2023年は国内同士のМ&Aは減少し、海外М&Aが伸長
中長期的に現在のビジネスモデルの見直しが必要とされる食品業界において、2023年の食品業界M&Aの全体件数は前年対比約10%増の結果となりました。
しかし、詳細を見ていくと国内企業同士のМ&A(IN-IN)件数は減少している傾向が見て取れます。一方で、国内企業による海外企業のM&A(IN-OUT)件数及び海外企業による国内企業のM&A(OUT - IN)件数は増加傾向となりました。
IN-OUT М&Aにおいては、キリンホールディングスによる、豪証券取引所上場でサプリメントなど健康食品事業のブラックモアズの約1692億円(18億8000万豪ドル)での買収や、ゼンショーホールディングスによる、北米・イギリスを中心に寿司のテイクアウト店など約3000店舗を展開する英スノーフォックス・トップコの約874億5000万円での買収、味の素による、米全額出資子会社の味の素北米ホールディングス(ANH)を通じた、遺伝子治療薬CDMOの米フォージ・バイオロジクス・ホールディングスの約828億円(約5億5400万米ドル)での買収など、大手企業による大型のМ&Aが散見されました。
また、OUT-IN М&Aの増加は、直接的に海外企業が国内の食品企業を買収したケースよりも、大手企業の海外現地法人の切離しや、アジア最大級の資産運用会社であるPAGの投資先であるGYRO HOLDINGSが積極的なМ&Aを展開していったことで、間接的なOUT-IN М&Aの件数が増加しています。
食品業界5ヵ年M&A件数推移
参照:レコフM&Aデータベースより㈱日本М&Aセンターが作成 【検索期間】2019/01/01~2023/12/19 (公表日など) 【データ種別】[M&A]M&A 【業界】食品, スーパー, 外食 (OR条件) 【形態】合併, 買収, 事業譲渡(営業譲渡)
コロナ影響から未だ脱しきれない外食産業
食品業界のМ&Aを細分化していくとどのような傾向があるのでしょうか。
売却を実行した企業のカテゴリー別に見ると、食品製造、食品卸、スーパー・コンビニは2020年以降のコロナの影響はあまり受けずに、横ばい傾向にあります。
一方で外食は、コロナの影響により2021年まで大きく減少傾向にあったが、2022年からは復調し、2023年は前年対比約40%増加しました。
食品業界カテゴリー別5ヵ年M&A件数推移(売手)
参照:レコフM&Aデータベースより㈱日本М&Aセンターが作成 【検索期間】2019/01/01~2023/12/19 (公表日など) 【データ種別】[M&A]M&A 【業界】食品, スーパー, 外食 (OR条件) 【形態】合併, 買収, 事業譲渡(営業譲渡)
更に、買収を実行した企業のカテゴリー別に見ると、食品卸、スーパー・コンビニは横ばいで推移しており、食品製造は2021年に一時的に前年対比約40%増加したが、2022年以降は例年と同水準で推移しています。 外食は、2022年に一時増加したが2019年からの推移としては緩やかな減少傾向にあり、いまだにコロナの影響を受けていると想定されます。
食品業界カテゴリー別5ヵ年M&A件数推移(買手)
参照:レコフM&Aデータベースより㈱日本М&Aセンターが作成 【検索期間】2019/01/01~2023/12/19 (公表日など) 【データ種別】[M&A]M&A 【業界】食品, スーパー, 外食 (OR条件) 【形態】合併, 買収, 事業譲渡(営業譲渡)