ECサイトの集客力を高める手段として、ブログの活用は有効です。商品ページだけでは提供できない情報も、ブログ記事を通して発信することで、潜在顧客との接点が増え、自社サイトへの流入を促進できるためです。
しかし、単にブログを運営するだけでは望むような成果は得られません。ペルソナの設定から記事の作成、更新など、一連のステップを戦略的に取り組む必要があります。
本記事では、ECサイトでブログを運営する3つのメリットと、6つのステップで開設するブログの書き方を紹介します。ブログ運営に必要な知識と手順を把握し、自社ECサイトの集客力アップにつなげてください。
目次
悩みやお役立ち情報が訴求できるケースはECサイトのブログが効果的
ECサイトでブログを運営することには大きなメリットがあります。商品に関連する悩みやお役立ち情報を、適切にまとめたブログ記事を公開すれば検索上位表示を狙うことも可能です。
たとえば、化粧品のECサイトであれば、「シミの原因と対策」「正しい洗顔方法」など、商品に関連する悩みを解決するブログ記事を作成します。すると、商品名やカテゴリーのキーワードで上位表示されにくいECサイトであったとしても、ブログの記事ページで検索上位を獲得しやすくなります。
また、商品やサービスを購入したいと考えている人向けのキーワード(Buyクエリ)では、「〇〇の選び方」や「〇〇のおすすめ」といったキーワードで、商品の選び方やおすすめ商品を紹介するブログ記事を作成するアプローチもオススメです。
ECサイトでブログを運営することで、商品名やカテゴリーで検索する顧客層だけでなく、悩みを解決したい方や商品選びで迷っている方へ訴求できます。このように、ブログは商品ページだけでは届きにくい幅広い層に情報を提供できるため、ECサイトの集客力向上に寄与します。
ECサイトでブログを運営することで集客力が強化される3つの理由
ここからは、ECサイトでブログを運営するとなぜ集客力を強化できるのか、3つの理由を解説します。
商品ページだけでは集客力が弱い
商品ページは、すでに商品を知っている方や購入を検討している方が訪れるページです。しかし、商品を知らない潜在顧客は、商品名やカテゴリーではなく、悩みや課題に関連するキーワードで検索します。そのため、商品ページだけでは潜在顧客に訴求しにくい部分への補足が必要です。
SEOを意識したブログを作成すれば、自社サイトや自社商品を知らない潜在層にアプローチできる可能性が高まります。ただし、情報収集だけではなく、自社ECサイトへの遷移を促すことや、自社の認知度を上げるための施策も忘れてはいけません。
サイトに訪れるきっかけは単なる情報収集であったとしても、自社のブランドや商品の認知につながるようなストーリーを設計することで、ECの売上向上につながります。
SEOに関する施策や対策については、以下のセミナーレポートで詳しく解説しています。ぜひ、あわせてご覧ください。
費用対効果が高い
ブログは自社サイトにコンテンツを追加するだけで始められる手軽さがあります。また、ブログは長期的なアクセス増加が見込めるため、一度上位表示されれば、広告費用をかけずに集客できる資産性が魅力です。
一方広告は施策実行にコストがかかりますが、確実にユーザーが見える場所に表示できるため、集客に即効性を求める場合に適しています。
初動の集客や期間限定キャンペーンなどには広告を導入し、継続的な集客力の強化にブログをもちいたSEOを取り入れるなど、広告とSEOを使い分けることで相乗効果が狙えます。
自社のアピールポイントを発信できる
商品ページだけでは難しい、取り扱っている商品の使い方やお役立ち情報などを発信できるのは、ブログの強みです。また、ストーリーや運営者の人物像などを発信すれば、検索ユーザーからの信頼を得られる可能性もあります。
定期的に情報を発信し続けることで接触頻度が高まり、結果としてリピーター獲得の効果も期待できるでしょう。
ブログを始める3つの方法
ECサイトでブログを始める方法は主に3つです。それぞれの特徴を理解して、自社に適した方法を選びましょう。
WordPressを利用する
WordPressは、誰でも無料でブログを立ち上げられるコンテンツ管理システム(CMS)です。メリットは、デザインをカスタマイズできたり機能を拡張させたりと、カスタマイズ性が高く、オリジナリティのある情報発信ができる点です。
また、自社のECサイトとブログサイトを同一のドメインで運用することにより、ブログとECサイトの双方でSEOの評価を高められます。
SEOは、月間検索回数やすでに検索上位に表示されている競合サイトなど、さまざまな要因で難易度が変わります。たとえば「化粧品」といった単一キーワードの場合、すぐに上位表示させることは困難です。
しかし、ブログ記事であれば「化粧品 おすすめ 夏」や「化粧品 メンズ 30代」など、ニーズを細分化したコンテンツを幅広く公開できるため、上位表示も狙いやすくなります。
