【5】2023年の状況から導くTOKYO PRO Marketの今後の展望

これら直近の状況から、今後TOKYO PRO Market市場はどのように動いていくのか予測していきます。

①2024年4月には上場会社数100社到達はほぼ確実!

2023年12月末日時点でのTOKYO PRO Market上場会社数は90社の見込みです。

既にワンビ株式会社の新規上場が2024年1月11日に見込まれており、また2023年は1月~4月で11社が上場を果たしていたことから、遅くとも2024年4月には上場会社100社の大台に到達することはほぼ間違いないでしょう。

②一般市場上場のための「ステップアップ市場」としての位置付けが確立

【4-1】で述べた通り、今年に入って一般市場への市場変更事例が急増しています。 2023年9月に東証スタンダードへ市場変更した株式会社ジェイ・イー・ティは、2020年11月に日本M&AセンターとJ-Adviser契約を締結後、わずか半年足らずの2021年3月にTOKYO PRO Marketへ上場しました。

同社は元々JASDAQ市場(当時)に向けて準備していたものの、情勢の変化などを鑑み、まずは確実に上場できるTOKYO PRO Marketを目指すという選択を取りました。

※参考:株式会社ジェイ・イー・ティ 房野社長 TPM上場時インタビュー

その後2年6ヶ月を経てスタンダード上場を果たすまでに、同社の業績はJ-Adviser契約締結時と比較して2倍以上に成長しています。 JET社

同社のように、まずはTOKYO PRO Marketへ上場し東証上場企業としての信用力を得ることでビジネスを加速させ、十分に会社が成長してから本来目指していた一般市場へ上場する…といった「ステップアップ市場」としての位置付けが今後はますます確立してくるでしょう。

③TOKYO PRO Market上場をきっかけとしたM&Aがさらに加速

上場会社であることは、M&Aの買い手であっても売り手であってもどちらでも非常にプラスに働きます。

2023年は、11月末までに7社のTOKYO PRO Market上場会社がM&Aによる株式取得を実行しています。中でも株式会社揚工舎は、2023年1月と2023年5月にそれぞれM&Aを実行し、2社の株式を取得して子会社化するなど買い手として積極的なM&Aを行っています。 TOKYO PRO Market上場を通じて有力な買い手となることはもちろん、【4-2】でご紹介した株式会社LUMBER ONEの事例のように、TOKYO PRO Market上場を経ることで企業価値を高めてからより良い買い手を見つけて売却、という選択肢を取る企業も今後増えていくと思われます。