合同会社のデメリット・注意点
合同会社のデメリットや注意点のうち、主なものは以下の通りです。
社会的信用度を得にくい場合がある
合同会社は小規模事業者であるケースが多く、少額な資本金や認知度の面において、株式会社に比べて社会的信用を獲得しづらい場合がありますそのため企業取引や採用面で不利になるリスクも検討しておく必要があります。
資金調達方法が限定的である
合同会社は株式発行による資金調達ができないため、国や自治体の補助金、融資などが中心になります。また、前述の通り社会的信用を得にくいケースが多いため、調達できる金額や方法が株式会社に比べて限定的である点に注意が必要です。
権利譲渡や事業承継が容易ではない
合同会社では、ほかの社員全員の合意がなければ、社員の持分の一部または全部の譲渡を行うことはできません(会社法第585条1項)。これは代表社員の承継も同様です。そのため譲渡や承継を行う際には、社内対立を回避すべく慎重に準備を進めて対応する必要があります。
合同会社に適しているケース
合同会社のメリット、デメリットをふまえ、どのようなケースが合同会社を選択するのに適していると言えるでしょうか。
例えば知人と会社設立費用を抑えて、お互い対等な立場で起業する、といった小規模のスタートアップのケースが挙げられます。
前述の通り、株式会社への移行ができるため、将来的に上場を検討している場合も、合同会社から始まることは選択肢として考えられます。
合同会社を設立する手順
最後に、合同会社を設立する手順について概要をご紹介します。
会社の概要を決める
まず、会社設立にあたり、商号、目的など最低限必要な項目を決めます。項目例は以下の通りです。
項目 | 留意点 |
---|---|
会社の商号(会社名) | 登記上のルールとして、同一住所に同一社名は使えない。 (同業他社に類似している会社名・商品名・サービス名にも注意) |
事業目的 | 利益を生み出せるかという営利性だけでなく、法との適合性なども確認しながら、事業目的を設定する必要がある。 |
本店所在地 | 後から所在地を変更する場合は数万円の登記費用が必要になるため、今後変更の必要がない場所を本店に設定する必要がある。 |
資本金額 | 資本金は1円からでも設立できるが、資本金が少ないと信用力の面からその後の契約などに支障が出る場合もある。 |
社員構成 | 代表社員や業務執行社員を誰にするのかを決める。 |
事業年度 | 決算期をいつにするのかを決める。一般的には国の事業年度(4月1日から3月31日)、もしくは暦(1月1日から12月31日)に合わせて決める。 |
定款を作成する
定款には、合同会社を運営するうえで基本的なルールを記載します。決まった書式などはありませんが、以下の項目に関しては、必ず記載しなければなりません。
- 事業目的
- 本店所在地
- 社員の氏名と住所
- 社員が有限責任社員であること
- 社員の出資の目的とその価額
登記書類の作成
合同会社を登記するための書類を作成します。作成する書類は、以下の通りです。
合同会社を登記するための書類 | |
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会社設立登記申請書 | 会社の基本事項などを記載します。 |
定款 | 作成したものを提出します。 |
印鑑届書 | 合同会社設立後に実印として使う印影を届け出ます。 |
代表社員就任承諾書 | 代表社員となる人が代表に就任するための承諾書です。定款に代表社員の実名記載があれば不要です。 |
本店所在地決定書 | 定款に本店所在地が記載されている場合は不要です。 |
登記用紙と同一の用紙 | 登記すべき事項をすべて記載します。(CD-Rなど記録媒体での提出も可能) |
社員の印鑑証明書 | 社員全員の印鑑登録証明書の提出が必要です。 |
払込証明書 | 資本金が、いつ、誰によって振り込まれたかを証明する書類です。振込日は定款の認証日以降でなければなりません。 |
収入印紙 | 資本金の0.7%もしくは6万円のうち、低額の方の収入印紙を用意します。 |
なお、登記書類や定款の記載例については法務局のホームページから確認することができます。
登記の申請
登記の申請準備が整ったら、合同会社の本店所在地を管轄する法務局の窓口に提出します。1~2週間程度で登記が完了します。