当社事例から見る老舗企業和食企業のM&A(当社事例)
インバウンド需要の復活し、コロナ前以上に国内外で和食の需要は増えると想定されます。 一方、伝統的な食ビジネスである和食の担い手や、新規参入者はビジネスが多様化している現代においては、減少していると想定されます。
更に、老舗和食企業の経営者は高齢な方が多いため、M&Aという手法を知らずに廃業という選択肢を選ぶ方も多いと想定されます。 そんな中、弊社で仲介を行い、お相手を見つけた老舗和食企業の事例を紹介します。
鮒忠×柏又(2022年6月)
「老舗店舗の事業承継」
1つめの事例が、神奈川県小田原市にて業歴100年超の老舗うなぎ屋を1店舗運営する柏又を、焼き鳥・鰻メインに飲食店を運営する鮒忠が買収した事例です。
柏又は、後継者不在により、先代から受け継いだお店を残す為にM&Aを検討されました。 鮒忠としては、過去、草津亭という浅草の老舗料亭を譲受した経験もあり、老舗ブランドのM&Aを積極的に行っておりました。
また、鮒忠の鰻を提供するお店でも、うなぎを焼く技術を持った職人は少なく、ノウハウの取得という側面もありました。 こちらの事例は、関係者との相互理解を密に行い信頼関係を築いたうえで、日本伝統の鰻を裁く職人の技術を承継し、地元に名店を残した事例となります。。
日本全国にもこういった地元の名店はたくさんある一方で、人知れず閉店を選択するお店も多いかと思います。 地方の名店を残していきたい企業は全国に多くあるため、このような老舗外食企業にはМ&Aという選択肢を歴史・技術の承継といった視点で検討頂きたいと思っています。
日本橋玉ゐ(バレンタインブルーコーポレーション)×外食企業(2022年4月)
「穴子店の成長戦略」
2つ目が、穴子の箱飯を主力商品とする”日本橋玉ゐ“らを展開するバレンタインブルーコーポレーション を、外食企業が買収した、穴子という和食をさらに広めていく成長戦略を目的としたM&A事例です。
買手企業は「玉ゐ」という高級和食のブランド力を生かし、自社とは違う出店形態を取る業態を、グループインさせることでグループとしてブランドポートフォリオの幅を広げることを狙った事例となります。 M&A後にはバレンタインブルーコーポレーションの持つ海外出店の強みに加え、買手企業とコネクションの強い商業施設に出店を実現していくことで、”玉ゐ“のブランドをスピード感を持って展開していくこと想定します。
富山ホーム食品×MZOホールディングス(2023年6月)
「味噌・豆腐業の生き残りへ、異業種との提携を」
3つめが、富山県で豆腐、厚揚げ製造を行う富山ホーム食品をITTO個別指導のFCを全国に60以上運営するMZOホールディングスが買収した、醤油や豆腐、味噌といった日本食には欠かせない事業を継承した事例です。
富山ホーム食品は、地方の豆腐製造業が相次いで倒産していくことから、業界の先行き不安を感じ譲渡を検討しておりました。 MZOホールディングスの全国の拠点を使った販売網の確保や、システム面のデジタル化を通じ、合理化を図っていくことで、富山ホーム食品を発展させていく狙いとなります。
また、 MZOホールディングスとしては、設備投資や長年の商習慣が独特で参入障壁が高い食品製造業を新規で立ち上げるより、工場、取引先、従業員を既に確保した状態の企業を引き継げることは魅力的であったという背景もあります。 歴史ある老舗企業の内部体制やシステム面の導入が遅れ、生産性という課題を抱えるケースは多くあります。従来のやり方に囚われない、異業種との資本提携を行うことで、閉塞的な環境下から脱却することが出来ると想定されます。