タイの中間所得層を取り込むには?

以上のように、各種データを見ると日本食市場はタイで拡大を続けていることが分かります。 少し古いデータになりますが、タイのアサンプション大学がバンコク居住者に対して実施した2017年の飲食行動調査では、「一番好きな料理」に関する質問に対し、「日本料理」と答えた人は全体の38.35%であり、1位のタイ料理(93.13%)に次ぐ順位でした。(3位:中華料理(19.71%)、4位:韓国料理(10.22%)、5位:イタリア料理(7.20%))

出典:タイへの農林水産物・食品の輸出に関するカントリーレポート(タイ輸出支援プラットフォーム/ジェトロ)

終わりに

タイは、伝統的に日本文化が高い地位を占めて来た国ではありますが、近年は、留学先であれば欧米諸国の人気が先行し、コンテンツ面では、韓国の勢いが顕著です。 しかしながら、観光面では、日本への旅行人気は依然根強く、タイの日本食人気は、それを下支えする位置付けでもあると考えます。

昨今の日本食市場拡大の背景の一つとして、中間所得層の拡大をうまく取り込めている面は大きく、タイの飲食・食品産業における日系企業の勝算が秘められていると考えます。

タイには、日本食レストランや日本食材の販売を手掛けるローカルプレイヤーが数多く存在し、中間所得層は基本的に彼らを通じて日本食に触れるケースが多いと想定されます。 バンコクでは本格的な日本料理を味わえるレストランや日本食材に触れる機会も沢山ありますが、中間所得層や地方における日本食市場を取り込んでいくためには、M&A等を通じたローカルプレイヤーとの資本提携も有効な策と考えます。

「海外・クロスボーダーM&A」って、ハードルが高いと感じていませんか? 

プロフィール

木川 貴之亮 木川きがわ 貴之亮たかのすけ

Manager, Nihon M&A Center (Thailand) CO., LTD 

損害保険会社での法人営業として、自動車メーカー等を担当。同社でバンコク駐在を経て、2022年に日本M&Aセンターへ入社。日本企業による東南アジアM&Aのソーシングに従事しつつ、日本からタイ現地法人立ち上げに携わった。2024年に渡泰、タイ現地法人マネージャーに就任。ビジネスレベルのタイ語話者。