食品産業新聞社
(画像=食品産業新聞社)

(株)ナンチク(鹿児島県曽於市)はこのほど、公益財団法人食品等流通合理化促進機構が主催する「第8回輸出に取り組む優良事業者表彰」で農林水産大臣賞を受賞したと発表した。同表彰事業は、日本産農林水産物・食品の輸出に関わる団体または個人を広く発掘し、その取組み内容を表彰・周知することで食品産業全体での日本産農林水産物・食品の輸出促進を目的として開催されるもの。今回、ナンチクは「お客様に寄り添った教育と個別要望対応で輸出増」が評価され、受賞に至った。

ナンチクは1990年に対米輸出牛肉処理認定工場第1号として厚労省認定を受けた。19年には対EU向け輸出工場の認定を受け、輸出先国拡大に取り組んでいる。鹿児島県内の自社牧場や生産農家から牛・豚を仕入れ、鹿児島県産「KAGOSHIMA WAGYU」や「KAGOSHIMA KUROBUTA」ブランドで輸出をけん引。また、曽於市の名産・柚子の加工品製造時に出る柚子の皮などを豚の餌に配合した自社ブランド「ゆずポーク」を生産し、これがシンガポールで人気となり、売上げを急伸長させた。

現在、米国やEUではロイン系需要はあるものの、セカンダリーパーツには消極的で、これら部位の扱い方を知らず、購入しない傾向にあるという。この課題に対し、同社ではカット技術者が現地を訪問してカッティングを指導。プロモーションビデオや牛肉の部位ごとの商材資料、カッティング映像を教材として用意し、牛肉の扱い方を周知することで、それまで現地で取り扱われていなかった牛肉の売上増につなげている。また、同社子会社の㈲藤嶺牧場では、全頭EU動物福祉に対応するほか、米国やEU、アジア、日本国内など販路を多岐に持つ同社では、各国で人気の部位が異なることから、バランス良く各国へ供給することを可能とし、顧客の要望に応じたカッティングも個別に対応しているという。こうした顧客に寄り添った姿勢で輸出増を図っている。

同社では今後、現地での評価が高かった骨付牛ロースの販売に注力するとともに、ベトナム、タイなどアジア圏向けにセカンダリーパーツの販路拡大に向け、カット技術指導に力を入れていく方針だ。現在は日本国内の豚熱発生によるワクチン接種の影響から一時輸出がストップしているものの、「ゆずポーク」がシンガポールで高評価だったことから、輸出再開を待ち、今後さらなる浸透に向け力を入れていきたい考えだ。

〈畜産日報2023年12月20日付〉