープでしか買えない、その価値を見てもらうという意味ではシリーズものの強化に取り組んでおり、その中で「きらきらステップ」は年に1品、必ず新商品を開発する方針としている。子育て向けの商品なので今後もしっかり強化したい。トレンドを意識したメニューや、価格面を見た商品もきちんと配置していく。

あと、おいしさを追求したクオリティシリーズ、あとは国産素材のシリーズの配置を強化しているほか、若年層から手に取ってもらいやすい価格の商品も提供したい。

〈組合員からの声などを反映プラスチック削減に向けた取り組みも検討〉
――冷凍食品市場の今後の見通しと、今後の取り組みは。

冷凍食品自体は利用される層が着実に増えているので、市場自体はまだ伸びると思っている。

ただ、家庭の冷凍庫のキャパはそんなに大きく変わらいので、世代ごとの商品のアプローチを考えて訴求する必要があると思っている。

例えば子育て層には、ユニットプライス重視の商品だけではなく、食卓出現度の高いメニューで使いやすい商品を案内する。中高年に対しては即食しやすいワンプレート商品などを提案していく。

将来的には、使い勝手改善の面とプラスチック削減という観点からトレーをはずしたり、包材のシュリンク化なども検討している。主力の商品から相談をさせていただいている。冷凍庫にも入れやすくなるのでは。

生協は組合員の方々の声や購買動向を、データとして持っているのは強みだと思う。その辺を分析しながら求められている価値を提供できるよう取り組みたい。「きらきらステップ」や、今後強化するコロッケ類も組合員の声から生まれた商品だ。きちんと声をしっかり受け止めて開発できれば良いと思っている。

〈冷食日報2024年9月25日付〉