物流2024年問題への対応や働き方改革が求められる中、学校給食では依然、FAXで食材を発注し、紙資料でやりとりするなど、これまでの慣習に従った商取引が続いているという。そのような中、学校給食関連卸三団体(日本給食品連合会(日給連)、学校給食物資開発流通研究協会(学流協)、全国給食事業協同組合連合会(全給協))は3月5日、国会議員、文部科学省・農林水産省・総務省幹部らと会合を開き、持続可能な学校給食提供体制の構築に向けて意見書を提出した。
意見書では、フードチェーン三層(生産者・卸業者・学校設置者)が協業することでムダな流通コストを抑えることを提案。協業によるコスト低減が期待できる取引として、次の3項目の改善を求めた。
(1)アナログで不明瞭な商取引
・学校給食現場では、学校給食食材の商取引において契約書を交さないケースがほとんどであり、契約書を交わすことや発注日を明記すること、発注した食材等のキャンセル条項を定めること。
・全国都道府県の自治体ごとに見積書、納品書、請求書など提出書類が異なり、取引の煩雑さからムダなコストが発生しているため、様式を統一することで取引コストを抑えること。
・学校給食における商取引は依然、紙資料やFAX、資料原本で行われているため、デジタル化することで効率化すること。
(2)タイトな物流取引
・学校給食食材の納品は、通常、冷蔵・冷凍品は早朝8時台、常温品は午後などの時間指定でムダな物流コストが発生している。今後は、深刻なドライバー不足で納品の時間指定が困難となる恐れがあるため、柔軟な受入を求めた。
・納品時、包材開梱と回収、賞味期限読み上げ等の附帯業務が物流を停滞させ、時間指定と相まって物流効率を悪くしている。今後は、これらのコストも商品単価に上乗せせざるをえない状況であることを伝えた。
(3)その他の非効率な取引
・納品ごとに賞味期限の統一を依頼され、残った端数在庫が食品ロスになっている現状を伝えた。
・根拠の不明瞭な中国産品や福島県産品(東日本品)の忌避があり、食材の偏りや価格高騰の一因となっている現状を伝えた。
日本給食品連合会の中込武文会長は、「学校給食費の公会計化や地方交付金の活用など、これまでの取組に感謝している。一方、昨今の物価高騰に加えて、さらに価格転嫁せざるをえないムダな物流コストを、協業することで抑えることも検討して欲しい。持続可能な学校給食ネットワークを構築してほしい」と語った。