ブログサイトで多くのページが上位表示されていくことで、トップのドメインにあたる自社ECサイトのSEO評価も高まるため、結果的に全体の集客数も向上していきます。
ただし、WordPressとECサイトのドメイン連携ができるかどうかは、利用しているサービスへの確認が必要です。futureshopでは、オプションで契約ドメイン配下でのブログ運用が可能となっています。
以下の記事では、WordPressの活用方法やECサイトの作り方を詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
ECサイトのブログ機能を利用する
利用するシステムによっては、ECサイトの機能としてブログが備わっている場合があります。用意されている機能を使えば、手軽にブログ運用ができる点がメリットです。
ただし、WordPressと比較するとカスタマイズ性に乏しく、理想とするブログ運用ができない可能性がある点がデメリットです。
ブログサービスを利用する
WordPressと連携できなかったり、ECサイトにブログ機能がなかったりする場合の選択肢として、アメーバブログやはてなブログ、noteなどの無料サービスを利用する方法があります。
ただし、ドメインがECサイトと別になる点や、イメージどおりのデザインができない点がデメリットです。
なお、noteを活用したコンテンツ発信については、以下のセミナーレポートが参考になります。独自の特徴についても触れているため、検討する際の参考にしてみてください。
ブログの書き方を6つのステップで解説
ECサイトでブログを始める際、効果的な記事の書き方を知っておく必要があります。ここでは、ブログの書き方を6つのステップで解説します。
ステップ1.想定読者となるペルソナを設定する
ペルソナとは、ブログの想定読者となる架空のユーザー像や人物像のことです。年齢・性別・職業・趣味・悩みなど、具体的な属性を設定することで、読者の共感を得られる記事を作成できます。
ペルソナは、1人のユーザー像を落とし込むことがポイントです。たとえば、ターゲットが「20代〜30代の女性」だとすれば、ペルソナは「都内在住、28歳の独身OL、新潟から引越して2年目、年収500万円、シンプルな生活が好み、趣味はヨガとカフェ巡り、肌トラブルに悩んでいる」といった具合に設定します。
設定にあたり、自社の顧客データや市場調査、ユーザーへのアンケートまたは直接のヒアリング内容などの活用が有効です。定量データと定性データを組み合わせれば、リアリティのあるペルソナを作り上げられます。
読者の興味関心や悩みに寄り添い、さらには言葉遣いやデザイントーンなども合わせた記事を作成することで、ブログの読了率やECサイトへの遷移率の向上が期待できます。
ステップ2.ブログの目標を定める
ブログの目的は「集客」になるため、具体的には流入数や遷移率などをKPIに定めるとよいでしょう。
たとえば、月間10,000PVを目指すのか、ECサイトへの遷移率を5%に上げるのかなど、数値化された目標を設定します。目標を明確にすることで、ブログ運営の方向性が定まり、施策の優先順位がつけやすくなるためです。
また、目標達成のためのマイルストーンを設けることも効果的です。半年後に月間5,000PV、1年後に10,000PVといったように、段階的な目標を立てることで、効果的にブログの運営ができます。
目標設定の際は、自社の事業規模やリソース、競合他社の状況などを考慮し、現実的な数値を設定することが大切です。高すぎる目標は達成が難しく、モチベーションの維持が困難になります。一方、低すぎる目標では成長が見込めません。自社の状況を踏まえた適切な目標設定を心がけましょう。
ステップ3.キーワードを選定する
ブログ経由でユーザーを集客するには、検索エンジンからの流入が欠かせません。そのためには、ユーザーが検索で使うキーワードを戦略的に選定する必要があります。
キーワード選定の基本は、自社の商品やサービスに関連する単語の洗い出しです。商品名やブランド名、業界用語などがベースになります。ベースができたら、ユーザーの検索意図を反映するようなキーワードを組み合わせていきます。
たとえば、化粧品のECサイトであれば、「化粧水 選び方」「ファンデーション 塗り方」など、商品の選び方や使い方に関するキーワードが有効です。
また、ペルソナの悩みや課題に関連するキーワードを選定することも重要です。「敏感肌 スキンケア」「毛穴 悩み」など、ユーザーの困りごとを解決するような記事を作成し、流入を狙います。
キーワード選定の際は、検索ボリュームと競合の状況を確認することが欠かせません。キーワードプランナーやラッコキーワードなどのツールを活用し、需要の大きさと難易度を把握しましょう。
基本的に検索ボリュームが多いキーワードは競合も激しいため、難易度が高くなります。一方、検索ボリュームが少なすぎるキーワードでは、流入が見込めません。よって、自社の状況に合わせたキーワード戦略を立てる必要があります。
