食品EC事業のM&A事例

本項では、食品EC業界のM&Aについて考察します。 日本M&Aセンターでもお手伝いさせていただいた同業界のM&Aは数多くあります。本コラムでは具体的な社名は控えますが、なぜM&Aしたのかという観点から、同業界のM&A背景を抽出していきます。

飲食事業(譲受企業)×食品EC販売(譲渡企業)

通販事業への“新規参入“を。譲渡企業の“ノウハウ”獲得のためのM&A

譲受企業は主に飲食店を複数店舗展開している企業でした。いわゆる店舗運営には長けておりましたが、“通販”領域への進出も将来的な会社のために必要であると強く考えておりました。譲渡企業の扱っている商材は、譲受企業にとって新規取り扱いとなりましたが、商材のクロスセル(同じ顧客に異なる商材を展開する)の意味で意義があると考え本件検討するに至りました。また、譲渡企業の長年のECノウハウ、顧客リスト等メリットも大きくM&Aが遂行されました。

酒造、EC事業(譲受企業)×酒造、EC販売(譲渡企業)

メーカー同士かつ“通販事業同士”で商材の拡大を。互いの“販路”共有のためのM&A

譲渡企業は実質後継者不在であり、会社の存続のためM&Aを検討し始めました。酒造事業を営んでおり同時に、EC販売にも注力している事業体でした。譲受企業は、譲渡企業とは異なる酒類の製造を行っており、新規商材の獲得、販路の拡大を求め本件検討するに至りました。互いのエリア、商材、ECサイトターゲット層が異なることから相互補完が可能であり、明確なシナジーが想定されたため本件実行されました。

水産加工EC事業(譲受企業)×惣菜製造EC販売(譲渡企業)

“新規顧客層の獲得”と“欠点の補完”を目指す。相互成長のためのM&A

譲渡企業は、単独での売上の伸び悩みに苦しみ、ヒト・モノ・金・情報を獲得するための成長戦略としてM&Aを検討するに至りました。一方、譲受企業は、水産加工品のEC販売を主に行っていましたが、会社としてECの中で食の総合ショップを目指しておりました。それゆえ新規商材に関心があり、かつ付随する新規顧客層の獲得を企図し本件検討するに至りました。水産加工品の性質上、季節によって売上にばらつきがあることが課題であった譲受企業にとって、年中安定した売上の惣菜という商材は魅力に移り、M&Aが実行されました。