内部統制に関わる人物・役割
内部統制は経営陣だけが行うものではなく、従業員を含めた組織内の各人がそれぞれの役割を持ち運用していくものです。組織内の各人が内部統制にどのように関わるのかを、役職ごとに解説します。
経営陣・取締役会
経営陣は内部統制の整備と運用に責任を持ち対応します。また、内部統制報告書を提出することも行います。取締役会は、内部統制の方針を決定し、仕組みの整備と運用を監視する役割を担います。
監査役・監査役会
監査役会は取締役会を監督する機関で、企業から独立した立場として内部統制についての監視や検証を行います。
内部監査人
監査役と異なり、社内から業務が規程やマニュアルに従って行われているかなどをチェックし、内部監査の整備や運用状況を評価します。
従業員
内部統制は、日々の行動や判断をする上で拠り所となる指針です。従業員一人ひとりが重要性や意義を理解し、業務を推進する上で遵守する、重要な役割を担います。
内部統制を構築・運用する流れ
一般的に内部統制を構築する主な流れは、以下の通りです。
内部統制の方針策定
会社法の規定により内部統制の基本方針は取締役会で決定します。経営者は決定方針を全社や各部門で実行するための計画・方針を策定します。
内部統制の現状確認・評価
全社、各部門単位で、6つの基本要素をふまえたチェックリストを作成し、全社的なルールや仕組みなど内部統制の現状評価を行い、必要に応じて是正を行います。
統制内容のルール化・運用
ルール化された統制内容を、社内への周知・運用を行います。正しく運用されているかを記録し、各単位のもと統制の有用性や効率性を評価します。 評価によって洗い出された課題、不備について対応を検討し、内部統制報告までに改善を行います。
内部統制報告書の作成・提出
見直し、改善を経て、経営者が評価内容を報告書にまとめます。それらが実質的に機能しているか内部統制監査を行った上で、内部統制報告書の提出を行います。
内部統制報告書は、企業の内部統制が機能しているか、規定の項目ごとに経営者が評価した結果を開示する書類です。
前述の通り、上場企業や関連会社には金融商品取引法上、内部統制報告書の提出・監査が義務付けられています(財務報告に係る内部統制報告制度)。
内部統制報告書類の記載事項は以下の通りです。
- 財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項
- 評価の範囲、基準日及び評価手続に関する事項
- 評価結果に関する事項
- 付記事項
- 特記事項
※参考 金融庁 内部統制報告書の雛形より抜粋
規定のフォーマットはありませんが、一般的には「業務記述書」「フローチャート」「リスク・コントロール・マトリックス(RCM)」の3点が用いられます。
書類 | 概要 |
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業務記述書 | 業務内容の概要や手順などを文章化した書類 |
フローチャート | 業務の流れを図で記載した書類 |
リスクコントロールマトリクス | 業務によって生じるリスクとその対応を一覧にした書類 |