(左から)草地市長、時松社長、山田理事長
(画像=(左から)草地市長、時松社長、山田理事長)

ポッカサッポロフード&ビバレッジは7月10日、静岡県磐田市、ならびに遠州中央農業協同組合(JA遠州中央)と、レモン産地形成による地域活性化等を目的とした連携協定を磐田市役所で締結した。全国でもトップクラスの日照時間を活かし、2024年からポッカサッポロが生産パートナーへの栽培指導を始め、2027年の収穫を目指す。

ポッカサッポロと磐田市は、2023年3月からレモン栽培に関する検証を開始していた。今回の連携協定では、地域課題の解決と持続的な国産レモンの安定的な生産と調達拡大を図るとともに、地域の生産振興に貢献することを目指す。

すでに12農家の応募があり、初年度に6haを展開し、2030年には100haを目標に取り組むという。収穫したレモンは、生果での展開にとどまらず、JAを通じてポッカサッポロが買い取り、付加価値をつけて製品化していく考えだ。

磐田市の草地博昭市長は、次にように期待を語る。「この地域で新たな果実のレモンの産地化が進むことに対し、市民の期待は非常に高まっている。それは、お茶がどうこうという話ではなく、レモンに希望や期待をしているというのが一番大きい。協定を通じて、しっかりと育てていきたい。そして、大切なのは農家の皆様が続けることができるということだ。そうしたことを通じて地域の活性化の一つの柱になっていけばと思っている」。

また、JA遠州中央の山田耕司理事長は、「市長のおっしゃる通り、お茶がというよりも、現在は農業経営がご存じの通りの(厳しい)状況にある。そういう中で、このレモンが一つの光になって、農家が増えたり、農業経営が安定するような道が開ければと期待している」と話した。

ポッカサッポロの時松浩社長は、「国産のレモンの需要はこの先も高まることが見込まれる。昨今の地政学的なリスクもあり、果汁一つ取っても国産だけでまかなえる状況ではない。そういう意味では、国内においてレモンの作付が活性化していくのは、我々の技術上も、付加価値を上げる最大のチャンスになる」と語った。

さらに、「単純に搾汁して果汁だけ売るということ以外に、レモンは丸ごと活用できるホールフルーツなので、加工度を上げていくことが、産地の皆さまにとっても新たな付加価値を提供できることにつながると思っている。60年以上にわたりレモン事業に取り組む我々は、そのノウハウを一番持っている。レモンは瀬戸内が有名だが、日本のちょうど真ん中にあるこの場所(磐田市)も、レモンの大きな産地にしたい。この協定は最初の一歩だと期待している」とした。

ポッカサッポロと磐田市の縁は深く、同市にはスープを作る工場の磐田ポッカ食品がある。そして、2012年7月に磐田市と同社の親会社であるサッポロホールディングスを含めた3者で、地域活性化とまちづくりの推進を目的とした包括協定を締結していた。

今回の連携協定では、地域課題の解決と持続的な国産レモンの安定調達を目指し、磐田市におけるレモン産地形成による地域活性化などを目的としている。 レモンを基幹事業としているポッカサッポロは、この連携協定を機に、国産レモンの安定的な生産と調達拡大を図るとともに、地域の生産振興に貢献することを目指す。

この協定に基づき、3者は相互連携と協働による活動を推進する。それぞれの役割について、磐田市は、レモン産地形成推進事業の実施・とりまとめと、圃場調整に関することに取り組む。JA遠州中央は、レモン産地形成に関する生産者のとりまとめと、生産者の栽培指導・圃場・資材の調整に関して担当する。ポッカサッポロは、レモン栽培指導の実施とレモン食育活動などを実施する。

ポッカサッポロの原料ビジネス推進部の土屋淳一さんは、次のように話す。「まず最初の3年間で、レモンの木の成長を確かなものとする取り組みに全力を注ぐ。茶畑からレモンに転作するという方もいらっしゃると思いますし、新たにレモン農家になりたいと磐田市に入ってくる方が増えてくれば、我々としても望ましい姿だと思っている」。

ポッカサッポロは、「ポッカレモン100」をはじめレモン関連商品の開発・販売、レモンに関する研究や食育活動を行うなど、レモンが持つ健康機能の発信や用途・シーンの提案を通じて、レモンの総需要の拡大を図っている。

2019年4月からは、国産レモンの生産振興を目的に、広島県豊田郡大崎上島町においてレモンの栽培を開始し、国産レモンへの需要の高まりに対応するため、レモン農業が抱える課題にも取り組んでいる。耕作放棄地を再生し、レモン栽培地を広げる支援など、地道な取り組みが成果を上げつつあり、同町では移住者も含め、レモン農家が増加している。