矢野経済研究所
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2022年の国内小売市場規模は微増

~外出機会が増加し、コロナ禍での生活や行動様式の変化で買い替え需要が高まる。一方で商品値上げが本格化、消費者の節約意識を追い風に中古品販売店や均一価格ショップなど存在感も~

株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越 孝)は、国内の流通小売市場を調査し、現況や動向、また業種別32市場の現状と展望を明らかにした。

1.市場概況

2022年の国内小売市場規模は微増となった。2022年はコロナ禍による国内の行動制限が緩和されたことに加え、10月には外国人入国者総数の撤廃、個人観光客の受け入れ等が再開され、コロナ禍で消滅していたインバウンド(訪日外国人客)需要が戻ったことで、百貨店の利益が黒字に転じ始めた。買い控えが目立った2021年に比べて、2022年はラグジュアリーブランド、宝飾、時計等の高額商品が好調であった。コロナ禍で変化した生活様式や外出機会の増加により、鞄やアパレルの買い替え需要も伸長した。また、客数が回復したショッピングセンターなどの売上も比較的高い成長率となった。
一方で、原材料や燃料の高騰を受けて食料品をはじめとする値上げが本格化した年でもあった。消費者の節約意識が高まり、中古品販売店や均一価格ショップ、総合ディスカウントストアなどの業態の存在感が増した。

2.注目トピック

流通小売市場における2024年問題

物流業界の2024年問題により、流通小売市場でもECチャネルにおける販売面で問題が発生することが懸念されている。

Web・カタログ通販は消費者の商慣習として定着しており、国内の宅急便等取扱個数は急増した。特に新型コロナウイルス感染症対策として、店舗の休業や営業時間短縮、不要不急の外出・移動の自粛が求められ、幅広い世代や年齢層でECが利用されることとなった。
また、家具や家電など大型商品については、商品の配送・設置作業が必要となるため、ドライバー不足が事業に与える影響は大きいとみられる。
さらに、小売業界にとっては、納品面での懸念がある。小売業では開店前や特売日、特定日に物量が集中するなど、物流に対する負荷が大きい。また、生鮮品や農産品を扱う小売店舗には毎日複数回の配送が必須であり、ドライバー不足等により日々の納品業務が滞れば、商品棚に商品が並べられないという事態が発生する可能性もある。

3.将来展望

2023年にはアフターコロナの時代へ転換して巣ごもり消費は終息、物価高による節約志向は続いている。一方、円安を背景としてインバウンド需要は力強く推移しており、百貨店やドラッグストア、アウトレットなどの業態は好調に推移している。このようなことから、2023年の国内小売市場規模は前年からの増加を見込む。

調査要綱

1.調査期間: 2023年11月~2024年1月
2.調査対象: 日本国内の流通小売企業等
3.調査方法: 当社専門研究員による文献調査
<流通小売市場とは>
本調査における流通小売市場は、製造業者や問屋などの中間流通業者から販売物を仕入れ、消費者に直接商品などを販売する事業を展開している、百貨店・GMS(総合小売店)・専門店・無店舗販売事業者(カタログ・インターネット通販など)などの流通小売事業者を対象としている。
<市場に含まれる商品・サービス>
GMS(総合小売店)、食品スーパー、百貨店、コンビニエンスストア(CVS)、TV通販、Web ・カタログ通販、ドラッグストア、家電量販店、ホームセンター、ショッピングセンター、アウトレットモール、トラフィックチャネル、総合ディスカウントストア、中古品販売店、アパレル専門店、呉服専門店、鞄・袋物専門店、靴専門店、時計・宝飾専門店、メガネ専門店、スポーツ・アウトドア用品専門店、自転車・バイク専門店、カー用品専門店、家具・インテリア・生活雑貨専門店、玩具・ホビー専門店、書籍・文具専門店、楽器・CD専門店、均一価格ショップ、酒類専門店、生鮮食品専門店、フラワーショップ、生活協同組合

出典資料について

資料名2024 流通小売市場白書
発刊日2024年01月29日
体裁A4 477ページ
価格(税込)198,000円 (本体価格 180,000円)

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