合弁会社のデメリット・注意点
合弁会社を設立する際に注意したい主なデメリットは、以下の通りです。
技術・ノウハウなどの経営資源が流出する可能性がある
メリットで述べたように互いの経営資源を活用することができる一方、自社で独自に開発してきた技術やノウハウが流出もしくは盗用されるリスクも考えられます。こうしたリスクを回避するためには、合弁の相手先企業の事前調査は当然ながら、秘密保持契約の締結など法的なマネジメント体制を整えることが重要です。
利害関係が複雑化する可能性がある
合弁会社においては参画する企業間に親会社と子会社のような支配関係はありません。そのため、各企業の間で経営方針が一致しない、もしくはトラブルが発生した場合に調整が難航する可能性があります。その結果、スピード感が求められる新規事業において意思決定が遅くなり、事業展開への影響が生じてしまうリスクも考えられます。
合弁会社設立時に決めておくべき3つのポイント
合弁会社を設立する際には、合弁会社の出資比率、法人の形態、ビジネスから撤退する場合の条件を決めておくことが重要です。
合弁会社の出資比率
合弁会社に対する出資比率を決めることは非常に重要です。この出資比率に応じて、配当などの享受できる利益が変動することになります。新たなビジネスに対して許容することが可能な負担額を慎重に考慮したうえで、適切で公平・公正な出資比率を決定しなければなりません。
また合弁会社が株式会社の場合は、経営の意思決定に関わるため「合弁会社の支配権」という観点からも、出資比率は重要なポイントになります。
一般的に2社で新たに株式会社として合弁会社を立ち上げる場合は、持分比率(出資比率)を50%ずつにするケースが多く見られます。
ただし、一方の企業が経営資源の提供など新会社への貢献度が高い、もしくは設立を主導する立場にある場合、メイン企業の出資割合が多いケースがあります。 また、一方の株式の持ち分が少ない場合でも、拒否権付株式などの種類株式の発行により、意思決定に参加する権利を獲得できます。
合弁会社の法人形態
前述の4つの法人形態から合弁会社の法人形態をどうするか、ということも大切なポイントです。
合弁会社の事業主体を決定する方法としては「新規に会社を設立する方法」と「双方のどちらかの株式の一部を相手先に譲渡して共同で経営を実施する方法」が考えられます。
重要なことは、合弁会社の事業計画に基づいた施策を実行しやすい、フェアな会社運営ができるかどうかという点になります。
合弁会社の撤退条件
合弁事業がうまくいかなくなってしまった場合に、どのような条件で事業撤退をするのかを決めておくことも非常に重要です。何故なら、撤退条件を決めておかないと、損失が膨らみ続けてしまう可能性があるからです。
当然ながら、新規の合弁事業には失敗する可能性があります。撤退タイミングを逃せば双方の業績が悪化することになります。こうした場合、合弁事業の参画企業間の対立が解決できないような場合には、事業を継続することは困難であるとして合弁会社を解散させることもありますが、これを「デッドロック」と呼んでいます。
具体的なデッドロックの条件としては、一定期間内に業績が回復・上昇しない場合、一定金額以上のロス(損失)が生じた場合、M&Aなどにより経営権が移った場合、合弁契約に違反した状態が発生した場合などが考えられます。