こんにちは。日本М&Aセンター北海道営業所の鈴木唯弘です。 当コラムは日本М&Aセンターの北海道営業所メンバーが北海道M&A事情の最新情報を執筆しております。 今回は、北海道の「M&A動向」と「成約事例」についてご案内させていただきます。
2024年問題と運送業界のM&Aについて
2024年問題
今年に入ってからいろいろなところで耳にする機会も多くなったのではないでしょうか?
特に運送業界や建設業界ではしきりに課題認識されており、6月現在もその対応に追われている企業様も多いことと存じます。
ここでは2024年問題から見る、物流業界の行方について記載していきたいと思います。
まず2024年問題とは
働き方改革関連法により、2024年4月から法規制が実施されており、ほかの業種と同様、「残業上限規制」が適用され、残業は月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がある場合においても、年720時間、単月100時間未満、複数月平均80時間以内に収める必要があるという規制のことを指します。
改正の目的については、「働き方改革関連法」において、長時間労働の是正、多様で柔軟な働き方の実現、雇用形態に関わらない公正な待遇の確保の3本柱となっており、働き方を見直すことで「魅力ある職場つくり」を促進することにあります。
他の業界においては、2019年から対応をしてきましたが、運送業、建設業においては、人材不足が顕著であり、長時間労働や休日の取得が難しい状態が恒常化しているため、5年間の猶予期間が設けられてきました。そんな中でいよいよ待ったなしになったのがこの2024年ということです。
そのような環境の中で、弊社の譲渡契約依頼件数において、顕著に物流業界の件数が増えてきており、高止まりしております。
### 物流業界の相談件数が増加傾向
- 2019年度:42件
- 2020年度:69件
- 2021年度:67件
- 2022年度:66件
- 2023年度:61件
では運送業におけるM&Aにおいては、どういったメリットや相乗効果が考えられるのでしょうか?
以下のような目的をもってM&Aをご決断される企業様が多くなってきております。
中継拠点の獲得による、長時間労働の是正
例.長距離輸送を営む企業が、2024年問題への対策として、中継拠点としての企業を譲り受けする
イノベーション、デジタル技術の取り込み
例.デジタル技術の活用が進む物流業界において、そのような取り組みを行っている企業の傘下に入ることで業務効率化を図る
採用力の強化
例.人材不足の業界において、ドライバーや若手人材を獲得するために、採用力のある大手と提携するなど
このように業界的に古くから多くの課題がある運送業界においては、様々な目的をもってM&Aを実行されるケースが非常に増えてきております。 それでは、次に、北海道内における、運送業界のM&A事例について見ていきたいと思います。