インサイダー取引に関するよくある質問

最後にインサイダ取引に関するよくある質問と回答をご紹介します。

Q.利益が少額、もしくは損失が出た場合もインサイダー取引になるのか。

インサイダー取引の成否は利益の金額・損失発生は関係ありません。未公表の重要事実を知り、公表前に株式の売買を行った場合は、適用除外に該当しない限り、インサイダー取引規制違反に該当します。


Q.未公表の重要事実を知り、当該会社の株式を買い付けたが売却せず保有し続けている。この場合、インサイダー取引に該当するのか。

未公表の重要事実を知って買い付けた時点で、インサイダー取引規制違反に該当します。買い付けた株式を売却、あるいは保有を継続していても、インサイダー取引違反でなくなることはありません。


Q.贈与による上場会社の株式の譲渡、または譲受けはインサイダー取引規制の対象になるのか。

インサイダー取引規制の対象となる行為は「売買等」、つまり売買その他有償の譲渡もしくは譲受けなどを指します。 そのため、無償の贈与による株式の譲渡や譲受けはインサイダー取引規制の対象になりません。同様の理由で、相続による株式の取得もインサイダー取引規制の対象に該当しません。


Q.上場会社が決算発表を行う直前・直後に関係者が株式を売買することは禁止されているのか。

法令上は、決算発表の直前・直後に自社の株式などの売買を行ってはならないとのルールはないため、当該会社の未公表の重要事実を知らなければ、株式の売買は禁止されていません。

ただし会社によっては、インサイダー取引を防ぐ目的で、社内規程により決算発表の直前・直後の当該上場会社の株式の売買を禁止している場合もあります。社内規程の内容を十分確認しましょう。

参考:日本取引所グループ 「インサイダー取引」

終わりに

インサイダー取引は、意図せず抵触してしまうケースがあるため、未然に防止するための対策が不可欠です。上記に挙げた対策を取り入れながら、インサイダー取引が会社に及ぼす深刻な影響を、関係者全員が認識しておくことが大切です。

M&Aは「秘密保持に始まり、秘密保持に終わる」といわれるほど、情報の取り扱いに細心の注意が求められます。 特にM&A実行の情報を社内に開示する最終局面(ディクスロージャー)では、未公開の情報を関係者が知ることになるため、インサイダー取引が意図せず発生するケースもゼロではありません。

そうしたリスクを回避するため、事前にいつ、誰にどのように伝達を行うか、注意喚起を行うか綿密なシナリオを組み立てる必要があります。

日本M&Aセンターは、徹底した情報管理体制のもと、経験豊富なコンサルタントが、安心・安全なM&Aのご支援を行います。詳しくは専門のコンサルタントまでお気軽にお問合せください。

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M&A マガジン編集部 M&A マガジン編集部

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