キーワードは一度決めるだけでなく、定期的なアップデートも重要です。トレンドの移りかわりに合わせて、新たなキーワードを取り入れたり、効果の薄いキーワードを削除したりと、柔軟な対応が求められます。
ステップ4.記事を作成する
キーワードが決まったら、いよいよ記事の作成に取り掛かります。SEOを意識しつつ、読者にとって価値ある情報を提供することが重要です。
具体的な手順とポイントを下表にまとめました。
手順 | ポイント |
タイトルにキーワードを含める | ・タイトルは記事の顔ともいえる部分のため、読者の興味を引くキャッチーなフレーズを心がける ・読者に気づいてもらいやすくするため、キーワードを自然な形でなるべく左側に入れれるように意識する |
本文の前に構成を作る | ・本文を書き始める前に、見出しの階層構造を設計する ・読者の理解を助ける見出しを過不足なく配置する ・見出しにも自然な形でキーワードを意識して盛り込む |
構成をもとに本文を書く | ・見出しごとに伝えたいことを絞り、わかりやすく説明することを心がける ・難しい専門用語は避け、具体例を交えながら、読者目線で丁寧に解説する ・文章は簡潔明瞭を旨とし、1文を短くまとめるように努める ・適度に改行を入れて読みやすい文章に仕上げる |
ECサイトへの導線を入れる | ・本文中には関連する商品やサービスへのリンクを自然な形で配置する ・ユーザーの関心や課題に沿った商品を紹介し、ECサイトへの遷移を促す |
記事の執筆が終わったら、誤字脱字がないかチェックし、文章の流れを確認します。必要に応じて加筆修正し、読者にとって最適な情報を提供できるよう記事を磨き上げましょう。
最後に、記事のデザインや見た目を調整します。テキストの装飾や画像などを効果的に活用して、記事内容と見た目の両面から、読者の満足度を高める工夫が大切です。
ステップ5.記事を公開する
記事が完成したら、公開の準備に入ります。公開前に、最終的なチェックポイントを確認しておくことが大切です。
まずは、記事の内容が適切かどうか、あらためて精査します。事実誤認がないか、誤字脱字が残っていないか、読者に誤解を与える表現がないかなど、細部まで目を配りましょう。
記事の内容に問題がなければ、次はブログの設定の確認です。商品やサービスに関連するカテゴリーやタグを設定し、検索エンジンに評価してもらいやすくするために、記事のURL(パーマリンク)は英語で設定します。
以下にパーマリンクの良い例と悪い例を提示するため、設定の参考にしてみてください。
良い例:https://www.ecsite.com/blog/
悪い例:https://www.ecsite.com/ajwi1479/
良い例では、ブログ(blog)の内容が書いてあるページだと判断しやすい表記になっているといえます。
これらの確認が終われば、公開日時を設定し、記事を公開します。
記事の公開は、ゴールではなくスタートです。公開後は、記事がどのように読まれているかのモニタリングが欠かせません。
アクセス解析ツールを使って、閲覧数(PVやUU)、滞在時間、離脱率などの指標を追跡し、記事の評判をチェックしましょう。
ステップ6.記事を更新する
ブログは定期的に記事を更新し、常に新鮮で価値ある情報を提供し続けることが重要です。更新頻度は、自社の体制やリソースに合わせて現実的なスケジュールを組みましょう。
記事の更新には、既存記事の改善と新規記事の追加があります。
既存記事の更新では、アクセス解析の結果をもとに、内容の見直しを図ります。新規記事の追加は、あらかじめ選定したキーワードにもとづいた記事や、トレンドを取り入れた記事など、読者のニーズに合った情報を発信していきましょう。
古い情報をアップデートし、新しい情報を追加することで、検索順位の向上も期待できます。ただし、更新にあたっては、記事の質を落とさないよう注意が必要です。更新頻度を重視するあまり、中身の薄い記事を量産することは避けましょう。あくまで読者にとって有益な情報を提供することが大前提です。
まとめ
ECサイトでブログを運営することは、商品に関連する悩みや役立つ情報を発信し、潜在顧客との接点を増やせるため、集客力を高める有効な手段となります。
ブログ運営を進めるうえで必要なステップは、以下の6つです。
- ペルソナの設定
- 目標の明確化
- キーワード選定
- 記事作成
- 記事の公開
- 記事の定期的な更新
読者視点に立った価値ある情報を提供し、SEOにも配慮しながら、コンテンツを発信し続けることが求められます。
ブログ運営には地道な努力が必要ですが、ECサイトへの集客力強化という明確な目的を持って取り組めば、大きな成果を上げられるでしょう。まずは、自社のECサイトがブログ機能と連携できるかどうかの確認から始めてみてください。